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私は、素敵なプレゼントを見つけました。

——あれは、『恥知らずのセチーリア』ではなくて?……どうやって公爵を射止めたのかしら。まあ、公爵家に取り入って何ができるとも思えないけれど


——でも、『口無し公爵』にはお似合いだわ。彼女の態度を見れば、ヴァレンツァ公爵であっても口を開かざるを得ないわよ


 そして笑い声。


 彼女らの会話は概ね予想通りだった。「ありがとう」と小さく声をかけて天井に向けて彼らを掬って飛ばす。すると彼らは天井を通り抜けて夜空に舞って、そのうち見えなくなる。


 『声』は、生まれたままにすると帰路を探すように右往左往して、少しすると道を見つけたように空へ向かっていく。だけれど、セチーリアが呼べば彼らは指示のままにやってくる。そうしてセチーリアはいつもそれを空に上げてやるのだ。


 今度は隣から視線を感じて振り返ると、セチーリアの挙動に気がついたのか公爵が訝しげにこちらを見ていた。恥ずかしくなって思わず視線を逸らす。


 すると丁度、遅れて来ていた客人が入場してきた。見覚えがないから公爵方の知り合いだろう。


 その二人組はゆったりとした足取りでセチーリア達に向かってくる。隣に侍らせた使用人の手には小さな小包が握られているのが見えた。


 彼らの周りを見て一瞬、おや、と思う。


「ご機嫌麗しゅう公爵様。本日はこのめでたき席にお招きいただいたこと、有り難く存じます。そして開宴に遅れましたこと、お詫び申し上げます」


 従者が小包を差し出す。ベルベット地の布で包まれたそれはシャンデリアに照らされて輝いている。


 思わず、見惚れてしまった。


「どうぞ、今後の貴方様の繁栄の一助としてください」


 公爵はこくりと頷いて小包を受け取りそれを侍従に預けようとして——セチーリアはそれを奪った。


 侍従と客は驚いたように声を漏らし、公爵も声は上げないものの見るからにギョッとしていた。あの女性達の予想は外れたな、と思った。尤も、これからさらに驚かすような事がないとは言えないが。


 小包は、近くで見るとさらにその豪奢さが際立った。今日一日数々の贈答品をもらったがその中でも一線を画している。

 高価な真紅の包装布に近頃王都で流行っているカメリアの刺繍。公爵家への贈答品としてはいくらか小ぶりだが、それでも中身を期待してしまうほどの美しい飾り付けだ。


 くるりと振り返って公爵に告げる。


「私、少し席を離れますわね」


 彼がさらに目を見開く。隣では既にセチーリアの噂を知っているのであろう侍従が呆れた瞳で見下げていた。


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