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境界ダイアローグ - 差し伸べる手は人を救うか -  作者: 和琴
最悪のタイミングでの最低な悪意。
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第五十話 - 不穏で不安で、でも大丈夫。

翌朝早朝…

気合で起きた私、だるくてうだる背中を起こして

目を閉じながらベッドから足を降ろす。

一瞬目を開けると、まだ暗い。


今ねまき、着替える。


いつの間にかアリッサちゃんが

おさがりをそのまま部屋に入れてくれてた。


着る服がないからレンタルだね。

お金殆どないけど。


でも、洗ってあるし

自分の普段着にしようかな。


いや、まだちょっと変色してて

気まずいし、まだ長袖にしておこう。


あと数日で、向日葵の服が着れる。

あと数日で、劇。


悔いの無いようにその時はこの服を着よう。

制服にしようと思ったけど、ただの少女だもんそのほうがいい。


5200クランもした、いい服と、靴だもんね。

…あの時のお金、取っておけばよかったなあ…


ふと振り返ると、飴玉!

…食べちゃえ!


赤いツルツルの葉をむいて

口にいれた。


…舐めて食べるん…だよね?確か。


甘い…なかなか溶けない。

減ってるの?これ…!?

沢山甘い!


間違いなく、超高級品認定!!!!

わわ、そうだ着替えなきゃ!


とりあえずまた、借りた服を着て

一階に戻って、食事の香り…

あ…どうしよ。

そう思ってると、スノルが

頬を膨らませて…壁を向いていた。


同士よ…

近付いて、肩を叩いた。


「後で魔法で食事は温めよ、ね?」

ハレサさんに二人して肩を叩かれた。


驚いてスノル君は飴玉のみ込みそう。

ここは、まだ笑わない。

飴玉落としちゃう。


急いでお手洗いに行って

とりあえず吹き出し回避して

落ち着いて扉を開けた。


妖気で口に蓋をしてある

これで相当問題ないはずだ。



「スノル君、向こう向いて

見ちゃダメ…ふっ!」

アリッサちゃんが私を見て崩れ、口を抑える。

そんなに変!?


「ぶぐっ!」

ぎゃろすさん!


「もう、へやにもろる!!」


私は怒ったふりして、3階に戻った。

丸わかりな嘘だよね、はずかし


…

30分して、飴ちゃんは後ひとかけだ。

割って食べればよかった。

後悔しつつ、薄い砂糖を名残惜しく舐めた。


モデインさんはどうやって稼いでるんだろう。

もしも…いや恩はあるけど

うん、これもやりたいことリストに追加しなきゃ。


ほっぺたのざらざらが気になるなか

私は一階に降りて

ご飯の席に着く。


スノル君はもうすでに食べて掃除中だった。

私は急いでスープを飲んだ。


今日は甘油豆なのに甘く感じないなんて不思議!

少しほろっとした触感で…牛乳みたいな風味に

スープが満たされていた。


頭が飴ちゃんに支配されてる。

いつもに戻らないと…!


パンを浸して良く味わって食べて

トルトルさん達と稽古に向かう。


劇の改善は、出来てない。

うんん?違うかな。


「この経験が、自然と劇に、出ると良いな。」


「姉さん?」


「ソルティ、ほら私の気迫に

昨日の経験が生きると良いなって。」


「ああ、ほっぺたぽっこり…」

そのセリフは私の義が許さない…

でもそれって、本当に優しいのかなって

手を引っ込めた。


私、まだまだだ。

「そうだね、飴のお陰で

また言葉が深くなった気がする。」


「自分で稼いで、幾らでも舐めればいいさ。」


「そっか、でも貰った飴より美味しくないよ?」


「らしいな、はっはっは!」


「ガッハハハ!!」

ソルティとトルトル、そして無言のアレックス。

少しずつ、慣れてきたら友達?

でもこれが終わったらダンジョン依頼受けるんだよね。

寂しいな…


「私達、友達かな?」


三人は足を止めて顔を見合わせた。

友達じゃないかな。


顎を持ち、彼らが考える。

20秒して結論が出たらしい。


「家族でいいんじゃないか?」

…おおお!


「そうですね、縁の下ギルド皆家族!

いつか巣立っても忘れないでね!」


私は多分、ここにいるから。


目をつぶり、マーレンさんにも声を掛ける。

「きっとあと数日でまたお別れ。

でも、絶対忘れないからね。

帰ったらたっぷり話し合おうね。」


「分かった、なかなか不憫だ。

寿命というのは。」

じいさんと同じだ。

マーレンさんにも沢山いたんだ…

お気に入りが。


結局人間って、寂しがらせる

罪な生き物だよね。


そんなこんなで、オペランさんの屋敷…

アレ?沢山人がいる…


…あの黄色と紫の文様。

確かそこそこの貴族だ、縁の下ギルドには来てない。


「みんな、今日は外で様子を見よう。

終わる時間を聞いても、無駄だと思うから。」


知らない貴族とトラブルを起こすのは

余りにもリスクが高かったから。


「あの、あの兵たちの集まり、何ですか?」

少し優しそうな印象の、おじさんに聞いてみた。


「竜の現場検証だと。」

足早におじさんは立ち去ってしまった。


もしかしたら、スポンジ菓子作戦が

疑われてるのかもしれない。


きっと衛兵たちの話を聞いて、庭の壊れ方を見てるんだ。


…トルトルさん達に、何かおごりたいのに

お金ない。

私って近眼…


「戻って、2時間後に来よう。

って、使用人の人?」


ギルドの方向から道を歩いてきたのは、オペラン系の

メイドさんだ。


相手もこちらに気づいて、紙をなびかせて近寄ってきた。

「今日、明日は無理だそうです。

武闘派が、竜討伐作戦を開始する…と。」


討伐、何で?


「ご主人様は、奴らに殺せるはずがない、

ただスポンジ菓子の輸送は国が行うのに

何でそんなことを考えるのか分からないと。」


私は目を閉じて、マーレンと会話する。

「ねえマーレン、武闘派たちが竜を狙ってるって。

何でそんなことするの!悪いことしてないのに!」


「その討伐がいつあるか、聞け。」


目を開けて

「その討伐っていつあるんですか?」


メイドさんは戸惑ったように周りを見回して耳元で一言。

「スポンジ運搬、つまり劇の日と同じらしいです。

決して口外しないで下さい。」


頷いて、目を閉じる。

「マーレンさん、劇の日。」


「やるか。」


だよね。

「あの決戦前にフラリスから祈りを押し付けられた。

だから祈りは十分ある、でも

追加で貯蓄を頼む。」

フラリスさん、まったくもって油断ならない。

知らなかった…全力で守ってくれてたんだな…


目を開けた。

「もうスポンジの運搬は要らない?」


頷いたメイドさんを見て、急いでその場を離れた。

見られちゃメイドさんが可哀そうだもん。


せめて仕事しようと思って、走ってギルドに戻った。

「キャロスさん、実は…」


「ん?スポンジ運搬はいいのか?

忘れ物は?」


「それが、武闘派貴族に取って変わられて。

竜討伐のエサにするって、

当然、許すつもりはありません。

でも止めるのは当日にします。」

そうじゃないと、罪が分からないからね。


「ああ、そういう事ならヌエッサンに連絡しておこう。」

ヌエッサン指揮官に?


両手を呆れたように掲げ、運がないなって首を振った。

「くれぐれも、戦争にならないように、慎重に

竜側に警告を伝えてもらおう。」


武闘派の人たちに運があっちゃダメだよ。

でも、これで倒されちゃったら…

不安で胸に手を当てるとキャロスさんは笑って撫でてくれる。


「いつか戦争になるかもしれんが、今じゃない。

仮初の理由なんだろ?

仮に危険と判断すれば、お前を優先してくれるさ。」


そうだね、私の心配する所じゃなかった。

それにしても、これだからカロル国の部隊は…

やるなら勇者教だよね!?

ほんと…難しい事、分かんないけど

変なことしてるなって思う。



「レンが竜と会話した事が話題になっていたが

…妬ましかった?いや…その名声を潰して、

主導権を取りたかった?

…レンにも連絡したほうがいいか?」


そっとしておこう、と思って

背を向けてドアノブに手をかけた。


「バドレが、11時に来る。

3人で話そう。」


「分かりました、会議室ですか?」

片手を上げて、ウインクが見えた。


さあ、裏方仕事やるぞ!

そう思って頑張る気満々で部屋を退出した。


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