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境界ダイアローグ - 差し伸べる手は人を救うか -  作者: 和琴
口実とはいえ、守るものは守る。楽しみにしてそうな気もするから。
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第四十二話 - 何であろうと、ちゃんと護衛します!

そのまま半日、練習を続け…


「うん、演技は覚え途中だけど

最後の口上…ぞくっとするね!

でも、もっと練習が必要だ!」


トルトル三人組、レンさん、私。

みんなで必死に練習したけれど、

一番“舞台に立っている”感じが出ていたのはレンさんだった。


「とりあえず、記憶通り話すなら

俺は大丈夫だ!」


カッコいい、本物の武器、整った顔で

くっきりと笑みを浮かべ、様になっていた。


「例のスポンジ菓子が出来たら

貴殿ギルドで保存…輸送を頼む。」

オペランに親指で返すレンさんはやっぱり

見るだけでぽわぽわした。


「それにしても、俺はカンペ読めるから

少し楽で助かるぜ」

ソルティさんがは紙をひらひらしていたら

背中をトルトルさんが軽く叩く。


「んなもん読んでたら、気合が入らねえだろ!

記憶しろよ!」


劇に関して、掛け声とともに証言を入れることにしたので

私はそれも、覚えないといけなかった。

必死に台本を読み込んでいると、肩を叩かれる。


「菓子が出来たらしい。

レコンキスタの時止め部屋に運ぶ。

悪いけど、一緒に護衛してくれ。」

あの奇妙な罠を思い出して、少し気分が悪くなる。

きっといろんな罠や、設備があるだけ…それだけだよね。


目の前には、木箱5つがある。

「毎日貯めて、25箱運ぶぞ。

国から費用は出るからな、後で。」


バカにならないほどの砂糖と穀物が使われた

大量のお菓子、ちゃんと護衛しないと…

ほぼ宝箱だ。


外に出て、アレックスさんが荷台に積み上げると

三人が前に付く。

「頼むよレン、このスポンジ菓子が失敗したら

爵位が剥奪されかねないからね…

ちゃんと警備もしっかりしてくれ。」

オペランとアルテが頭を下げていた。


…よし、気合入れよう。

私とレンさんが左右…そして…

「芸術家魔術師のサモーロルだ。

久しぶり。」


カラフルなローブを纏う、頼れる魔術師も加わり

国の護衛と共にレコンキスタに向かった。


私も鎧を着た状態で、街道をひたすらに歩いていると

周囲の視線が目に入る。


手を口に当ててひそひそ話す主婦たち。

私を見るなり顔を青くするゴロツキ。

そして、荷台を見て一瞬だけ目を輝かせる人々。


魔法干渉防止のカバーも高級品。

そりゃ気になるよね。


ガーネス町郊外の、食糧倉庫前

突然それは現れた。


「おい、そいつを渡してもらおうか。」


赤いタスキ、黄色の服の荒くれ達

「「デルタ盗賊団!」」

私とレンの声を無視し、やや未整備の土の道を

男たちはずかずかと歩み寄る。


「随分良いもん運んでそうじゃねぇか。」


男たちは紫の柄の刀を抜き、腰を低く構えた。

レンさんも構え、荷台も後ろに下がる。


「お金に困ってるんですか?」

私も借りた槍を構えつつ、一応対話を試みてみた。


「…あ?」


「それとも、お金を集めるのが楽しい?」

呆気にとられたひげ男が、剣を振り下ろしふっと笑う。


「ああそうだぜ。

俺はそれが…」

それから言葉が止まって、

盗賊団の視線が草原に向いた。


ひげ男の顔が、みるみる真っ青になった。

私の指差した草原の中、緑色で建物のような竜巻が見えたのだろう。


もしこれをここで放ったらどうなるか、

わかるよね。


「これは大事な貢物なんです。

ごめんなさい、でも命を無駄にしたくなくて。」


数秒間、誰も答えなかった。


私以外は、絶対容赦…してくれないから

マーレンさん、順調?


+意思疎通の練習だよ。

気にしない。+


「分かったぜ、エリートなんだな。」

男たちは、素直に路地裏に姿を消した。

けれど、サモーラルさんはそこに両手を掲げ

祈るような姿を取った。


「色魔法、黄色。

強烈な光を発する。

遠くに行かねば、赤で殺す。」


「けっ!行くぞお前ら!」

…消えたみたいだ。


念のため配置換えし、妖気の準備をしながら

一回目の輸送を終えた。


次は…明日だ。

猛暑期だけあって、夕方なのに周りは明るい。


「前から思っていましたけど、

 色魔法、強いですね!」


サモーロルさんは首を振る、

そして荷台で描いていた、絵を見せてくれた。


…木箱の絵だ、柔らかな質感で角が立ち

湯気を纏っていた。

木箱のような、スポンジ菓子の絵だ。


「赤は小さすぎる色では威力が弱い。

大きすぎる色には、負担が大きい。

絵を描くのが、一番向いていると気が付いた。」


カニ爪ムカデみたいな大きい敵とか、

色の範囲が大きすぎるから、難しいんだ。


その時私は寒気がして、サモーロルさんの裏に隠れた。

「あなた、おかえり…それが荷物ね。」


ライラさん…まあ今は、黙っておこう。


「ああ、運ぶぞ。」


私が警備してる間、トルトルさん達があっという間に運んでしまった。

…このギルド!

大きい。

それに、建物に鉄枠もついているしとっても頑丈そうだ。

前に見たときは夜で分からなかった。

こんな箱をたくさん入れる倉庫もある。

どれだけの歴史があるんだろう。


どれだけの人の生活を支えていたんだろう。


建物は傷付いてたけど、依頼の紙はちゃんと張ってあった。

中身を見ると、総合ギルド。強力なライバルだ。


レンさん、ライラさん、競争相手って、辛いな…。


「それじゃ、また明日!」

レンさんの声に手を挙げて答えて

私と3人組で帰った。


サモーロルさんは明日もオパル町から護衛らしい。


帰りの道を、歩いていると…


「ようお前ら、さっきはよくも邪魔をしてくれたな。」

盗賊団の人たちが再び目の前に現れた。

今度は、斧を持った静かな雰囲気の男も一緒だ。

確かこの人は…危険そうだった人。


「なんの用ですか?」


「簡単だよ…荷物の中身だけだ。

それでケンカしねぇ。」


箱の中身は言っちゃダメだって、私でもわかるよ。

ちょうど郊外の、石の家が立ち並ぶ通り…

壊れた樽や看板も散乱していた。


「あなたは何で、盗賊してるの。」


「早く言うんだな…」

男は周囲をわざとらしく眺める。

恐らく物陰に人がいて、魔法でも準備してるんだろう。

歩み寄ると、私の付けた鎧がピキピキと音を立てる。


「本当に為にならないですよ。

本当にいいんですか?」


「ああいうのを見ると、知りたくなっちまう。

ギルドに運ばれる箱は、大抵は金になる。

お前ら四人なら、始末できそうだ。」


斧の歯を噛んで男は音を出した。

何の意味があるかは知らないけど。


「どれぐらい、儲かってるの?」


「毎月一万クランは軽くな。

俺らはつえぇぜ。」

いつの間にか、5人ぐらいの男が顔を出し

私を同時に威圧するように、ポケットに手を突っ込んで見ていた。


「弱いよ、6人がかりだもん。」

それか、宝珠を持っていることに気づかれた?


「言ってくれるじゃねか…」


「それに贅沢だよ。

私は日給20クランなのに。」


「へっ。それマジで言ってんのか?

お子様のお駄賃かよ!?」


「嘘じゃないぜ、俺らも警備だけど

罪滅ぼしってことで日給は40クランだからよ!な、姉さん!」

私の後ろからハキハキと、肯定してくれと声が聞こえた。

そうだ、やるだけやってみよう。


「今、この周辺のギルドはボロボロで、

風が吹けば倒れる状態なんです。

潰れれば、仕事に行く人も困るし

あなた達の食い扶持も減ります。

お願いだから、手を引いてくれませんか?」


男たちが、顔を見合わせた。

「へえ…暴動と勇者教でそこまでやられたんか。」

…悔しいけど嘘じゃなかった。

賠償する余裕なんてない。


盗賊たちは私たちの目を見て、ため息を漏らす。


「まあいいだろう、だが覚えとけよ。

立ち直ってきたら…見逃してやんねぇからよ。」


「大丈夫です、その時にまた、お話しましょう。」


「ケッ!」

唾を吐いて、男たちが引いていった。


いつか…この人達とも話して

盗賊を何でしてるのか、解決策を探し出せると良いな。

やりたいことリストが、また一つ増えたね。


「日給40クランって、本当?」


「ああ本当だぜ、まあ食いもんあるし

住み込みではあるからよ。」


「私も住み込みだから20クランで大丈夫。」


「いや、姉さんの場合は…」


「おい!」

いきなりトルトルさんがソルティさんに怒鳴った。

違和感はあったけど、変なことは聞きたくないし

早くここを立ち去ることを優先した。


そうして危険な場所を抜けて、ガーネス町にたどり着き

そしてギルドに戻っていった。


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