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境界ダイアローグ - 差し伸べる手は人を救うか -  作者: 和琴
ねえ、お話ししよう。私もあなたも、特別じゃないから。
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第三十九話 - 襲撃

座りながらねちゃったな。

そう思いながら目を覚ましたから、

目を閉じながら横になっていることに違和感を感じた。


体を起こして目を開けて見ると、

明るい髪の女性が私に顔を向け、目を閉じていた。


パッと寝具から起き上がり、少ししっとりとした服をゆすって

すぐ起きそうになかったので先にお手洗いに行った。


そのまま、皿を洗うアリッサちゃんを見て

乾いた皿を並べようとしたら

肩を叩かれて、そっと椅子まで差し戻された。


今日の食事もパンとスープだ。

これが終わったら速く稼げるようにして

美味しい物、いろいろ買うんだ!


全員で食卓に着き

スープに浸しながらパンを食べた。


その途中、キャロスさんが急に席を立った。

「何かいる、見てくる。」


「私も一緒に行きます!」


「トルトル達は、念のため依頼者カウンターに。」


「おう!」

私は妖気を内に纏いながらその後ろをついていった。

冒険者カウンターで異変がすぐわかった。

…窓が開いている、貴重品は扉の中…何も無いのに。


「お前らか」


キャロスさんが片手を掲げると、白い霧が湧き出て膨らんでいき白色のしずくが部屋中に滴る。

やがてそれは、侵入者のローブの形を沿って滴った。


「2度目の警告に来た。」


「私の事ですね。」


「そうだ。」

薄暗いギルドの中、男たちは微動だにしない。

その雫が滴るのを気にしないかのように

先頭の男が剣を取り出して煌めかせる。


その男の前に向かい、カウンターの扉を開けて

視界を揺らし歩み出た。

ちょうど、水の境…私は立ち止まる。


「今すぐこのギルドを辞めなければ

お前を勇者様に捧げる、生贄として捕える。」


その言葉の意味が、少しわからなくって。

顎に手を当て考えても、どうしても分からなくって。


頭の内側が千切れ、燃え上がりそうな怒りが沸き上がる。

「それって…何となくやってるのかな。

それとも、考えてやってるのかな?」


「辞める気は無いか、勇者のまがい物め…」

どっちが…!


「本物になりたいなら、

ここから首都まで走ってみせてよ。

そのローブのまま。」


そして大きく、息を吸い込んで

怒りのまま喉を震わせた。


「いいとこ取りは止めて!

この犯罪者!」


手に持っていた刃が私に突き出されそうになる。

私はとっさに、刃を握った。


男は力を強め、肩を震わせる。

私も怒りを込めて力を入れた。

お互いの怒りは、同じぐらいみたいだ。


「どうやら殺されたいようだ。皆の者!」


男が片手を広げるも、背後に控える4人の男は動かない。

白い霧を纏い、氷に包まれていた。

ローブには白く結晶が張り出し、足がはがれないみたいだ。


「2度目の警告を…無視したらどうなる?」


「我ら全員で…建内日葵!お前を殺す!!

お前もだ、無礼者!」


彼が怒号を浴びせる中…

後ろで様子を見ていた、ベラーゼ君が脚を動かし

走って通り過ぎて行った。

周りの様子を見て、憲兵を呼んでくれるはず。


「あなた達が捕まる前に、

少しだけお話ししましょう。」


「お話し…だと?」

男は驚いたような声を上げつつも

必死で体を動かそうと、脚を動かす。


「そうです。

あなた達がどうしてこんな事をしているのか、私は知りたい。

宗教を否定するつもりはないから、人殺しは止めるけど。」


「お ろ か も の めぇ」

怒りに満ちた声を先頭の男が絞り出す。


念のため、私も拘束に協力しよう。

白の霧に替わり紫の妖気が立ち上る。

彼らは動けない、震えながら裁きを待つだけ。


「それでも、お話ししよう。

特別じゃない、ただの人間同士だから。」


剣を奪い、床に捨てると…

私はフードを捲り上げた。


緑の髪の…ただの青年…知らない人だ。

同じ黄色い瞳なのに、私は写っていなかった。


「何処を見てるの?家族はどうしたの?」


「うるさい!黙れ!

この国は誘拐、殺人、何でもありだ!

勇者ですら殺された!

お前のような人間が目立つと、悪意も沸き立つ!

膿を潰して何が悪い!」


思わず両手を胸に寄せた。

震える怒りが私に直接伝わってきたから。


…この人も、ただの被害者なんだ。


「私は、優しいギルドを作って皆を幸せにしたいだけ。

そうすればきっと、殺人も減ると思うから。」


男は一息吐き出すと

怒りを噛みしめ、再び体を震わせた。


「それが余計な行為なんだ!

ノスタリア家と言えば、人身売買の噂もある!

それを無条件で許すだと?

お前は…優しいふりをした邪悪だ!」


寄稿文の、ことだね…そう思われてたんだ…


「…そう見えたんだね。

悪いことしてたら、私だって気になる。

それでもその人と話して、信じたから。」

少し、男の瞳が震えた気がした。

熱で浮き上がったまま…そのまま話し続ける。


「もし悪いことをしたら、償ってくれる。

あの人は…人だったから。

人間だったから。」


もしも後ろめたいことが本当だったとしても。


「 貴方もそうだよ、名前も知らない。

それでも信じてる。

こうして話してくれたから。」


この人は訳も分からない人じゃない、ファンノッテさんも。


「不満があるなら、私にも教えて。

悩みがあったら、一緒に考える。」

私はじっと、男を見つめた。


「お前は、何なんだ…」

届いた…ダメだ…私涙もろい。


「でもね、罪を犯したら償わないと、いけないの。

そうしないと、周りの人も、自分も、

悪いことをしたって、気が付けないから。

それでも、絶対、見捨てたりしないから。」


夢中で、私ってわがままだ…!

感情が高ぶって、話すぎた。


一度、息を吸う。少し落ち着いた気がした。


「私は、あなた達の怒りも受け入れたい。

私も一緒に考えるから、またギルドに来てくださいね。」


「本気で言ってるのか?何を信じてるんだ…?」


私の肩をキャロスさんが2回つついたので

少し横に退いた。


「俺の自慢の看板娘だ。

見てろ。お前らがいくら殺そうとしたって、

こいつは国一番優しいギルドを作るんだ。

邪悪だなんだはその後の判断してくれ。」


男は愕然と目を見開き、赤い口を晒し続けていた。


「絵空事だ…」

囁いた後ろの信者に近付いてフードを外した。

そして、声を掛ける。


「少しだけ、お話ししませんか?」

黒髪の青年が、目を見開いて…私を見ていた。


…


彼らが両手を結ばれ、出て行くとき

少し頭をよぎったことがある。


もし、国が…法律が間違っていたら

彼らが正しい…という事もあるんじゃないかって。

そう思う余地があるから、こんな犯罪に手を染めてしまうんだって。

だからやっぱり、私は話を聞いて生きたい。


…そう思った。

★感想★

人を見ると、どうしても話しちゃうんだね。

性…なのかなやっぱり。


やっぱり、あなたの話も聞きたいな。感想。

難しかったらリアクションでもいいよ。

どう思ってるか知ることが出来たら、きっともっと幸せにできるから。

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