第十三話 - ギョッとして…私は向日葵
私が勇者として
勇者教過激派を止めることを宣言した後
執事は数歩下がり、オペランはお茶をこぼすほど動揺していた。
私の心は、漲るまま動く。
「…ホントに…どうしたんだい?
勇者っていうのは捏造だよ?
君はただの…ただの…?」
私はゆっくりと彼の目を見た。
「貴方様がこの場をご用意いただいた意図も
おぼろげながら察しは付いておりました。
しかし、ギルドの為とはいえ…
私自身の魂まで、嘘は付けませんでした。」
まずは一番の被害者である私と和解、
その後縁の下ギルドに何か依頼するつもりだったと思う。
でも、聞いてほしい。
「魂…?」
アルテさんの息が漏れ、胸を押さえて見ている。
壁が四角く黄色に煌めいて、何だか切なく…
でも決意が湧いてきた。
「今回の事件、全ての元凶は勇者教です。
だから私は、虚像の勇者に成り代わり…彼らを必ず改心させます。
私、日葵の人生をかけて。」
「ああ…ああ…」
オペランが呆れたように頭に手を当てて
首を振った。
「夢の見すぎだよ、流石に。
湖は惨事を反射すれば、血の海になってしまうんだよ。
頭はいいみたいだけど、君は本当に
そんな…」
私が再び彼の瞳を追うと、
彼が手を止めて…座り直した。
「その為に、もっと詳しく
レコンキスタで何が話されたのか
教えてください。」
ゆっくりと、彼らは記憶を語りだした。
その顔は申し訳なさに満ちていた。
一言も漏らさぬ様、私は意識を鋭く耐え忍ぶ。
…
全て聞いた後…恐ろしさに二の腕が震えた。
「ありがとうございます。
本当に、助かります。
そのファンノッテという方が政界にお詳しいのですね。」
オペランは渋い表情をして、横を見て頷いた。
アルテさんはずっと口を押えているけど不安そう…
厄介な相手みたいだ。
「絶対にもう悲しい事件を
見過ごしたりはしません。
必ず改心させて見せます。」
「本気…なんだね。」
アルテさんの言葉に心を込めて頷いた。
「ええ、これでも勇者、やってましたから。」
「…は!?」
傍のオペランが椅子ごと半歩下がって
ギョッとして私を見る。
アルテさんはさもありなんと頷いていた。
「でも内緒にしてくださいね。
私が勇者になるのは
過去に向き合う時だけですから。」
そうやってお口に手を当てて笑って見せると
彼らも笑顔を返してくれた。
私達を囲んでいた湖は引いて
再び水晶の明りが心地よく照らし出す。
「お菓子ももったいないですし、
今は至福の時間を楽しみましょう。」
再びお茶に手を当てて優しく微笑んだ。
そして、暫くのしあわせを楽しんだ後…
私は再び馬車に乗り込んだ。
…
10分ほど、馬車に揺られた後
降り際に軽く挨拶をした。
「楽しかったね…自分の屋敷が凄いのもあるけど
それ以上に君だよ。
いやこんな若いお嬢さんにも
凄い二面性があるなんて。」
そっちだって、まだ若めに見えるよ。
…20歳くらい?
「あの夜の話し合いを見たら、
普通の女の子じゃないなって思いますよ…
オペラン様は鈍すぎます。」
「いいじゃないか、その鈍さのお陰で
付き人として傍に置いておけるんだから。」
「…」
突きあうような軽い空気が、一気に重くなった。
この人も、何かを背負ってるんだって思うと
何だか少し、少し切ない。
そして、二人が私に向き直る。
「本日はありがとうございました。
是非依頼者としても今後お越しください。
またのお越しを楽しみにしております!」
お互い深々と頭を下げあってお別れした。
オペランとアルテさん…
ピッタリなのに、身分の差ってもどかしいな…
それと…ファンノッテ…私を嵌めた毒婦。
オペランさんはギルドに誘導するって言ってた。
だけど、本当に来てくれるのかな。
もし来たら、私とキャロスさんで対応しよう。
それだけじゃない。
空振りかもしれないけど、やれることは全部やっておこう。
★境界からの独り言★
一回だけ…前作と同じ時間に投稿したかったんだ。
懐かしくって。
だから明日からは18時10分に毎日投稿する形に戻る。
でも今日だけは、次の話を15時10分に投稿するね。




