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潮崎灯台リライティング ―嫌われ公務員と五人のわがまま再建日誌―  作者: 乾為天女


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24/40

第24話_達成率50%の夜

 6月28日、午後11時2分。

 潮崎市、樹の実家の倉庫。天井の蛍光灯がジジと唸りながら、薄明かりを投げていた。

 「50%達成か……ここまで来たんだな」

 樹がパソコンの画面を見つめながら呟いた。

 その隣では、亮汰が段ボール箱を抱えていたが、彼も思わず手を止めて、画面を覗き込む。

 「ちょっと感動する数字じゃん? やっぱ俺の飛び込み映像が効いた説あるよな?」

 「いや、あれで引いた人もたぶん多い」

 祐介の冷静なツッコミに、倉庫内が薄く笑いに包まれる。

 「でも、あと3日で残り半分……結構きついわよ」

 理央が、資料の束をペンでトントンと整えながら、冷静に現実を突きつけた。

 「逆に言えば、“あと3日”もあるってことだろ?」

 亮汰は相変わらず前向きだったが、その瞳の奥にはほんの少しの焦りが見えた。

 樹は席を立つと、天井の配線を見上げた。

 この倉庫での会議も、もう十数回を超えた。真夏の夜も近づく中、皆の顔にも疲労の色が滲んでいる。

 そのとき、不意に祐介がスマホを握りしめていた手を見つめた。

 「……俺、父親に電話してみる」

 「え?」

 志歩が驚いたように振り返った。

 祐介はゆっくりと息を吐きながら、スマホを手に立ち上がった。

 「資金の相談……頼れる人間が少ないからこそ、俺、今このタイミングでやらないとダメな気がする」

 理央が目を見開き、少しだけためらったように言う。

 「それって、確か……距離を置いてたんじゃ」

 「そう。でも、自分を変えたくて、この灯台計画に乗った。だったら、ここで逃げたら意味がない」

 沈黙。

 数秒の間を経て、亜梨沙がぽつりと口を開いた。

 「……慎重な判断じゃないかもしれない。でも、私は祐介のその決断、応援する」

 「私も」

 志歩がスマホを握ったまま笑顔で続いた。

 「模倣じゃなくて、自分の言葉で動いてるって、いいなって思った」

 「……ありがとな」

 倉庫の外に出た祐介の背中を、誰もが見つめていた。

 夜の風が少しだけ冷たく吹いた。

 彼はスマホを耳に当てる。

 ワンコール、ツーコール――

 『……もしもし』

 懐かしい声が、梅雨明け前の夜に、静かに届いた。

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