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188Dead『婚姻届け』

二人は叔母の前に座っていた。

末子は


「初めまして……同じ仕事で一緒になり子供を身籠ってしまった日枝末子です……本日はお忙しい中お時間を作って頂きありがとうございます!」


とお辞儀をした。

それを聞いて叔母は


「いえ、良いんです……寧ろ私は感心しております、子供の為に甥に電話を入れたこと……どんなに迷惑を掛けようとも子供が出来た以上それは作った物の責任です……と同時に子供は親が育てるという義務があります……例え思い通りに育ってくれない可能性があっても……親孝行をして貰えなくても……20歳までは育てる義務があります」


と言った。

それを聞いて末子は


「ありがとうございます」


と言って頭を下げる。

そして叔母は


「で? 末子さん? この男は婚約指輪を渡しましたか? もしその責務から逃げようとしたなら地の果てまで追いかけなさい……私も協力します」


と言って叔母は敦夫を睨んだ。

敦夫は


「いや……逃げるなら叔母さんに電話しないし彼女と会おうともしないでしょ……電話を切って音信不通になって暮らすでしょ?」


と言った。

叔母は


「そもそも逃げても無駄って分かってるでしょ? 私は貴方の身元引受人なんだから、私の伝手で知り合いの警察にあんたとの連絡が途絶えたと言って捜索願を出して住んでいた場所から防犯カメラなんかを使って割り出してバレるという恐怖があったからでしょ?」


と言った。

敦夫は


「いや! そんなこと思ってないから! 確かにどうせバレるのは知ってはいるけど! さすがに俺だってさすがに責任を感じてるし俺達の子供には確実に父親も母親もいた方がいいって考えてるし!」


と言った。

それを聞いて末子は


「最初……自分の子である証拠を求められたときは焦りましたが……ありがとうございます湯令さん……そこまで考えてくれて……」


と嬉しそうに言った。

それを聞いた叔母は


「ほほう……自分の子かどうか証拠を確かめたと? つまり責任逃れを考えたってわけね?」


とニヤリと笑いながら叔母は敦夫の肩を


ポン


と叩いた。

敦夫は震えながら


「たっ確かに! 証拠を聞いたけど! それは俺の子でない場合本当の父親を見つけた方がいいのでは! って思っただけなんだ! 本当だよ!」


と言った。

叔母は


「全く……嘘が下手ね……相変わらず癖は治らないのね……ま! ビビるのも仕方ないから今回は見逃すけど……」


と呆れながら


「イtダダッダアアアア!! がんぜづうううううううううう!! がんぜづいだいいいいいいい!!」


と敦夫の関節部分を叔母はあらぬ方向へと曲げる。

末子は


「本当にすみません……」


と謝る。

叔母は


「まあいいわ……とにかく今日は祝日だから市役所は開いてないし……婚約届は明日提出しなさい……結婚式はどうする? 開く? 開かない?」


と聞いた。

末子は


「えっと……私は母も父も亡くなっているので……もし叔母さまが必要と申しますならやります……」


と言った。

叔母は


「あんたはやりたいと思わないの?」


と聞いた。

末子は


「……良いんでしょうか? 私なんか汚れた人間がしても……」


と少し俯きながら言った。

末子自身は結婚式をしたいとは思っているがなし崩しに結婚するのにそんな贅沢をしてもいいのかやお金なども掛かるので少しでも養育費等の足しにした方がいいのではという考えがあり少し遠慮気味になった。

すると叔母は


「大丈夫よ……そこらのビッチと貴方……対して変わらないわ……ビッチでも結婚式開くんだからあんた開いてはいけない理由にはならないわよ……」


と言って頭を撫でる。

末子は少し照れながら


「あ……ありがとうございます」


とお礼を言った。

叔母は


「これから内の甥をよろしくお願いね……あんたみたいにちゃんとお礼を言える子が子供を育てると思うと安心するし……それに甥の結婚も絶望的だったし……貴方みたいなしっかりした人が結婚してくれると思うとこっちがお礼を言いたいわ……苦しい時はちゃんと私に助けを求めなさい……貴方の不幸は今お腹にいる子供にも関係することなんだから……子供に迷惑を掛けるぐらいなら私に迷惑を掛けなさい」


と言った。

それを聞いて末子は


「あ……ありがとう……ございます……」


と涙をボロボロ流しながら言った。

敦夫も


「ありがとう……叔母さん」


と言った。

叔母は


「じゃ……明日市役所に行くとして今日はご飯を食べて風呂に入ったら寝なさい……今日やることは終わったんだから……安静にして寝ることが大切よ……あとタバコや酒はやってないでしょうね?」


と聞いた。

末子は


「お酒は昔飲んでダメだったのでもう飲んでいません……タバコはもともと吸っていないし……仕事の関係で口が臭いと男を萎えさせるので迷惑を掛けないようにと考えて吸おうとも思っていませんでした……その後は母へのお金の工面でそんな余裕はありませんでした……今は子供がいるって分かったから吸うつもりもありません」


と言った。

叔母は


「良し……それでいい……」


と言ってグットサインを送った。

そして、二人はその日一緒に寝た。

寝る前に末子は


「敦夫さん……ありがとうございます……これから貴方の事を知って行こうと思います……」


と気まずそうに言った。

敦夫も


「お……俺もよろしくお願いします……」


と言った。

そして、次の日叔母はすでに出かけているのか家にいなかった。

二人はさっそく市役所に向かって婚姻届けを提出しに行った。

すると


「いらっしゃいませ……婚姻届けですね?」


と叔母が窓口に座っていた。

敦夫は


「叔母さん……まだ現役だったんですね……いない時点で予測は出来ていたけど……」


と言った。

こうして叔母の計らいで婚姻届けの提出は問題なく終えた。

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