128Dead『狂気の世界』
そんな言葉を信じて隊長はゾンビ化することを決意した。
しかし、目の前にいるのはゾンビ化するどころか殺されたはずの兵士がよりパワーを増して復活したという喜ばしい出来事であった。
生き返った兵士は
「希咲さんはこれを狙ってたんだ!! いくら本当のことでも実際の見せないと信じてもらえない!! だから俺らに噛まれる覚悟をさせたんだ!! そしてこんな素晴らしい力をくれた!! これならもう騎士共やゾンビを恐れる必要がない!! 生き返って分かった!! 今瞬時に!! 自分の体がどうなっているのか!! 感覚で!! 俺らはゾンビになりはしたが理性は無くさなかった!」
と一人が大喜びしていた。
もう一人も笑いながら
「そして死ぬこともない素晴らしいからだ!! これなら死を恐れる必要はない!! 俺達は楽しく生きることが出来るんだあああああ!! 俊敏性犬さんに噛まれるように言ったのもこれが目的だったんだあああああ!!」
と喜んだ。
隊長は
「希……希咲さん……」
と涙を流した。
それを見ていたレベッカは
「ど! どうなっているの!! 俊敏性犬に噛まれてゾンビ化しながら理性を保っているというの!!」
と驚いていた。
アンジェリスは
(お! おかしい!! 実験の時はネズミは凶暴化してた! その上他のネズミを入れた瞬間そいつを噛んでゾンビ化させた! どうして!)
と頭を抱えていた。
和子は
「うわあ!! あの兵士さん!! 騎士から奪った腕を食べてる!!」
と真っ青になっていた。
兵士は
「うめええええ!! 体がゾンビ化した際に体力を取ったのか! 腹が減ったぞ!!」
「うーん!! 素晴らしい!! これは美味だ! そしてもう満腹になったぞ!!」
と嬉しそうに腕を食べ尽くした。
それを見てラダーは
「な!! ぞんっだあああああ……ワダジノ腕をおおおおおお!!」
と涙を流しながら震えた。
するとそれを見ていたアンジェリスは
(まっまさか……憶測だけど……ネズミ自身も自分を保っていた……そして共食い!! ネズミは同種族を食べることが出来る……そしてゾンビ化した瞬間体力が減ったからその分を食べて体力を回復させようとしたの!! そしてゾンビ化したならばただのネズミなんて自分より弱い動物……つまり弱肉強食の本能で相手を食べたってこと!! 途中で食べなくなったのは相手が自分の同じ動物になったから! そのため本能ですぐに食べるのをやめて襲わなくなったってこと!)
と考えた。
すると
「よろしいでしょうか?」
と兵士が数人来ていた。
近くには俊敏性犬もいた。
そして
「希咲さんに逃がすように言われています……とりあえず試合の出口へと案内させます! 大丈夫です! 私達は彼らに感謝しています!! 彼と一緒に逃げてください! 隊長にも許可は取っています! すぐに準備を!!」
と言った。
それを聞いてアレックスは
「取り敢えず逃げるぞ……この好機に乗じて逃げるしかない……それが俺らの目的だからな」
と言った。
レベッカは
「……そうね……とにかく逃げることを考えましょう」
と言った。
4人も納得してそして
「こっちです!」
と兵士達についていった。
一方残っていた兵士達は
「お! 俺らもゾンビ化するぞ!!」
「お! 俺もだあああ!!」
「これなら勝てる!!」
「ただ騎士達には噛み付くな!! 同じになられると勝ち目が無くなる!」
と言って次々と蘇った兵士に噛まれに行った。
隊長も
「俺も頼む……」
と言って噛まれようとした。
すると
ズサアアアア!!
と隊長から血が飛び散った。
それを見て兵士の一人が
「たっ隊長おおおおおお!」
と悲鳴を上げる。
すると騎士の一人が斬り倒して
「お!! お!! お前らが悪いんだあああああ!! 俺ら騎士に歯向かうからあああああ!!」
と言って泣いていた。
だがそんなことは無駄であった。
すぐさま隊長は他のゾンビ兵士に噛まれて蘇った。
隊長は
「よくもやったな……仕返しだ」
「うわ! あああ! ぎゃああああああ!!」
と言って持っていた剣を手ごと
ブチブチブイイイイイ
と引き千切った。
騎士は夥しい血を流しながら
「いやだああああああああ!! いだいよおおおおおおお!!」
と言って泣きながら倒れてそのまま隊長に
「死ね」
と言われて顔面を踏みつぶされる。
そして隊長を筆頭に
「お前ら!! 騎士共!! 貴族共!! 俺らに偉そうな顔はさせんぞ!! これからもな!! もう貴様らに勝ち目はない!!」
と言って脅した。
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それを遠目に見ていた望はあまり状況を分かっていなかった。
ただゾンビ化して死体たちが騎士達を食べているように見ていていた。
望は
(よし! 上手くいったぞ!! これで俺はゾンビ化出来る!! おそらくあいつらは逃げれるように兵士に言ってあるから大丈夫だろう! これで俺の願いが叶う!)
と嬉しそうにしていた。
そしてセリスターの方を見て
「いやああ、大変なことになりましたねええ! まあ頑張ればいいんじゃないですか? じゃ俺は試合勝ちましたんでここを出ますね! あ! 姫なんですけど肩に剣刺さっただけだし血もそこまで出てないからそのままで治療室で治療すれば助かるんじゃないですかねええ? 多分……それでは! チャース!」
と言って決闘場から出ようとすると
「待て……どうしてこんなことをした……何が目的だ……」
と言った。
望は
「? はい? 何? 用でもあるの? 早くしてね」
と言って鬱陶しそうにした。
セリスターは
「ふざけるな! これだけのことをして逃げるだけだとは言わないだろな!! 貴様はどこの手先だ!! 事実を言え!!」
と言った。
望は
「……いや……逃げるためだけど……」
と言った。
そして
(まあ、この地獄から逃げるためって意味も含んでるから嘘ではないよな」
と考えた。
セリスターは
「はあ……そんな……バカなことがあるものか……ならなぜこんなことをする必要がある!! 勝負に勝ったならここから出すとの約束だ!!」
と言った。
望は
「だってさあ……お前らってどうせ俺が勝ってもいちゃもんつけて逃がさない気だったんだろ?こういうことでもしてパニックに乗じて逃げるのが一番いいと思ってさ」
と言った。
セリスターは
「……はあ……何を言ってるんだ……」
と真っ青になり言った。
望は
「……」
としばらく黙りそして
「え? ああ……ごめんねえええ、深読みしすぎたわ……サーセン!」
と言って会釈した。
そして望は
「まあ大丈夫でしょう! 俺のいた国で聞いたことのある言葉を送ろうではないか! 何とかなるって! ガンバ!」
と言って再び決闘場から出ようとした。
するとセリスターは
「ふざけるな!! それだけのことでこんな異常な状況を作ったのか!! この腐れ外道が!!」
と叫んだ。
望は呆れながら
「あのさああ? これ外に比べれば別に異常でもないよ? 君達騎士達と貴族達は兵士に全任せして引きこもってたから知らないだろうけど……もっと酷いから、子供が大人を食ってたり大人が自分の子供を食ってたり、ゾンビじゃないのに壊れた人間が襲ってきたりって酷いもんだよ? だから今この状況で慣れればいいんじゃないですか? どうせ今まで兵士に任せたんだからここらで勇気出して頑張れって! ようこそ! お坊ちゃん達! お嬢ちゃん達! 倫理の壊れた狂気の世界へ! 一歩踏み出そう!」
と言って笑った。
セリスターは
「いつか……いつか貴様を倒す……必ずだ……今は難しくても……必ずお前を打ち滅ぼす!!」
と言った。
望は
「はあ……そうっすか……ま! そん時はよろしくう!」
と言ってそのまま決闘場を出た。
そして待っていた兵士がいた。
望は
「お!! 皆! お待たせ!」
と待ちに待ったゾンビ化に期待しながら兵士達に話しかけた。
すると兵士達は
「希咲さん!! こういうことだったんですね! ゾンビ化しても理性が壊れることがないことを証明するために俺らに俊敏性犬に噛まれろって言ったんですね! そして騎士達を痛い目見せて自分たちの権利を守るために!! ありがとう!」
「ありがとう!」
「ありがとう!」
と言ってお礼をされた。
望は
「……うん?」
とキョトンとした。




