27-心肺蘇生、お願いします
面談終わったその日のうちに、事態は加速した。
もう、いったんスイッチ入ったベルトラン様たちの勢いってのが、凄かった。ほんとに。
まず、辺境から実測データ届く前に、ある程度こちらでも進めておこうってんで、手すきの研究員を数班に分けることにした。
研究員って、それぞれ自分の研究テーマ持ってるから、どのくらいの人数が協力してくれるか心配だったんだけどね。余計なお世話でした。
ほぼ全員が協力OKしてくれましたよ。「こっちの方がおもしろそう」って。
みんな、目キラッキラ。
まず一つ目は、同じ石で、人によって、石に蓄積される魔力の量とスピードが変わるのか、の実測データ班だ。
実験の手順は、二人組でグループ作って、それぞれ就寝時間中に石を身に着けて魔力を移す。
石の色がはっきりしてきたら、色の濃さとかかった時間と石の魔力量を記録する。
石の魔力を放出して、石をお互い交換してもう一度。それぞれの状態変化を、お互いに観察することにした。
この実験は、たまたま双子の兄弟で揃って研究塔入りしてた人達がいたので、是非にとお願いした。双子は辺境にいなかったので、ありがたいサンプルデータだ。
見た目が、魔法学校のいたずら双子兄弟に似てて「あれ?」っとなったんだけど、こっちの双子は真面目くんでした。
その他にも、正反対のタイプ同士や、似たようなタイプ同士で何組か。
俺が持ち込んだクズ石は小さめのヤツがほとんどだから、石に色が出るまでそんなに時間はかからないはず。
二つ目は、人は同じでも、石の大きさによって蓄積量とスピードが変わるのか、の班。
同じ石、を用意するのが無理だったんで、一つの石を割って、同じ石でも大きさが違うものを用意した。
割る前提で大きめ石を使ったから、それを見てた研究塔の財務担当が、「もったいない」って目を剥いてたって。
…これ、俺の持ち込み石だから。色なしだしタダだから。安心して欲しい。
三つ目、身に着ける条件によって変わるのか、の実測データ班も作ろうかとなったんだが。
石入れるポケットの布地の材質とかにこだわり始めたんで、それは止めた。綿でも麻でも変わんないってば。
あと、さすがに、寝落ちのポーズの違いで、量が変わったりしないと思うんだけどね?
睡眠の深さとか枕の質も、たぶん関係ないし。
ここの班だけ、条件まじめに話し合ってるのすら、コントに見えちゃう。やめて、ほんと、笑うから。
…だから、脇の下とおでこと手首で、そんなに違いはないってば。
で、俺とジュールさんは、俺作の魔力観測機とベルトラン様作の魔力観測機を持って、各班を回って、石の魔力を測りまくってた。
研究塔の皆様作の観測機は、個体差が有りすぎて、条件を換えて差分を測るなんて細かな計測にはちょっと向かなかったから。
みんなの部屋を回って、観測→記録、観測→記録、観測→記録…。
そりゃ言いだしっぺだから働くけどもさ。代替要員がいないのも仕方ないけどさ。忙しすぎ。
おまけに、クズ石握らせると、研究員全員、最初の一回は絶対に石パーンさせるんだよね。
…だから、石に魔力を込めるなって言ってんの。
「限界値を知りたかった。」
「どこまで耐えるか確認を。」
「再現性の確認です。」
言ってること違うようで、同じじゃねぇか。
言い訳まで全員同じって、どゆこと?石が足りなくなったらどうすんの?研究塔って、頭良すぎて一周回ったバカなひとしかいないの?
…もう、疲れたよ、パトラッシュ…。
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というわけで、数日後。
お待ちかねの週一癒しの時間です。俺得タイム。
シエルに会いに来ました!
「きてくれたんですね!」
(うおぉぉぉぉ…。)
シエルのキラキラ笑顔…!しかも、弾んだ声つき!これは浄化される…!
「はい、また参りました。」
「レインくんがくるの、まってました。」
はにかみ顔、頂きました。しかも名前呼び。
もう、ひんしで「きあいのたすき」で生き延びてたHP1の俺が、この瞬間に全回復ですよ。すげぇ。
心肺蘇生、助かる。
HP全快。「研究者酔い」の状態異常も解除。むしろ、高揚。
デバフ解除の上、浄化もされて、やるきUPのバフかかりました!
シエルってば、高性能のAEDかな。それとも、世界樹の雫かエリクサーか。
本気出したら、蘇生魔法くらい使えるんじゃないだろうか?俺限定で。
「私も、お会いできて嬉しいです。」
「わたしもうれしいです。」
にっこり。
ああ、やっぱ推しの笑顔は、プライスレス。
全俺が幸せになる。宇宙の真理。
可愛くて綺麗で健気で賢い、俺の推し。
きみを笑顔にするのが、俺の使命です。
さて、今日は何の話をして、どんなものを見せようか…。




