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死ネタ不可避の推しを生き延びさせるために、転生モブは全力を尽くします!  作者: ちまはは


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26/39

23-父子関係の攻略法は考察したことありませんが?

 

 …なんだかなぁ。めちゃくちゃ、気が、抜けた。

 なんだこのヘタレ筋肉は。


 いや、まじでヘタレすぎだろ?


『大泣きされるのが、辛くて。』?


 辛いのは、シエルだろ?

 父親として、普通にアウトだ。寝顔しか見てないのも、子供の成長曲線を知らないのも、アウトだ。


 騎士団に、子持ちの先輩いないの?子育てあるあるとか、世間話しないの?『人見知り』を知らないの?


「…シエル様の年齢であれば、もう人見知りも無く、大泣きされることは無いと存じます。」

「そうなのか?」

「そうなんです。」


 俺の頭の中の疑問は一旦抑えてみた。が、まだ、首ひねってるよ、この脳筋(ディートリヒ)

 子育てあるある聞けるほど仲のいい友達なり先輩なり、いないのかな。

 ぼっちかな、この人。偉くなると、逆に世間話する相手がいなくなっちゃうの?

 いやいや、そんなの言い訳にもならんが。


『お前それで父親か!!』をとっさに飲み込んだ俺を、頼むからだれか褒めてくれ。


 眉間に皺が寄ってるであろう俺を、ディートリヒが、ジッと見ている。


「君は、小さな子に慣れているのかな?」

「ええ、まあ。弟のような子がいるので。」

「では、聞いてもいいだろうか?」

「…なんでしょうか?」


 計測した魔力計測の結果をまとめながら、話の続きを促す。


「身近に小さな子供がいたことがなくてな。」

「…はい。」

「私の子供の頃を思い出しても、」

「…はい。」

「兄の鍛錬の真似をしていたことくらいしか覚えていない。」


 子供のころから脳筋かよ。しかも、いきなり鍛錬なの?木登りとか庭で走り回るとかじゃなく?それはそれで、すげぇな。


「話に聞くシエルは、静かで、本をよく読むと。」


 まあ、そうだろうな。

 俺も内心で頷く。天使なシエルが、静かに読書する姿。脳内再生、余裕だ。


 ディートリヒが腕を組んだ。


「勉学から逃げてばかりだった私の幼い頃とは違いすぎて、」


 …でしょうね。むしろ、想定内です。


「どう接したらいいかわからんのだ。」


 ディートリヒは、真剣な顔で言った。


「私は、どうすればいいのだ?」

「…。」


 (知らんがな。)


 危うく口から出そうになった。

 このヘタレ脳筋(ディートリヒ)は、なに真面目な顔して、初対面の年下の未成年に子育て相談をしてるんだ?

 シエルの血縁じゃなかったら、思いっきり、ケツ蹴り上げてるぞ、この野郎。


 誰だって最初から親じゃない。


 うちの(アーサー)だって、新米とーちゃんの失敗あるあるを、未だに笑い話のネタにされるくらい経験してる。村のおっちゃん連中だって、そうだ。失敗して、いろんな人に支えられてフォローされる。それを繰り返してる。


 泣かれて。

 怒られて。

 それでも、子供の側にいて、居続けたから、親になれるんじゃないのか?


 (あんたは、一歩も踏み出せてない!)

 (親になる、一歩どころかだいぶ手前で足踏みしてるだけだ!)


 喉元まで怒声が出かかって、我慢した。


 怒鳴っても、何にもならない。

 優先するべきは、シエルだ。


 シエルの心と身体の健康が最優先。笑顔と幸せを守るのが、俺の、最優先事項(ミッション)だ。

 ここは、譲れない。譲らない。


「…ふー、」


 ゆっくり息を吐いて、頭の中を整理する。


 ゲーム記憶には無かった、シエルを取り巻く環境。


 リュシエンヌの言葉。態度。

 ディートリヒのヘタレっぷり。

 ベルトラン様や、シュナイダー夫妻。モロー先生とジュールさん。


 どこかに、糸口はあるはずだ。


 みんながシエルを想ってるなら。

 想いがすれ違っちゃってるなら。


 まだ、取り返せる。

 シエルが、孤独な誕生日を迎えずに済むのなら。


 そう、思い出せ。


 まずは、「シエルくんのお誕生日をみんなで祝おう計画(プロジェクト)」の第一歩だ。



「…じゃあ、会いに行きませんか?一緒に。」



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