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死ネタ不可避の推しを生き延びさせるために、転生モブは全力を尽くします!  作者: ちまはは


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22-ついでに、魔力観測機(試)体験会

 

 ディートリヒ・フォン・シュタール。

 シュタール伯爵の次男。魔力の少なさを剣技と体術でカバーして、騎士団では第二師団の師団長補佐として騎士爵を持つ。

 シエルと顔を合わせることは少なく、家庭を顧みることのなかった父親。


『ゲーム』で明かされたプロフィールは、こんなところだ。


 ちなみに、第一師団は近衛と城内警備で、基本が高位貴族の子弟。第二師団は王都とその周辺の警戒警備で、下位貴族の子弟がほとんどだそうだ。

 当たり前だが人数は第二の方が多い。

 第二は連隊が大きく5つ。師団長補佐約10名が、国境警備、要請に応じて各領地の魔獣討伐、災害救助支援、などを持ち回りで行うそうな。


 事情通なジュールさん情報によると。

 ディートリヒは、貴族位的には第一師団でもおかしくないのだが、あえて第二を選んだという。本人が子爵位を持っていることもあって出世は早かったが、年の若い方なので、若い騎士達をまとめて、遠征に駆り出されることが多いらしい。

 王都に居ても、訓練や、連携の確認や、実務以外の書類仕事や、次の遠征準備があって、なかなか家に帰る機会がないんですとさ。ここもブラック組織かよ。

 働き方改革、マジで必要だと思うよ、この国!




 **********




 第一印象。でっっっっか!


 会議室に遅れてやってきた大男。いや、大男ぞろいの騎士団でも目立つ大男。


 短い黄鋼色の髪。日に焼けた肌。琥珀色の瞳。

 鎧を着用していなくても胸板が厚い。マジでデカい。縦にも前後にも。筋肉ヤバい。北○の拳に出てきそう。


 そして、俺の(シエル)しを放置しているらしい男。


(よし。)


 俺は心の中で拳を握る。


(逃がさねぇぞ。)


「今来られた方、こちらにお願いします。…お名前、伺ってもよろしいでしょうか?」


 俺は、手を挙げて、入り口近くに呼びかける。


「遅くなった。第二師団補佐、ディートリヒ・フォン・シュタールだ。」

「ご協力、ありがとうございます。」


 にっこり。

 手元のリストをチェックする。


「では、こちらへどうぞ。研究所から参りました新型魔力測定器試験運用担当の、レイン・グレイと申します。」


 俺の臨時の肩書は、暫定かつハッタリだ。下位とはいえ貴族がほとんどだからね、辺境の平民なのは極力黙っときたい。


「私で役に立てるかな?」

「もちろん。今回は、従来と異なる方法を用いるので、身分や年齢、立場や魔力量の違う様々な方にお越しいただけるようお願いしています」


 にっこり。

 ベルトラン様作の魔力観測機(試)を準備しながら、世間話を始めてみたりする。


「シュタール様というと、もしかして、シエル様のお身内の方でいらっしゃいますか?…あ、こちらに、指を置いて下さい。」

「なぜ、息子の名を?」

「はい、指を離してくださいね。」

「…ああ、研究塔。ベルトラン様から聞いたのか。」

「ええ、先日ジュールさんのご紹介で、話し相手としてうかがいました。」

「そうか!シエルは元気だっただろうか?」


 …息子の名前出たら一瞬瞳がきらめきやがった。

 天使のシエルと、筋肉ダルマおっさん、ぜってぇ似てねーじゃんと思ってたけど。

 表情いっしょ。ベルトラン様の名前出た時の、シエルと同じ。

 おのれ、遺伝子め。仕事しやがって。


「次は違う機械で計測します。隣へどうぞ。…お元気そうでしたよ。」

「そうか。元気か。」

「数日前のことですが…。ここへ指を。」

「いや、なかなか会えていなくてね。」

「…はい、離して。」


 話ながらの計測、ムズい。でも、やりながらじゃないと、別口で話す時間ないだろうし。


「どのくらい会ってらっしゃらないんです?」

「ひと月ほど前に、遠征から戻った夜に寝顔を見ることができてな。それ以来だ。」


 はぁ?ひと月って、何?

 しかも、寝顔って、それ会ってるにカウントされてないやつ!


 思わず、頬がヒクつく。


「次の機械に…。それじゃ、シエル様はお父上のお顔を見ていないんですねぇ。お可哀そうに。」

「私も、シエルが起きている時に会いたいのだが。」


 会いに行けよ。息子だろ。


「…はい、こちらを触って。」

「…妻が、起きている時は会わせてくれんのだ。」

「…。」


 あ、計測ミスった。

 まあ、いいか。…どういうこと?


「刺激をしない方が良いといわれてね。」


 なんてことしてやがる、あの(リュシエンヌ)


「ベルトラン様からも聞いているんだろう?」

「いいえ。ベルトラン様は、何も。モロー先生も同席されてましたが、そのようなことは聞いていません。」

「…そうなのか?」


 目を瞬かせる。ディートリヒ。


「以前、シエルに会った時大泣きされて、制御できなくなるのは困ると言われた。」

「…それって、シエル様がおいくつの頃の話です?」

「三年ほど前かな。」

「…遠征から戻られた後、とかです?」

「そう。それ以来、寝顔しか見ていない。」


 うわー、マジか。


 一歳かそこらなら、そりゃ人見知りもしますよ。しばらく見なかったら、パパの顔忘れちゃうって。

 忘れた頃にいきなりこんな大男来たら、俺だって、大泣きしちゃう自信あるもん。


「シエルの体調を気にかけているのも理由だが、」

「…。」

「…大泣きされるのが、辛くてな。泣かれたらと思うと、なかなか会えん。」


 脳筋のくせに、繊細かよ!




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