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死ネタ不可避の推しを生き延びさせるために、転生モブは全力を尽くします!  作者: ちまはは


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21-死亡フラグを全力で折りに行く所存

 

 シエルの母親に会って、モロー先生やジュールさんの話を聞いて、設定資料には無かった事情と周辺情報を得た。


 知ったからといって、リュシエンヌに対しての腹立ちというかモヤモヤというか、そういった感情が消えるわけじゃない。

 自分が、親が不在のさみしさや心細さを知ってるんなら、なおさら、それを自分の子供に味わせてる現状に気づけよ。


 モロー先生やジュールさんも、最近のリュシエンヌには、「これはちょっと…?」と思うところがあったらしい。それで、魔力観測機の件は一切口にしなかったのだそう。どう転ぶかわからないから。


 なるほどね。


 そんな母親のせいで、シエルの気持ちが、ずっと下向きで、諦め癖がついてしまってるのが、悔しい。

 もっともっと、嬉しいとか楽しいとか、そういうもので満たされているもんだろ、4歳児ってさ。


 そんな状態に追い込んだリュシエンヌ許すまじ。ここは変わらない。


 で。

 シエルには、もう一人、親がいるよね?戦犯ともいう。

 そう、シエルの父親、ディートリヒ・フォン・シュタール、だ。

 俺はカイのいとこでもあるから、二重の意味で、この人、ギルティなんだよね。言えないけど。

 ちょっと、この人にも会っとかなきゃいけないかな。と思ってるとこです。


 村を出発する時、マリナさんにこっそり確認してみたんだけど。実は、カイのこと、相手に完全黙秘してるんだって。そもそも妊娠してたことすら知らせてないらしい。

 らしいといえば、らしい話だ。

 マリナさんは、完全自立タイプの女性で、他者を頼らないし、恩を売るのも借りるのも苦手だ。

「カイは、あたし一人の子。」って。ニッと笑ってた。


 なので、俺もこの件については完全黙秘、です。


 その上で、ちょっとした計画の許可をもらいに行きたいと思います。

 さて、どこから攻めようか。




 **********




【三周目】でシエルが死んだのは、5歳の誕生日だった。


 前世の考察板に、シエルの死因についての議論が起きたことがあった。


『父も母も、離れに来なかった。誕生日を祝ってくれなかった。誰にも望まれていない自分に絶望して孤独死した。』


 死因が魔力暴走なら、テキストで「孤独死」と表現されないだろうと。魔力暴走なら、事故、となるのでは?という見解だ。

 絶望したなら、感情に引きずられて魔力暴走を起こして死ぬ方が、理にかなっているんじゃないかという意見もあった。


 5歳児の死に、理も非もあったもんじゃないが、なにせ、本編主人公の登場前のエピソードだ。詳細な記述が無くても、本筋に影響がない。

 つまり、直接の死因の記述がないし、どんな状況なのかもわからない。

 はっきりしているのは、『5歳の誕生日』と『魔力暴走』と『孤独』という部分だけだ。


 前から、薄っすら考えてたことなんだけど。


 ということは。

 この条件を揃えなければいい、ということじゃないだろうか?


 …実際は、そんな簡単な問題ではないし、揃えなかったからといって、確実にシエルの死亡フラグを折れるかどうかもわからない。

 ただ、『ゲーム』だと、15歳まで生きているルートもあるわけだし、ここが分岐だとしたら、賭けてみる意義はあるんじゃないかと思うんだ。


 なので、題して、「シエルくんのお誕生日をみんなで祝おう計画(プロジェクト)」、発動します!




 **********




 まずは、離れで誕生日会を開く許可どり。


 リュシエンヌは「刺激を与えたくない」ってたから、ここに話を持ってくのはNGだ。

 ベルトラン様は、リュシエンヌが反対した時の為に話だけは通しておきたいけど、そもそもシュタール家のひとじゃないからね。却下。

 残るは、ディートリヒ、なんだが。


 問題は、俺がいきなり騎士団に行けるのか、ということである。


 貴族でもない。騎士でもない。

 研究塔の客分の平民でしかない。


 普通に考えれば門前払いだ。


 どうしよう。助けてよぅ。ジュールえも~ん(泣)、って気持ちで泣きついたら、なんとかしてくれました!…マジか。すごいなジュールさん。まじ有能。シゴデキ。


 一応の名目としては、魔力観測機のテストモニターとして、騎士団に協力を仰ぐ、ということだそうだ。

 基本的に高魔力保持者しかいない研究塔より、いろんなパターンのサンプルがいるから。

 ちゃんとしたタテ社会の組織だからね、偉い人がOKしてくれりゃ、みんな従うって。

 肝心の偉い人は、討伐任務や有事の際は研究塔と騎士団が共闘することもあるのだそうで、断られるわけがない。んだそう。


 …そっかー。ベルトラン様見て、軍人みたいと思った俺の感性も、あながち間違ってはいなかったってことだね。


 上の人通じて、協力者のサンプルメンツの中にディートリヒをブチ込んでもらったよ。…逃がさねえからな。




 **********




 そして、翌々日。研究塔謹製の魔力観測機を持って、騎士団へ。

 場所は、なんか、会議室的なとこ。壁に装飾性高めの武器や防具が飾ってあって、いかにもな雰囲気。


 魔力計測のサンプル取りに行くって言ったらさ、「個数があった方がいいよね。」って、研究員たちがわらわらと自作の魔力観測機を押し付け…提供してくれた。


 研究塔は、俺の訪問前に、まず報告書だけ受け取ってて。内容を吟味してから俺を呼んだらしいんだけど。

 コワいのは、実機がついて無かったからって、報告書読んで実機再現しようとしたんだってさ。みんなして。で、まあまあ、再現できてたの。ほんとコワい。

 製図はあえて報告書に添付しなかったんだけどなぁ…。


 一番再現性が高かったのは、ベルトラン様のヤツ。さすが。

 で、その他に、それに近い精度のを二三個持って、騎士団へ。→今ココ。


 広めの部屋のはずなのに、もう狭い。

 筋肉って熱量高いんだね。辺境の農筋おっちゃんと同じようなニオイを感じるよ。物理的にも概念的にも。


 さて、標的(ターゲット)は、いずこ。


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