17-見えないものを、見てみよう
推しに会うのに気を取られて、自分の「お仕事」忘れてた、とんだ浮かれポンチ野郎はどこのどいつだい?
…この俺だよ!
もー、何しに王都に来たんですか、ってハナシだ。
自分で内心盛大なツッコミを入れつつ、何でもないような表情だけはキープしたよね。必死に。
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「それは何をするものなのですか」
ゴソゴソ取り出した魔力観測機に、興味津々なシエル。目がキラキラ。かわいい。
「魔力観測機、といいます。」
「まりょく…。」
あ、ちょっと表情が曇っちゃった。やっぱり、自分の魔力がコントロール出来て無いのが、コンプレックスなんだな。
魔力、って言葉に過剰にマイナスイメージがついちゃってる。
「えーっと、魔力測定器に近いんですけど、ちょっと違います。」
「どこがちがうのですか?」
「私も興味があります。」
おぅ。モロー先生も釣れちゃったよ。
そりゃ、魔力暴走の患者抱えてたら、興味持つよね。てか、モロー先生みたいな人にこそ、コレを使いこなせるようになってもらいたい。
シエルのために。
プレゼン開始です。
「魔力測定器との一番の違いは、人の魔力、だけじゃなくて、物の魔力が測れちゃうことです!」
「「「え!?」」」
シエルとモロー先生とジュールさんの声が、キレイにハモったよ。
てか、何でジュールさんまで驚いてるの。あなた、さんざん見てるでしょ、資料。
「レイン君、一番、ってそこなんですか?より正確に測れるってことじゃなくて?」
「ええ、そのように聞いていました。精確な計測器だと。」
親子で同じ表情で、同じリアクション。仲いいな。
「そうですね。結果として今までのものより精確な魔力計測ができる装置です。」
俺が、マリナさんを助けられて、王都まで呼んでもらえたのは、コイツが「より精確」なことが理由だけど。
「ですが、それだけではないんです。」
「どういうことなのですか?」
シエルが首をかしげる。かわいい。天使。
今日のプレゼン相手は、研究塔の大人じゃ無いので。
メインターゲットは、ズバリ、シエルくんです!
シエルに興味を持ってもらって、まず魔力測定の忌避感をなくすのが、最大の目的なので。
前世の科学技術館の説明係のお兄さんに、なりきるイメージです。
「えーと、魔石や、魔獣核、ありますよね。」
「はい。」
魔獣核の名前は、つい最近知ったばかりだけど。実物は昔から見てたし、知ってた風でいきます。ジュールさん、笑わないで!
「岩や魔獣の体内で、魔力が凝縮…、積み重なってギューッと一つのところに集まって出来たもの、です。」
「はい。」
うなづいて聞いてくれてる。よしよし。
「人、以外でも、魔力を持っているものがあれば、その魔力を測ることができます。」
魔力は人だけのものじゃない。
この世にあまねく存在するもの、だ。決して、特別、なものではない。
まず、それを知ってほしい。怖いものじゃないからね。
「例えば、この石。見てみて。キラキラでしょ?」
「わぁ、キラキラですね。」
クズ石(加工後)を何個か掌に並べてみせる。
小さい子って、キラキラ、好きだよね。
「これはすごく小さいですが、魔獣核、です。」
「これが、まじゅうかく…。きれいですね。」
はい。シエルに見せるために、とっておきのキラキラ持ってきました。いろんな色を取り揃えてみましたよ。
シエルの瞳も、負けないくらいキラキラで、俺、大満足。
「どの色が好きですか?」
「ぜんぶ、きれいです。でも、いちばんはこの青の…。」
ちょっと恥ずかしそうに、石を指すシエル。ぎゃんかわ。
脳内メモリーに焼き付けときます。
「この色きれいですよね。」
「はい。」
シエルが選んだ石を、魔力観測機の上に置く。
シエルの瞳の色より、ほんの少し濃い色。俺も、この色、好きかもしれない。
「ここ、見てください。針が動いてるの、わかりますか?」
「ほんとだ。うごいてます。」
「針の先が指す数字が、この石の持ってる魔力、ということです。」
魔力を可視化数値化するのに、どんだけ辺境のいろんなとこやいろんな物を測りまくったことか。
頑張ったなー、俺。頑張ったご褒美に、推しの笑顔見れてるぞ。なんて俺得。おつり来る。
「別の石を乗せてみますか?」
「はい!」
今日イチ、シエルの元気な声。最高。
そこからしばらくは、石の魔力を測る遊びが続いた。
モロー先生やジュールさんまで、楽しそうに。
しばらくして、シエルが俺を振りかえる。
「もしかして、花や草にも魔力があるのですか?」
いい質問ですねぇ!




