7月 居候日記 その1 勉強と病院と女の子と 大騒ぎ
未成年の飲酒・喫煙表現がございますが、それを推奨するものではありません。
居候日記 7月24日(日) 曇のちやや晴
今日から三週間の予定で始まった居候生活。
まーいいんでない? で、片付けましょう。
東京駿台予備校の夏期講習に参加すべく、伯父宅にお世話になる事になった。
ちょっとやそっとで終わる筈も無い予習はやはり終わりませんか。こりゃ一日中勉強しなきゃなりませんね。まじですね。
車で送ってくれた父は、伯父夫婦に自身の事業について語っていた。父の野望は果てしなく、偉いもんだと思いはすれど、庇護される我が身は一生親から独立出来ないかしらん、と感じてしまう。
就寝時間22時と決まってしまいました。お父さん、もう少し考えてくださいよ〜。
明日は6時起き。6時半出発。
7月25日(月) 曇時々雨、夕方から夜半迄雨 23時24分
『梅雨明け直前』なんてシラケてしまう程の大雨。
0時になった。眠い。夏期講習の勉強は面白いけど、時間が足りない。相当、要領良くやらなくては。
今日は初日だったが、通学電車でも、予備校受付とその後の授業でも、問題無く上手くいった。よしよし、良かった。
でも余り遊べん事も分かった。何しろ時間が無い。学食で食後の茶をすすりながら、
「この後は、これで帰って勉強かぁ〜」
と思うと嫌になった。
本屋に行った。流石にでっかい。蔵書量が膨大である。
授業は面白く、高校の授業だけでは、受験は出来んと思った。
もう寝る。
7月28日(木) 晴
母校音楽部OBさんは駿河台大学入試前日、大学生の先輩の下宿に泊り込み、一升瓶を二人で空けたそうな。二日酔いにも拘らず受かったそうな。
あー、こうでなければならん。これが良いのだがな。でも、どんなにそれに憧れ自分もと思っても、実力が無ければやはりそれは、映画のワンシーンのように手の届かない偶像でしかない。滑稽な道化である。
インドに行く女の子なんかいるわけネェがな! ロッカー、夏期講習中にナンパ。
「ネェ、インドいかない?」
爆笑!
つまんねぇなぁ〜。つまんねぇなぁ〜。こんなにも束縛が煩いとは思わなかった。こりゃ勉強より何より、こっちで参っちまうよ。
早くもムードの良い喫茶店でくつろぎたい欲求が出て来た。このまま感情を抑えられるか。
ラムちゃーん、恋しいよ。
7月30日(土) 晴のち曇のち夜に雨
地元工業高校が甲子園出場。きっと市内はお祭り騒ぎだろう。今、地元に居ればなぁ。
ロッカーは鼻が油っぽくて嫌だから、一日何度も顔を洗うと言う。予備校でも洗うそうだ。笑える。兼部曰く
「おめぇ! 駿台出るまで、話掛けんなよ!」
国語文章問題に雪山が出ると、ロッカー
「雪山って登っちゃいけないんだよ」
ただただ笑い。
兼部がロッカーと何度も握手をする。
「僕も混ざりたい」
と参加し、やがて
「おめぇら、何とかしろよ!」
と二人が言い出すまで続けた。
ロッカーがルノアール(喫茶店)で突如席を立って歩き出し、電話を掛けに行く。
「台風みたい」と僕。
その日からルノアール巡りが始まってしまった。
父がやって来た。伯父と同居の祖母の体調が悪くなったので。
お婆ちゃんが眠っているのに父がその顔を弄っている。僕は起こさないか心配でそっと見ていたが、父は止めない。そのうち、起きたであろう祖母は、目を閉じたまま口元が笑う。
父と祖母の母子の情を感じてか、胸が熱く苦しくなってしまった。涙まで出た。
昨日、病院に行ったら、突然放射線治療がまたまた始まった。
……ぶっとんだ、思考が。
「夏期講習は面白い」
とコメントしていたけど、どんどん難しくなる。明日テストがあり、飲み会もある。がんばろう、どっちも。
今日は兼部が宿泊先の予備校の寮から出て来ないので、仕方なく部屋まで迎えに行ったら、部屋のテラスで何か飲んでいた。
「あー、一人で乾杯してしまいました」
粋だね。
7月31日(日) ものすごく晴!
東洋大に見学へ。もの凄く暑く、日陰も無い。汗がだらだら流れて困った。
金が無いから、パチンコがすぐ終わった。隣を見ると、玉を残して帰っている。
兼部「ロッカー、取れ!」
僕「取ったら、神話ですよ」
夜には銀座の Beer Garden に行った。女の子も居ないし先輩も居ないのに、盛り上がってしまった。やはりアルコールの力は凄い。素晴らしい。
ソーセージピザが最初は確かに八枚あり、一枚残った時点で、皆自分は二枚しか食べていないと主張した。
「最後まで残しておこう」
と言うのでそうしたが、帰り際に僕とロッカーがトイレに行って戻ると、ピザは無し。兼部は笑みを噛み殺す。
「これは洗ってないよ、汚い」
と悪口を言っていたレタスを僕とロッカーは未練がましくかじった。
帰りの電車の中、兼部と二人の丸ノ内線。会話も無し。
僕「僕達疲れてるんだね」
兼部「そりゃそうだよ。百十分も授業をやらせるんだもん」




