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5月 音楽部の合宿に参加

未成年の飲酒・喫煙表現がございますが、それを推奨するものではありません。


 5月8日(月) 晴

 

 このような日を北杜夫氏は『良日』と呼ぶ。

 恐らく彼はその就寝前の一時、暖かい気分で、実際それを具象化する布団に包まれ、幸福な眠りに就いたことだろう。

 そして今、僕はまさに布団に包まれんとしている。

 

 テストが終り昨日、図書館に付き合った勢いで、兼部とロッカーとまた一緒に、満たされた気分で昼食を終えた。早やする事も無く、どうするどうすると悩むのも怠く、発端は


「自家製トロピカルドリンクを飲みたい」


から、そして前代未聞の昼間からの宴会が始まったのだ。

 

 何とも協力的な我家だからこそ出来た技で、盛り上がった宴会は今思えば Lucky な事に、皆アルコールが入ると多弁になって有意義に、実に有意義に白昼堂々と営まれたのであった。

 これからの新形式として、発展・改善を我家の負担を軽減する方向に向かって、期待する。




 5月10日(火) 晴 0時2分

 

 あー気分が悪いな。イライラだ。早や受験生になってしまったか。面白い事は無いだろうか。あろう筈も無く。

 

 弓道? やって好きだけど面白いけど、限界だね。極限だ。部内があの雰囲気だもんね。もっと真面目な部だったらな。運動部の厳格さと爽やかさと、そして男臭さとを素晴らしく融合した部であったらなぁ。

 弓道なんて経験するのは珍しいし魅力ある武道であると思うのに。いい加減な連中で残念だよ。あーくさるなー。

 運動とかスポーツとか、実感出来ない。僕は知らない。今後はどうなるのか。

 

 借りた本は面白くない。明日返そう。


 青春ってこういうの? 俺は考えちゃうぜ。よし、もう今日は勉強はやめやめ。

 

 vivid 鮮やか

 vigorous 元気よく生き生きと


 何て空しく聞こえる言葉だろう。

 

 もう、やーんなちゃったな。皆どうなんかな。不安かな焦燥かな。イライラ、イライラするなぁ。拠り所が無い。酒でも飲もうや。       

 


             

 5月13日(金) 雨のち曇のち晴 23時4分

 

 「酒でも飲もうや」


と荒れた翌朝、僕は怠さに支配されていた。休みましょ。で、学校を休んだ。

 結局休んだにもかかわらず、昼過ぎに起き、ウロウロボンヤリ。実際これだけ時間を無駄にすると言う事は、かなりの重労働の筈で、嫌になっても良い筈だけれど、不思議にも随分と昔から働いている。


 さて木曜はどうしたか。学校に行きましたよ。休んだ理由の暴露に及ぶと兼部は


「実際それは正解だったよ」


と笑った。


「だよなぁ〜」


と思いながらも、情けない事をしたものだと自覚する。

 

 

 「音楽部の合宿に来いよ」


と兼部は誘ってくれた。

 部外者が出しゃばる事を、この上なく厭う、と言うか照れる僕は、結構悩んだのだ。悩んだ結果、音楽部の雰囲気に憧れ、彼らの話す話題や態度に憧れ、何よりバンドに参加して play するノリに憧れ、そうした思いがあったにもかかわらず、音楽部に入るのを躊躇し後悔し続けたこの二年間を想って、


「せめてこの合宿ぐらい参加して、思い出を作っても良いのではないか」


と決心し出掛けて行ったのである。一年上の先輩(OB)達に知らない先輩(OB)が居ない事も大きかったが。

 

 そこで僕が見たのは、やはり高校生の若い姿だったのだ。馬鹿騒ぎに己を忘れ(そこにアルコールが混じるのが他と幾分異なる点だが)先輩を恐れ後輩を構う。

 

「今一つ、付いて行けない」


と自分では言う兼部と合宿所屋上で白煙を吐くのも、また良かった。

 蒲団蒸しに僕はターゲットにならなかったが、恐らくロッカーが意識して避けてくれたのだろうが、その気遣いが有難くも少し悲しい。


 馬鹿騒ぎに打ち興じながらも理性を失わない、己れを失う瞬間の短さに、僕の悲しさの原因がある。どうして損得をあんな時に考えねばならんのか。もっともっと乗りまくってみたい。


 高三である僕。高校時代をどう過ごす。




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