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12月 異端児願望と同窓会

未成年の飲酒・喫煙表現がございますが、それを推奨するものではありません。

 



  12月1日(火)0時11分

 

 怠い為、字が丁寧かつ薄くなる。


 学校帰りに飯山の家に行った。

『環境音楽』なるものを聴かされた。

ブライアン・イーノ(イングランド)

とにかくメロディーを無視した電子音楽であるようだ。

スティーリーダン(アメリカ ロックバンド)を褒めたら、レコードを買わねばならなくなったようだ。

ロバート・ワイアット(イングランド)これは良かったね。LPが欲しいね。

それから、ライ・クーダー(アメリカ)も良いけど、あのジャケットは感心しない。




 12月14日(月)

 

 さて、久し振りである。

師走に入って期末テストも終り、後はなにも無い。冬休みを待つのみとなった。本当なら冬休みに忘年会が何回出来るだろうか、とか考えていれば良かったのだが、どうももっと深刻な問題があるのである。

 

 クリスマスから正月にかけての海外旅行。とは言っても小笠原諸島のちょっと先、グァム島なのだが。それでも海外は海外。面倒臭い事。今日も学校を早退し、前橋までパスポートの申請へ。手の掛る事。

 

 しかしねぇ、そんな事よりずっと僕の心を悩ませ続けている事がある。

僕は決して痩せてはいない。普通より少し太っている。その上、いささかO脚だ。情けない。小太りはともかく、O脚なんて直しようがない。

 いくら僕が今後の努力の結果、スマートな肉体と高い教養を身に着けても、アンヨが曲がっていたのでは、キマらないではないか。もう僕は耐えられない。何とかならんものかなぁ。

 

 

 とうとう数学の赤点が帰って来た。しごく当然であるが、こたえる。

 数学の小林先生は良い人だ。あの人の為にも、僕自身の為にも、点数を上げねばならぬ。がんばらねばならぬ。期末テストも惨憺たるものであった。

このままでは終わらせない。それだけである。

 

 土曜の夜、久し振りに宴会があった。無論、出席。今回はなかなか豪勢であった。と、言っても氷、コーラ、ポテトチップス(考えてみたら、コーラは前回の残りで僕が持っていったものではないか。ポテトチップスは今回僕の持参品だし……。ウィスキー一本千三百七十円。これに六百円も僕が出している。ほぼ僕の出費による宴会ではないか?)いやぁー、ウイスキーのおいしい事。これからもせめて一級を飲もう。

 

 今回の宴会は強く思い出として残るだろう。いつも印象的だが、今回のはちょっと勝手が違う。First(初期)はいつものようにアホ臭い事も交えて、笑いながらの宴会であったが。 

 

 飯山くんも明くる日が日曜日であった為か、ウイスキーがよほど美味しかったのか、平衡感覚を失う程酔っていた。僕もほぼ同量飲んでいたが、彼ほどではなかった。何故かは今をもっても不明である。

 

 おかげで彼と彼女 Keiko ちゃんとの  romance が聞けた。

そーか、ここからだった!始まりは!

 

 彼はどーも中学生時代かなりのもて様だったらしい。何故、相当数(四、五人でも相当)の女の子から告白をされたにも関わらず Keiko ちゃんを選んだのか。この質問があの哲学的討論会を生んだのであった。

 

 感想から先に言っちゃうと、参った。

飯山にしろ薄川にしろ、よく考えている。

 それまでは僕もそれらの自論に関しては人並み以上であると自負していたのだが、その気持ちはあの数時間の間に跡形も無く消し飛んでしまった。会話についていけないのである。知識も経験も、その量において負けた。恋愛論、教育論、音楽論、読書とは何ぞや、書物からの影響、尊敬すべき人々から受けた影響、理想の女性像、己が将来の展望等、その情報量たるや大変なもの。

 

 例えば読書について。

薄川は『人生劇場』(尾崎士郎作の自伝的小説)なんてのを読んでいる。これも参ったね。そして、それは単に読むだけにとどまらず、彼の思想に多大な影響を及ぼしている。これは、あの長編小説の読破を三度目に突入している事からも伺え、何より彼自身が口にしていた。

 

 彼らはこうも言った。

 今まで時代を創ってきた人々は偉大であり、その時代以前の中を生きていた時は、常に異端児であったと。

次の時代を創る者は、その社会から後指刺され、後の時代では英雄となる者であると。

 そして彼らは異端児になりたいと言うのだ。


 残念ながら、それは理想論である。理想ではあるが、それを実現させたいというだけの心意気を、彼らはその胸の内に秘めていたのであった。 

 

 こんな話を聞かされて、僕は複雑な心境になった。

 今までの彼らのイメージを改めなければならなかったし、何より僕はそんな考えを一度だって持った事が無かったからである。日頃の彼らのバカ騒ぎの中に、大宇宙の広がりが存在していたなんて。


 しかし、僕も驚いてばかりもいられない。僕も将来について語った。具体的な事は避けたが、自分の素直な気持ちを述べた。すると二人は言った。

「若さが無いなぁ」  

そんなこと言ったって……。

 

 『異端児でありたい』というのは誰しもが夢見る。


 そしてそれに挫折し、人の大多数は昔の夢を笑いながら語る。そこに詩・物語が生まれる。と思っていたのだが、さて、おかしいぞ。僕は異端児を夢見た事があったかな。


 では、彼らの言う異端児とは何か。

時代を拓くというのだから尋常なことじゃない。けれどそれは何でもいいのだ。具体的に職種だって何でもいい。政治家とか音楽家とかジャーナリストじゃなくてもいい。ただそこに気力と信念がありさえすれば。


 彼らにそう伝えたとしたら

「違うんだよな」

と言われそうだが、これは熟考したんだから折れないぞ。とすれば僕だって異端児を夢見ているのじゃないのか。

 

「若さが無いなぁ」

「君はこのままいけば、そこに面白味は無いけれども、そうなれるよ、素直だから」


 非常に腹が立つけれど当たっている。僕がこの先努力して、その手段たる成績向上を成し遂げ、大学に進み、職に就きと、当り前のコースを欲しており、そこには確かに彼らの言うところの面白味は無いだろう。

 そしてそれらを成し得る可能性があるのは、僕が『素直だから』だそうだ。


 僕は間違っているのか。そんな事は無い。

 では何故彼らに遠いものを感じるのか。道の違う人達なのだと割り切れないのか。


 理由の一つは簡単。

今までこんな風に正面切って、俺達はこう、お前はこう、と言う会話の経験が無かったからだ。僕に与えた影響は相当なものである。


 もう一つもすぐ出た。

彼らのイメージとの格差である。飯山はともかく、薄川の方は驚きを隠せない。

 理由はこれだけの筈が無いがすぐに出てきそうもないので宿題にしておこう。

 兎にも角にもかなりの影響を及ぼした事は事実である。

 


 オリビア・ニュートン・ジョンの来日は年明けになるかと思っていたら、元気にヒットスタジオに出演していた。さすがに可愛かったが、三十三という歳はその可愛さのあちこちに現れていた。

 男性にもあるが、全女性の若く美しくありたいという願望が、あの可愛い顔に集約されているように見えてならない。




 12月24日(木)

 

 今日、早起きして東京へ行った。終業式を休んで米大使館でピザを貰う為。

 しかし面倒な事だ。ツアーで行けば、前橋にパスポートを取りに行く事も、わざわざ新橋まで行かずとも済むというのに。母方の叔母の友人を個人で訪ねて行くからだ。しかも未成年が一人で。

 が、これでもう準備は万全。後は成田空港での搭乗手続きだけだ。


 しかし、航空券を手配してくれた日本航空のお姉さんにも言ってしまったが、あまり嬉しくないし、しっくりこない。だって早急過ぎるよ。話が出て一ヶ月程度だけど本決まりは二週間前かな。

 

  グァム在住の日本人・聖子さんはいい人らしいけど、国際電話で声を聞いたら、相当なお婆ちゃんだった。

 だけど、心真に考えたけど、僕は向うに着いたら何をしたらいいんだろう。父はしっかり充実した勉強をして来いと言うけど、反面いろいろコミュニケーションもはからねばならんようだし、グァム見物もせねばならんし、困った。

 こうなったら出たとこ勝負でしょう。

「More slowly」

「Once more, please」

で切り抜けよう。いざ!

 


  父にやっぱり怒られた。彼の心中に溜っていたものを担任篠山先生からの電話(成績不振の懸念)が弾かせたようだ。嫌だな、言う事がいちいち正しいんだもの。

 父が思っていた事は僕だって思っていたよ。もう限界だ。これ以上の遊びは出来ない。本当に。

 

 怒られてから考えていた事の一つに態度がある。

 僕は今まで例えヘロヘロしていても、締める時は締め、勉強もヤレると思っていた。しかし、これではダメだ。

「い〜よ、山田く〜ん」(笑点)

などと言っていてはダメなのだ。改めるぞ、絶対に。


 と、思ったのが昨日の事。

この『絶対』が甘かったから、今日も今日とて妹にちょっかいを掛けて

「お兄ちゃん、暇だね」

等と言われてガックリくるのだ。


 吉田拓郎氏はその昔怒っていた。武田鉄也氏の言葉を借りるなら『とんがって』いたのだ。

 僕も小六、中一位まではとんがっていた。迫力があった。あの頃の僕の眼つきはかなりキツかった筈だ。今の僕の目は笑っている。そこらのアンちゃんと変わりないではないか。

 僕はこれから怒る。ここで怒れなかったら僕の人生は決まってしまう。勝負どころだ。

 皆、僕の目を見よ。

 


  明日は中学の同窓会。皆来るといいけどね。




 12月25日(金)

 

 同窓会。

フジサワ床屋に行き、学校に成績表を取りに行ったら、遅れてしまった。四階まで階段を登り、疲れた。皆もう来ていた。 

 

 それにしても女の子七人というのは寂しい。ギャーギャー騒ぐヤツが居なかったのは良かったが。

 皆、すごい頭してやがんな。オールバックもいればロックバンドみたいにリーゼントもいた。でも悪いヤツじゃない。ツッパリ兄ちゃんだって悪人では無いという事だ。

 女の子は皆思い思いに可愛い格好をしていた。非常に楽しい時を過ごした。女の子との会話が、あんなに楽しかったなんて、すっかり忘れていたよ。

 おかげで、渋く決める予定だったのに、ニコニコしちゃった。

 鹿島さんも可愛かった。丸山さん、たまにはスカートで来てよ。似合うと思うよ。

 

  二次会に女の子がファミレスに行っちゃって、後から探して追いかけたら三十分も掛っちゃた。だけど席がバラバラじゃ意味無いでしょ。

 

 その流れで我が家へ来た。人口密度がえらく高くなっちゃった。解散は17時40分ぐらいかな。忙しい事、片付けが。

 次回はいつだろうネ。こんな風に気さくにやれるかね。



 遂に明日、グァムに出発。

心配事や考えねばならぬ事、勉強など、思いは数多くあるけれど、それにはチャッと蓋をして、心を決めねば。


 今年はこれで日記はおしまいかな。明日の朝、書けるかな。とにかく、良いお年を。





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