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来孫  作者: 赤坂秀一
第五章 黒幕
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48 標的

圭子がいなくたった後、すべてが一変した。


あとは、警備局が解決してくれるとは思うけど……



今回、更新が遅れました事をお詫び申し上げます。最近暑さにやられました……

 やっと二十一世紀に戻って来た。来夢(らいむ)が最後に言っていた言葉は、ちょっと気になるけど……


「それじゃ、私達は帰るね!」


 そう言って未玖(みく)さんと水嶋(みずしま)さんはファスナーで壁を開いていた。


「うん、じゃあね」


 そう言って希美(のぞみ)さんは未玖さんと水嶋さんを見送った。


「希美さん!」


 僕が希美さんにそう呼び掛けたとき、彼女が言った。


「もう、そうじゃ無いでしょう」


 彼女は恥ずかしそうにそう言った。えっと…… どういう事?


「あの…… そうじゃないって何がですか?」


「もう…… 私達は付き合っているんでしょう! だったらさん付けじゃ無くても良くない?」


 えっ、それって『希美』って呼んでってこと……


「あっ、えっと…… それじゃ、僕の事も、その……」


(ひびき)…… で良い?」


 希美さんは顔を真っ赤にしながらそう言った。 うん、なんて良い響きだ。


「えっと、の、希美……」


「なに、響?」


 いや、新婚夫婦でもないのに何だか、凄く照れくさい……


「恥ずかしいですよ……」


「それは、私だって…… いきなり呼び捨てはちょっと……」


 いや、言い出したのは希美さんだし、元々僕の事は『倉橋(くらはし)』って呼び捨てだったと思うけど……


「ねえ響、事件は解決したんだよね!」


 えっと、そっちに戻っちゃうんですね……


「えっと、圭子(けいこ)は亡くなったし、舞龍(まろん)達は催眠から覚めた訳だから、もう安全だと思うけど……」


「でも、山田颯太(やまだそうた)は捕まって無いよね」


「うん」


 確かにあいつはまだ、捕まっていない…… しかし、姿を見せて無いのも事実だ!


「元々来夢が狙われていて、なかなか仕留める事が出来ないから僕を狙っていた」


「それなら響の前に姿を見せても良いはずだよね!」


 そうなんだよな…… 出来る事なら姿を見せなくても良いけど…… その前に山田は僕の前には姿を見せない。もう諦めたのか……


「ひょっとして、他にターゲットを変えたのかな?」


 希美がそう言うけど……


「例えば……」


「うーん…… 例えば響の孫とか曾孫」


 うーん、確かに、僕が無理ならその辺を狙っても……


「でも、何故山田は来夢さんの事を狙っているのかな?」


 うん…… それに城島(じょうしま)組から資金提供があるのも解らない。


「たぶん、逆恨みで狙っているんだと思うけどね」


 その時僕のスマホが鳴った。


「もしもし」


『あっ、響』


 母さんだった。横浜へ帰って以来の電話だ。


「母さん! どうしたの?」


『それがね、変な黒ずくめの男につけられてるみたいなの』


 変な黒ずくめの男? まさか、山田颯太!


「母さん、その男に何かされた?」


『ううん、私の行くところに必ずいるだけなんだけど』


 見張られている?


「母さん、来夢に相談してみたら」


『えっ、だって私連絡先知らないよ』


「えっ、なんでさ」


『だって、私の若い頃はスマホなんてなかったから……』


 はあ、確かに…… でも、最近も逢ってたでしょう!


「解った! 僕が訊いとくから」


『ええ、お願い。ちょっと気持ち悪いから』


 まあ、知らない男につけられるのはちょっと怖いかな……


 僕は来夢に連絡した。


『どうしたの響君?』


「いや、それが…… 母さんから連絡があって、黒ずくめの変な男につけられているみたいなんだ、まさかとは思うけど……」


『あっ、たぶんそれは警備局員だね』


 警備局員? どういう事だ。


「警備局が何故母さんを……」


『だって、山田颯太に狙われたら困るでしょう。響君もそう思ったから連絡して来たんでしょう』


 まあ、確かにそうだけど…… 母さんを消した所で来夢が消える訳じゃ無いはずなのに……


「あまり関係ないような気がするんですけど……」


『でも、二十年前の郁子(いくこ)先生と今の先生に私は接触してるから、だから警備局員をつけてるの! 何かあったらすぐに対応出来るようにね』


 はあ…… 良かった…… 山田が狙っていたらと思うとゾッとする。


「でも、それなら前もって言って下さいよ」


『だって、今朝気付いたんだもん!』


 まあ、来夢ってそんな奴だった……


『それであなた達にも警備局員を付けてるから、あまりいちゃつかないようにね』


「えっ!」


『警備局員から連絡があってるから、イライラするくらい仲が良いって!』


 えっ、そんなとこまで監視されてるのか! 僕は恥ずかしくて赤面してしまった。


「あの、プライバシーの侵害はやめてください」


『はいはい』


 まったく未来人は何をしているか解らないな……


『まあ仲が良いのは良いけど、怪しい奴を見掛けたら連絡してね!』


 来夢はそう言って電話を切った。もう、二十一世紀には滞在しないのか……


「ねえ、顔が赤いけど……」


 はあ、そうだった! 僕は希美にも警備局員が張り付いている事を話した。


「えっ、それって、今までの事、みんな見られていたの? は、恥ずかしい……」


 そう言いながら希美は、クッションに顔を埋めていた。


 か、可愛い……


 そんな彼女を僕は、また抱き寄せてしまった。


「もう、そんな事したら…… 見られてるんだよね……」


「うん、でも、良いんじゃない!」


 少しでもこうしていたい。


「そうだね……」


 彼女の顔は赤く染まっていたけど、でも、希美と一緒ならどうでも良い事かな。


 その時だった……


『ピンポン!』


 インターフォンが鳴った。誰だろう?


「響、私が出るよ!」


 いや、ここは僕の部屋だから…… それに龍己(たつみ)だったら、またややこしい事になる。


「ううん、僕が出るから」


 そう言ってインターフォンに出た瞬間だった……


『倉橋響だな』


 この声を聞いて、山田颯太だとすぐに判った!


『よくも、散々邪魔してくれたな、ただじゃ済まさないからな』


「邪魔、そっちだって結構酷いことをしてるでしょう」


『ふっ、酷いか…… 何の事を言っているのか解らないな』


「舞龍達や圭子の事も…… 彼女をアンドロイドにしたのは貴方ですよね」


 僕がそう言うと山田は……


『ハハハ、よく調べてるな、まあ、来夢の力を借りての事だとは思うが……』


「亡くなった圭子をどうやって連れて行った?」


『あれは簡単だよ』


 簡単だと……


「どういう事だ」


『ふふふっ、葬祭場の職員になりすまして、親族から彼女を預かった後他の遺体と入れ替えたのさ! 遺体が無いと怪しまれるからな』


「他の遺体は?」


『城島組が準備してくれたよ』


 な、なんって奴だ!


「結構、酷い事をしてるんですね」


『手段を選ばないだけさ……」


 やばい! どうしよう……


「希美、山田颯太だ!」


 そう言ったその時だった!


『そろそろ、お喋りも終わりだ…… 死ね』


『バン、バン!』


 二発の銃弾を撃ち込まれた。狙いはほぼ正確だ!


「響! こっち」


 希美はファスナーで壁を開いていた。


「響、早く!」


「バン!」


「きゃあ! 響」


 希美の悲鳴が聞こえる中、僕達は辛うじて開いた壁の中へ逃げ込んだ。


「響、大丈夫?」


「うっ、うん…… 大丈夫」


 銃弾が僕の肩を掠めたみたいで、出血していた。


 希美がハンカチで僕の肩を押さえてくれた時、何処からとも無く黒ずくめの男が現れた。


「大丈夫ですか!」


 まったく…… もっと早く出て来れなかったのか……


 その時、上空にUFO、いや来夢だ! シルバーのバケットハット型のタイムマシンが現れた。


『響君、大丈夫?』


 僕と希美、それと黒ずくめの男の三人はオレンジ色の光で、タイムマシンの中に吸い込まれた。


「まったく、おまえは何をしていたの?」


「すみません…… サーモスコープで壁越しに狙われました」


「山田は?」


「銃弾一発、命中しましたが逃げられました」


「解ったわ! 持ち場に戻って」


 キリッとした厳しい目から優しい目に変わった来夢から……


「ごめんね響君、肩大丈夫?」


「うん、擦り傷だから」


 とは言っても、やっぱり撃たれると痛い。


「来夢さん、圭子は葬祭場で火葬前にすり替えられたようです」


「という事は、他の遺体は城島組から提供されたってことね……」


 山田颯太は、舞龍達と違って酷すぎる。まあ、暴力団と繋がりがある訳だからそういう事か……


「来夢さん、これって、どうなっているの?」


 来夢はちょっと俯きながら……


「どうやら本格的に山田は、私達を狙って来たみたいね……」


 まあ、それは間違いないと思った。


「来夢さん、メディカルボックスを借りるよ」


「うん、希美、側に付いててあげて」


「うん」


 僕と希美はメディカルボックスの中へ入った。相変わらず、ここは気分が良くて不思議なところだ。


「ねえ響、これからどうなるのかな?」


「大丈夫、僕が守るから」


「うん、ありがとう…… でも、学校へ行ってる間は無理だよね」


 希美はとても不安なんだと思う。今のところ狙われているのは、来夢と僕の二人だと思うけど…… 彼女は僕に抱きついて来た。僕も優しく彼女を抱き寄せた。


 あとは、警備局と来夢に頼るしかないよな……

いよいよ、山田颯太が本格的に僕を狙って来た。来夢の事を考えると、僕は生き延びなければならないが……

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