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圭子がいなくたった後、すべてが一変した。
あとは、警備局が解決してくれるとは思うけど……
今回、更新が遅れました事をお詫び申し上げます。最近暑さにやられました……
やっと二十一世紀に戻って来た。来夢が最後に言っていた言葉は、ちょっと気になるけど……
「それじゃ、私達は帰るね!」
そう言って未玖さんと水嶋さんはファスナーで壁を開いていた。
「うん、じゃあね」
そう言って希美さんは未玖さんと水嶋さんを見送った。
「希美さん!」
僕が希美さんにそう呼び掛けたとき、彼女が言った。
「もう、そうじゃ無いでしょう」
彼女は恥ずかしそうにそう言った。えっと…… どういう事?
「あの…… そうじゃないって何がですか?」
「もう…… 私達は付き合っているんでしょう! だったらさん付けじゃ無くても良くない?」
えっ、それって『希美』って呼んでってこと……
「あっ、えっと…… それじゃ、僕の事も、その……」
「響…… で良い?」
希美さんは顔を真っ赤にしながらそう言った。 うん、なんて良い響きだ。
「えっと、の、希美……」
「なに、響?」
いや、新婚夫婦でもないのに何だか、凄く照れくさい……
「恥ずかしいですよ……」
「それは、私だって…… いきなり呼び捨てはちょっと……」
いや、言い出したのは希美さんだし、元々僕の事は『倉橋』って呼び捨てだったと思うけど……
「ねえ響、事件は解決したんだよね!」
えっと、そっちに戻っちゃうんですね……
「えっと、圭子は亡くなったし、舞龍達は催眠から覚めた訳だから、もう安全だと思うけど……」
「でも、山田颯太は捕まって無いよね」
「うん」
確かにあいつはまだ、捕まっていない…… しかし、姿を見せて無いのも事実だ!
「元々来夢が狙われていて、なかなか仕留める事が出来ないから僕を狙っていた」
「それなら響の前に姿を見せても良いはずだよね!」
そうなんだよな…… 出来る事なら姿を見せなくても良いけど…… その前に山田は僕の前には姿を見せない。もう諦めたのか……
「ひょっとして、他にターゲットを変えたのかな?」
希美がそう言うけど……
「例えば……」
「うーん…… 例えば響の孫とか曾孫」
うーん、確かに、僕が無理ならその辺を狙っても……
「でも、何故山田は来夢さんの事を狙っているのかな?」
うん…… それに城島組から資金提供があるのも解らない。
「たぶん、逆恨みで狙っているんだと思うけどね」
その時僕のスマホが鳴った。
「もしもし」
『あっ、響』
母さんだった。横浜へ帰って以来の電話だ。
「母さん! どうしたの?」
『それがね、変な黒ずくめの男につけられてるみたいなの』
変な黒ずくめの男? まさか、山田颯太!
「母さん、その男に何かされた?」
『ううん、私の行くところに必ずいるだけなんだけど』
見張られている?
「母さん、来夢に相談してみたら」
『えっ、だって私連絡先知らないよ』
「えっ、なんでさ」
『だって、私の若い頃はスマホなんてなかったから……』
はあ、確かに…… でも、最近も逢ってたでしょう!
「解った! 僕が訊いとくから」
『ええ、お願い。ちょっと気持ち悪いから』
まあ、知らない男につけられるのはちょっと怖いかな……
僕は来夢に連絡した。
『どうしたの響君?』
「いや、それが…… 母さんから連絡があって、黒ずくめの変な男につけられているみたいなんだ、まさかとは思うけど……」
『あっ、たぶんそれは警備局員だね』
警備局員? どういう事だ。
「警備局が何故母さんを……」
『だって、山田颯太に狙われたら困るでしょう。響君もそう思ったから連絡して来たんでしょう』
まあ、確かにそうだけど…… 母さんを消した所で来夢が消える訳じゃ無いはずなのに……
「あまり関係ないような気がするんですけど……」
『でも、二十年前の郁子先生と今の先生に私は接触してるから、だから警備局員をつけてるの! 何かあったらすぐに対応出来るようにね』
はあ…… 良かった…… 山田が狙っていたらと思うとゾッとする。
「でも、それなら前もって言って下さいよ」
『だって、今朝気付いたんだもん!』
まあ、来夢ってそんな奴だった……
『それであなた達にも警備局員を付けてるから、あまりいちゃつかないようにね』
「えっ!」
『警備局員から連絡があってるから、イライラするくらい仲が良いって!』
えっ、そんなとこまで監視されてるのか! 僕は恥ずかしくて赤面してしまった。
「あの、プライバシーの侵害はやめてください」
『はいはい』
まったく未来人は何をしているか解らないな……
『まあ仲が良いのは良いけど、怪しい奴を見掛けたら連絡してね!』
来夢はそう言って電話を切った。もう、二十一世紀には滞在しないのか……
「ねえ、顔が赤いけど……」
はあ、そうだった! 僕は希美にも警備局員が張り付いている事を話した。
「えっ、それって、今までの事、みんな見られていたの? は、恥ずかしい……」
そう言いながら希美は、クッションに顔を埋めていた。
か、可愛い……
そんな彼女を僕は、また抱き寄せてしまった。
「もう、そんな事したら…… 見られてるんだよね……」
「うん、でも、良いんじゃない!」
少しでもこうしていたい。
「そうだね……」
彼女の顔は赤く染まっていたけど、でも、希美と一緒ならどうでも良い事かな。
その時だった……
『ピンポン!』
インターフォンが鳴った。誰だろう?
「響、私が出るよ!」
いや、ここは僕の部屋だから…… それに龍己だったら、またややこしい事になる。
「ううん、僕が出るから」
そう言ってインターフォンに出た瞬間だった……
『倉橋響だな』
この声を聞いて、山田颯太だとすぐに判った!
『よくも、散々邪魔してくれたな、ただじゃ済まさないからな』
「邪魔、そっちだって結構酷いことをしてるでしょう」
『ふっ、酷いか…… 何の事を言っているのか解らないな』
「舞龍達や圭子の事も…… 彼女をアンドロイドにしたのは貴方ですよね」
僕がそう言うと山田は……
『ハハハ、よく調べてるな、まあ、来夢の力を借りての事だとは思うが……』
「亡くなった圭子をどうやって連れて行った?」
『あれは簡単だよ』
簡単だと……
「どういう事だ」
『ふふふっ、葬祭場の職員になりすまして、親族から彼女を預かった後他の遺体と入れ替えたのさ! 遺体が無いと怪しまれるからな』
「他の遺体は?」
『城島組が準備してくれたよ』
な、なんって奴だ!
「結構、酷い事をしてるんですね」
『手段を選ばないだけさ……」
やばい! どうしよう……
「希美、山田颯太だ!」
そう言ったその時だった!
『そろそろ、お喋りも終わりだ…… 死ね』
『バン、バン!』
二発の銃弾を撃ち込まれた。狙いはほぼ正確だ!
「響! こっち」
希美はファスナーで壁を開いていた。
「響、早く!」
「バン!」
「きゃあ! 響」
希美の悲鳴が聞こえる中、僕達は辛うじて開いた壁の中へ逃げ込んだ。
「響、大丈夫?」
「うっ、うん…… 大丈夫」
銃弾が僕の肩を掠めたみたいで、出血していた。
希美がハンカチで僕の肩を押さえてくれた時、何処からとも無く黒ずくめの男が現れた。
「大丈夫ですか!」
まったく…… もっと早く出て来れなかったのか……
その時、上空にUFO、いや来夢だ! シルバーのバケットハット型のタイムマシンが現れた。
『響君、大丈夫?』
僕と希美、それと黒ずくめの男の三人はオレンジ色の光で、タイムマシンの中に吸い込まれた。
「まったく、おまえは何をしていたの?」
「すみません…… サーモスコープで壁越しに狙われました」
「山田は?」
「銃弾一発、命中しましたが逃げられました」
「解ったわ! 持ち場に戻って」
キリッとした厳しい目から優しい目に変わった来夢から……
「ごめんね響君、肩大丈夫?」
「うん、擦り傷だから」
とは言っても、やっぱり撃たれると痛い。
「来夢さん、圭子は葬祭場で火葬前にすり替えられたようです」
「という事は、他の遺体は城島組から提供されたってことね……」
山田颯太は、舞龍達と違って酷すぎる。まあ、暴力団と繋がりがある訳だからそういう事か……
「来夢さん、これって、どうなっているの?」
来夢はちょっと俯きながら……
「どうやら本格的に山田は、私達を狙って来たみたいね……」
まあ、それは間違いないと思った。
「来夢さん、メディカルボックスを借りるよ」
「うん、希美、側に付いててあげて」
「うん」
僕と希美はメディカルボックスの中へ入った。相変わらず、ここは気分が良くて不思議なところだ。
「ねえ響、これからどうなるのかな?」
「大丈夫、僕が守るから」
「うん、ありがとう…… でも、学校へ行ってる間は無理だよね」
希美はとても不安なんだと思う。今のところ狙われているのは、来夢と僕の二人だと思うけど…… 彼女は僕に抱きついて来た。僕も優しく彼女を抱き寄せた。
あとは、警備局と来夢に頼るしかないよな……
いよいよ、山田颯太が本格的に僕を狙って来た。来夢の事を考えると、僕は生き延びなければならないが……




