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来孫  作者: 赤坂秀一
第三章 秘密
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30 再会

スカイパークの出来事のあと、今度は北山大学で爆発騒ぎがあったようだ。

 北山大学(きたやまだいがく)で爆発騒ぎがあった。来夢(らいむ)は警備局から連絡を受け、すぐに現場へ向かった。


 僕も水嶋(みずしま)さん達と別れた後、希美(のぞみ)さんと一緒にファスナーを使って大学へ来たが、消防と警察が原因究明のため調べている。それにこれだけ野次馬がいるとやり難い。これじゃ、警備局はまだ手が出せないな。


(ひびき)君、こっち」


 僕達は来夢に手招きされた。


「響君のお母さんは、今日は来てないの?」


「さあ、どうだろう…… 母さんはホテルに滞在しているから」


 でも、これだけの事件が起きているから大学に来ると思うけどな……


 それにしても、酷い有様だ。理工学部の教室ひとつ無くなっている。


「あっ、胡桃(くるみ)さん!」


 母さんだ! 


「母さん無事で良かった」


「あっ、私はホテルで爆発騒ぎを知ったのよ」


 母さんはやっぱり今日は大学へは行って無かったようだ。


「ねえあなた、来夢って知ってる?」


「えっ、どういう事ですか?」


 母さんが何故来夢を知っているのか……


「これを見て! 今回の爆発は来夢って人がやったようなの」


 えっ、来夢が…… そんな事をする筈は無い! それに来夢は今日は僕達と一緒にいたんだから、一体どういう事だ!


「母さん、それってどういう事?」


 母さんは、僕にもスマホを見せた。


『実験はさせない!!! すべて無くなればいい 来夢』


 スマホのメールにはそう書いてあった。これは多分、舞龍(まろん)の仕業! ビックリマーク三本は、前にも使っていた。今回もまた、来夢名義のメールで拡散しているのか……


「これは……」


 僕が言いかけた時……


「判ってる!」


 来夢はそう答えた。


「胡桃さん、何が判っているの?」


 来夢はそう言ってその場を離れた。


 その日、爆発騒ぎの調査が終わり、結果として時限式のプラスチック爆弾のような物が使用されたという事だった。


 警察と消防が、調査を終えた後、警備局も調査をしたようだけど二十三世紀に存在している時限式爆弾が使用されていた。という事は現在の警察や消防の調査では存在しない爆弾が使われたという事になる。そうなると舞龍達の仕業で間違いないようだ! 僕と母は大学を離れ母が滞在しているホテルへ行った。


「倉橋、私はバイトに行くから」


「うん」


「それと(とも)ちゃんからも連絡があって大学にいたみたい」


「えっ、僕達は見られてる?」


「ううん、そこは大丈夫! じゃあね」


 そう言って希美さんは行ってしまった。


「響、さっきのあのメールなんだけどね……」


「母さん、あれは犯罪者が他の人の名義を使っているんだよ」


 僕は来夢を庇う様な発言をした。


「あら、そんなの判っているわよ! 犯罪者が自分の名前を名乗る訳ないもの」


 えっ、母さんって、そんなに話の解る人だっけ……


「解っているなら……」


「そうじゃなくて、私が言いたいのは、私が昔逢った未来の女性が来夢という名前だったと思うの」


「えっ、そうなの?」


「ええ、あなた、何か知ってる?」


 母さんが未来人に逢ったのは母さんが若い頃の話、本物の来夢が、もし出会っていたとしたら彼女は一体何歳なんだ!


「そんなの、知る訳ないだろう……」


「そうよね……」


 さて、どうしたものか…… 来夢に話した方が良いよな。


「ねえ、胡桃さんは今、何処にいるの?」


「えっと…… 未来に戻っていると思う。あんな事があったばかりだから」


 僕は母さんがいる北山大学からアパートへ戻った。とにかく来夢に逢わないと……


 母さんにはああ言ったけど、来夢はタイムマシンにいると思う。僕は、来夢にを電話した。


『もしもし響君』


「はい、ちょっと逢って話がしたいんですけど」


『お母さんの事だよね』


「はい」


『解った、タイムマシンで待ってる! 希美は連れて来ないでね』


「はい」


 その後、僕はファスナーで壁を開いて来夢のタイムマシンへ行こうとしたけど……


 壁は開かなかった。何故開かない! 一応、僕もタイムマシンの所有者なんだけど…… 僕はもう一度、来夢に電話した。


「あっ、タイムマシンの外で待ってて!」


 来夢の奴、何か操作したかな……


 僕は、アパートの部屋からタイムマシンがある山の中へ来た。こうやって見上げると、やっぱりデカイな! スカイパークで見た舞龍のタイムマシンも低空飛行してたのもあるけど、来夢の機体より大きく見えた。こんなのが向かって飛んで来たらやっぱり怖いよな……


 そんな事を考えていたらマシンからオレンジ色の光が照らされた。僕はその光に包まれタイムマシンの中へ入った。


「来夢さん……」


 来夢は、ソファーに座ってコーヒーを飲んでいた。


「それで、何を訊きたいの?」


 来夢は単刀直入に訊いてきた。打切棒な言い方だな……


「母さんが昔逢った未来人って来夢さんなんですか?」


 僕もそのまま直接訊いた。


「うん、そうだよ! 私も話をしていて、少しずつ思い出していたの」


「それっていつの話ですか?」


「うーん、四年、いや、五年前かな」


 えっ、四、五年前?


「えっ、でも、母さんは親父と結婚する前って言ってたけど!」


「うん、そうだね……」


「そうだね、って、タイムラグがあり過ぎるだろう」


 来夢は僕の顔を見て、ニコッと微笑んだ。


「四、五年前、二十世紀にタイムトラベルしたときに響君のお母さんと逢ったの! まだ結構若くてね、大学院の頃じゃなかったかな」


 あっ、そうか! タイムトラベルをした時に逢ったのか……


「何を話したんですか?」


「それは…… CO2の研究の事だよ!」


 あっ、やっぱりそうなのか……


「母さんはそんな昔から研究していたんだ」


「うん、二十世紀ではどうか知らないけど、未来では有名なんだよ! 響君のお母さんは」


「へえ、そうなんだ……」


 母さんは未来では有名な研究者だったんだ。


「それで響君、夏休みの間二十三世紀に来ない?」


「えっ、夏休みの間ずっとですか?」


「何か用事ある?」


「はい、明奈ちゃんの家庭教師とコンビニのバイトもありますので」


「うーん、そうか……」


「何かするんですか?」


「いや、舞龍達が倉橋先生の研究の邪魔をするなら未来で研究をしてもらってもって……」


 まあ、そうだよな…… あれ!


「いや、それなら僕は関係ないですよね」


「まあ、そうだけど大学が爆破されたんだよ」


「僕が狙われた訳じゃないですよ」


「まあ、そうだけど…… 顔が割れてるでしょう」


 確かに顔は割れてるけど、でも、メールの内容では母さんの研究が狙われた訳だから、僕は問題ないだろう。でも、未来で母さんの研究が出来るなら……


「母さんに言っとくよ」


「うん」


 そう言って、僕は部屋へ戻って来た。その瞬間、僕のスマホが鳴った。


 誰だ! 母さんからだった。


「もしもし、母さん」


『響、私一度横浜に帰るわ』


「研究はどうするの?」


『どうするも何も、実験施設が爆破されたんだから』


 母さんの声は、ちょっと元気がないように聞こえる。


「胡桃さんがさ、未来で研究しないか! って」


『えっ、今、こっちにいるの?』


 いや、本当はずっとこっちにいたけどね……


「うん、タイムマシンにいると思う」


『今から胡桃さんに逢える?』


「解った、訊いてみるよ」


『私は、ホテルにいて良いの?』


 いや、いざという時、ホテルからよりもこの部屋からの方が良いと思う。


「母さん、僕の部屋に来てもらって良い」


『あら、母さんを部屋に誘って何をするの?』


 何考えてんだ……


「えっ、いや、タイムマシンへ移動するなら僕の部屋からの方が良いから」


『真面目に受け取らなくても……』


 まったく何言ってんだか……


 そんな事で、母さんとの電話が終わった時、希美さんからLINEが来ていた。


『今から行っても良い?』


 うーん、どうするかな…… 取り敢えず来夢に連絡してからにするか。僕はもう一度、来夢に電話した。


「胡桃さん、母さんをタイムマシンへ連れて行っても良いかな?」


『あっ、良いけど、希美も来るんだよね……』


「希美さんも心配してるから」


『解ったわ! 一緒に良いよ』


「それじゃ、タイムマシンの前で待ってるよ」


 来夢との電話の後、希美さんにもLINEで返事をしたら、すぐに部屋の壁が開いた。


「倉橋、胡桃さんは? 倉橋のお母さんは? 研究はどうなるの?」


 一度に訊かれても……


「母さんが来たら、来夢さんのタイムマシンへ行くから」


「えっ、それって良いの!」


 希美さんは首を傾げながらそう言いますけど、その仕草が可愛いです。


『ドンドン!』

「響、いる?」


 あっ、母さんが来たようだけど、チャイムくらい鳴らせばいいのに……


 僕は玄関へ行き、母さんを部屋へ招いた。


「響、これからどうするの?」


 母さん、なんだかワクワクして楽しみにしてるよね……


「それじゃ、タイムマシンの場所へ行くから」


 僕は部屋の壁にファスナーを押し付けてつまみを下へ下ろした。


「響、そんな事をしたら壁が…… 大家さんに怒られるわよ!」


 母さんはオロオロしながらそう言った。


「母さん、大丈夫だから」


 ふにゃふにゃになった壁を開いて僕達三人は来夢のタイムマシンがある山中へやって来た。


「これだよ!」


「あっ、これこれ、全然変わってない! 懐かしい」


 まあ、母さんにしてみればタイムマシンを見るのも二十五年振りなんだよね! 来夢は母さんとの再会は四、五年振りみたいだけど……


「お母さんは、タイムマシンに乗った事はあるんですか?」


 希美さんのその言葉に母さんは戸惑っている?


「えっ、乗るの?」


「うん……」


 母さんはここに来夢が降りて来てくれるとでも思ったのかな。


 するとタイムマシンからオレンジ色の光が出た。


「母さん、早く!」


 僕と母さん、それと希美さんはオレンジ色の光に包まれてタイムマシンの中へ入った。


「倉橋先生!」


「胡桃さんが来夢だったのね」


「はい、黙っていてすみません。私も最初は解らなかったので」


 お互い、久々の再会です。


母さんと来夢は過去に逢った事があったようだ。二十五年振りの再会、ても、来夢は四、五年振り?

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