29 爆発!?
スカイパークに突然舞龍が現れたと思ったら、UFOが超低空で現れた…… これは大事件になるぞ!
僕達がスカイパークで昼食を食べている時だった。いきなり背後から舞龍に声を掛けられた。こいつ、未来に帰ったんじゃ無かったのか……
何故こいつがスカイパークにいるのか、僕は急いで柴咲さんにメールを打った。その時だった! 上空にUFOが現れた。
「ちょ、ちょっと、あれってUFO!」
水嶋さんは、かなり焦っている。パーク内の人達も上空を見上げたり、指差して騒いでいる! それもそのはずUFOはパーク内を超低空飛行しているからだ。しかし、未玖さんは意外と冷静だ。
「舞龍、そろそろ時間だよ!」
そこにはいつの間にかオレンジのパーカー女、圭子もいた。
「ああ、そうだな」
その時、来夢が舞龍を拘束しようとしがみついた!
「来夢、放せ!」
「来夢って誰、私は胡桃だから!」
いや、そんな事言ってる場合か!
「あんた、何言ってんの! って言うか、あたい達の邪魔しないでくれる」
「そんなのは知らないよ!」
それを圭子はオロオロしながら見ている。
その時、UFOから白い光が放たれた。
「胡桃さん危ない!」
『舞龍、圭子急げ!』
UFOからの男の声は賢人! 来夢は白い光を見て腕の力を緩めてしまった為、あと少しのところで舞龍を逃してしまった……
でも、あのまましがみついていたら、あの光に吸い込まれて、また囚われの身になっていたと思う。そう考えたら仕方がない。
「胡桃、危なかったな……」
そこにはいつの間にか柴咲さんがいた。
「賢人が邪魔しなかったら副部長に拘束してもらえたかもしれないのに……」
「胡桃無理するな! それよりミストを散布するから二人にはこれを」
「あれを使うの?」
「ああ、事態を収拾するためだ」
「うん、解った」
ミストって? 何をするつもりだ! というかこの状況を何とかしないと、これは明日の朝刊一面に載るぞ!
「響君、希美、これを」
来夢が手渡したのはガムみたいな物だった。
「いや、今はいらないです」
僕がそう言うと、来夢はガムを噛みながら……
「良いから噛んで、記憶を無くしたいの!」
来夢にそう言われ、僕と希美さんは言われるままにガムを噛んだ。記憶をなくすってどういう事だ!
「あっ、良いな、私達にも頂戴!」
「未玖、あんたUFOが目の前に現れたのに何とも思わないの?」
水嶋さんがそう言っているけど、未玖さんは冷静にというか、普通に来夢からガムを二枚もらっていた…… それにしても水嶋さんは、相変わらずパニックのようでワナワナしてる。
「はい、智ちゃん」
未玖さんは笑顔で水嶋さんに来夢から貰ったガムを一枚渡している。
水嶋さんはそれを貰って口の中へ、少しは落ち着いたようだ。
「何だか、モヤって来たね倉橋」
「はい」
希美さんが言うように霧が出て来たかな。ここのパークは、ちょっと山の方にあるから天気が崩れたり、気温が下がると霧が発生しやすいようだ。
それにしても、なんだかUFO出現で騒いでいた人達が何も無かったかのように静かになったな。
「これで大丈夫そうね!」
来夢はそう言うけど……
「どういう事ですか?」
僕がそう訊いたら、この付近の上空で警備局のタイムマシンからミストを散布していると言う事だった。それは忘却剤で、沢山の人達の記憶を忘れやすくする物のようだ。だからこの霧は人工的に警備局が作り出しているとのことだ。
しかし、来夢から貰ったガムを噛むと状況を忘れる事がないためガムを噛むように言ったのだった。
「でも胡桃さん、あの二人にガムを渡したら駄目だったんじゃないですか」
「えっ、渡したんですか?」
「希美、大丈夫よ! あの二人に渡したのは普通のミント味のガムだから」
今回の件は警備局の計らいで、明日の朝刊一面は回避する事が出来た。
しかし、舞龍達は一体何を企んでいるのか、やたら時間を気にしていたようだが……
「折角ここまで来たのに……」
「希美、そう思っているのは私達だけで他の人は、もう忘れてるから」
「あっ、そうか!」
まあ、そのための忘却剤だから……
「未玖、折角来たのにちょっと残念だね」
水嶋さんがそんな事を…… これって忘却剤が効いてない?
「智ちゃん、どうかしたの?」
希美さんもちょっと慌てているような……
「いや、さっきまで天気が良かったのにこんなに霧が出て来てさ……」
はあ、そういう事か……
「でも、少しずつだけど晴れて来たよ!」
希美さんのその言葉を聞いた水嶋さんは、少し安心したようだ。その状態を見た未玖さんもちょっとホッとしたのか僕に声を掛けて来た。
「それじゃイケメン君、お化け屋敷に行こう!」
未玖さんはそう言って、僕の手を引っ張りますけど……
「ちょっと未玖やめてよ!」
今度は希美さんが僕の手を引っ張って……
「倉橋は、私と一緒にあれに乗るの!」
希美さんにそう言われたけど……
「あれって?」
「うん、あれだよ!」
希美さんが指差す先には、大型の海賊船というか、スーパーバイキングというアトラクションがある! 簡単に言えばバイキングの大型ブランコだ。
あれってほぼ真横までゴンドラが上がるやつじゃ……
「へぇー、希美ってああいうのが好きなんだ」
「うん、倉橋行こう!」
まあ良いけど、希美さん大丈夫かな…… あれって一応、絶叫系だと思うんだけど……
何はともあれ、僕は希美さんと海賊船の船尾の方、つまりゴンドラの後方に乗ったけど、この辺ってほぼ九十度くらいの角度まで上がるんじゃないかな…… 希美さんは少女のように無邪気に動き出すのをワクワクしながら待っています。
「ねえ、倉橋はこれって乗った事ある?」
えっ、希美さんは乗った事ないのか……
「ありますけど、希美さんは?」
「あるよ! 結構高いところまで上がるから見晴らしが良いんだよね」
見晴らしが良いと言うか、ゴンドラの一番上から下を見ると船の真下が見えて、とても怖いと思うけど……
そんな話をしていたら発車ベルと同時に動き出した。最初はゆっくりだけど、段々勢いがついてくると船体が大きく傾いた。
「きゃあー」
隣に座っている希美さんが大きな声を上げ僕にしがみついて来た。というより抱きつかれた。
言わんこっちゃない! 僕も声を掛ける余裕は無いので、彼女の肩に手を回し抱きしめてあげるのが精一杯だった……
「希美さん大丈夫ですか?」
揺れも収まり無事に生還して、彼女に声を掛けた。
「だ、大丈夫だよ!」
まだちょっと、顔が青ざめているけど……
「響君!」
来夢が厳しい顔をして僕のところへ来た。うわっ、何を言われるのか……
「私、先に帰るから」
えっ、僕は何かやらかしたかな……
「あの……」
「北山大学で爆発騒ぎがあったみたい。だから先に行ってるから」
「それなら僕も……」
「そうもいかないでしょう! 希美の友達がいるんだから」
来夢は僕の耳元でそう囁くと、すぐに行ってしまった。
「あれ、胡桃さんはどこに行ったの?」
えっと……
「何だか用事が出来たみたいです」
大学での騒ぎを今言ったらすぐにでも行くって言いかねないからな……
「そうか……」
「希美、大丈夫?」
水嶋さんと未玖さんも希美さんの側へ来た。
「うん、大丈夫だよ! でも、ちょっと甘く見てたかな」
なんたって悲鳴を上げたくらいなら良いけど、その後は身体に力が入らなくなったようだったから、ゴンドラから降ろすのが大変だった。彼女の肩や腰に手を回してゴンドラから引っ張り出した。そのため、あっちこっちと希美さんにボディタッチをしたような形になってしまった。でも、女性の身体ってとても柔らかかったです。
僕達はベンチに座って暫く休みました。
「希美、私達はそろそろ帰るけど」
「うん、私達も帰ろうか倉橋」
「はい」
はあ、良かった! これで僕も大学の方へ行けそうだ。
「それじゃ希美、私達は先に行くからね! イケメン君、あとはよろしく」
あの二人は都合よく居なくなってくれたので僕達もファスナーを使って大学へ行く事が出来る。
「倉橋はこれからどうする?」
「希美さん、北山大学で爆発があったみたいなんです」
「えっ、爆発!」
希美さんは目を見開いて僕を見てそう言った。
「胡桃さんもそれで、先に行ってもらいました」
「それじゃ、私達も」
「はい」
そう言って、僕達は人気の少ないエリアへ移動した。だからと言って希美さんに何かをする訳では無い!
「倉橋! ここは?」
ここは、アトラクションの建物の裏側のようだ。ここなら他人に見られる事なくファスナーを使える。
「希美さん、ここから移動しましょう」
僕達はアトラクションの建物の壁を開いて北山大学へ行った。
僕達は北山大学の講堂の裏に出て来た。どうやら理系エリアで爆発があったようで消防と警察と野次馬でキャンパス内は人で埋もれていた。
「響君、こっち!」
僕達は来夢に手招きされた。
「結構、酷かった見たいですね」
「うん、そんなに大きい爆発じゃ無かったみたいだけど、今、消防と警察で原因を探っているようなんだけど」
「まだ、原因は判ってないんですね」
「詳しくは判らないんだけどね! 響君のお母さんでもいてくれたら良いんだけど」
もし、母さんがいたら警察と消防に事情を訊かれて大変だろうと思う。
来夢を追って北山大学へ来たけど、消防と警察、野次馬までいて、かなり困難していた。来夢と合流出来たけど……




