27 今度の土曜日は……
お待たせしました第27話を更新しました。
前回、響の母親と四人で夕食をした時、響の母は、希美と胡桃が姉妹じゃ無い事や胡桃が未来人だという事までバレていた……
隣の部屋に山田颯太が潜伏していた。僕達はその事に全く気付いていなかった。しかも、警備部長もそこに居たとは……
来夢の話では警備部長の体調はかなり回復しているようだけど、精神的にまだ疲れているようだ。
今日も僕の部屋には希美さんが遊びに来ています。この間は、ちょっとご機嫌斜めな感じだったけど、今はそんな事ないようです。
「ただいま!」
「あっ、お帰りなさい」
来夢がバイトから帰って来た。
「どうでした? バイト」
「うん、色々とやらせてもらったよ!」
「えっ、どんな事をしたんですか?」
希美さんも気になったようです。でも、来夢は研究の助手という事でバイトに行ったはず……
しかし、色々と知っている来夢を母さんが色々とやらせているんだろうな……
「もう参ったよ! 研究員の人達って何も知らないんだもん」
いや、何も知らないんじゃなくて、これは今からの研究なはず! これって、大丈夫なのか……
「胡桃さん、あまりやり過ぎないようにお願いします」
「私は、なるべく口出ししないようにしてるんだけど、響君のお母様がね……」
ハハハ、母さんはよほど早く結果を出したいらしい……
「でも、その研究って難しいんでしょう」
希美さんは文系だから研究とかになると、なんでも難しく感じるようです。
「まあ、そうなんだけどね! 研究事態、響君のお母様も色々大変みたいだからね」
まあ、来夢の奴はバイトだから好き勝手にやらせてもらっているようだけど、この研究事態、製造コストと製造効率を良くしない限り実用化は望めないと母さんが言っていた……
まあ、それでコストを抑える為の研究らしい。聞いた話では国内生産だけだと一リットルあたり七百円とか、輸入に頼っても三百円くらいでしか売れないらしいです。今のガソリン代と考えると、もっと高くなると言う事だ。
「ねえ、今度の土曜日は何か予定ある?」
またもや突然、来夢が言い出した。
「私は土曜日のバイトを外しているので予定は無いですけど」
希美さんのコンビニバイトは確か火木土じゃなかったかな、変えたのかな……
「僕はコンビニバイトが月火木と明奈ちゃんの家庭教師が今度は金曜日だから問題ないですけど」
来夢の奴は今度は何を言い出すつもりなのか……
「それじゃ私、橋本市のスカイパークへ行きたいんだよね」
えっ、スカイパーク! それ何処?
「それって何かあるんですか?」
僕がそう訊くと……
「知らないの?」
反対にそう訊かれてしまった。
「倉橋、スカイパークって常磐町のアミューズメントパークじゃない?」
あっ、所謂遊園地ね……
「でも、どうしてスカイパークなんですか?」
「あっ、それはね、大学で一緒にバイトしている香奈代さんが彼氏さんとデートで行ってとても楽しかったんだって! それで行ってみたいなって」
遊園地か…… そう言えばいつ以来だろうか、クラスの連中はたまに仲間と行って来たとか聞くけど……
「倉橋、良いんじゃない橋本市にも行ってみようか! とか言ってたじゃない」
確かに言いましたけど…… でも、あの時は来夢が城南市以外の街に行った事が無かったからそう言ったんだけど……
「まあ、夏休みだし行きますか!」
「やった!」
僕がそう言うと希美さんが一番に喜びました。希美さんが一番行きたかったんだね! でも、来夢もウキウキ気分のようです。
「胡桃さん良かったですね!」
「うん、舞龍達も流石にもう二十一世紀にはいないだろうし、こういう時に遊んどかないとね!」
まあこの間、圭子達が僕の部屋の隣から慌てて逃げているから問題無いと思う。
「胡桃さん、何を着て行きますか!」
女子としてはやっぱりそう言う話になるんだろうな。
「えっ、何って…… 洋服を着て行くけど、希美は違うの」
来夢の奴、服は何でも良いんだろうか? まあ、いつも白っぽいシャツに動きやすいパンツスタイルでいるけど、逢った頃からいつも同じような服を着てるもんな……
「えっ、いや、私も洋服は着ますけど…… お洒落はしないんですか?」
普通の女の子なら何処かへ行くとなると何を着て行こうかという風になるはずなんだけど……
「うーん、違う時代に行くときはこんな感じかな?」
「スカートとかも履かないんですか?」
可愛い系を好む希美さんとしては考えられないようです。
「うーん、あんまり可愛い格好はちょっと……」
「ブラウスとかも駄目ですか?」
来夢は、あまりお洒落はしないのかな…… そう言えば、前に未来で洋服を買ったときは希美さんの服ばかり選んで自分の物は選んでなかったかな……
「うん、そうだね…… ところで希美は何を着て行くの?」
「私は…… 前に未来で胡桃さんに買ってもらったワンピースとミュールにしようかな」
「あっ、あれか! 良いんじゃない」
来夢の奴、自分の事を棚に上げて希美さんの話にすり替えたな……
「それじゃ希美、早速試着してみようよ!」
そう言って二人は壁を開いて希美さんの部屋へ……
「あっ、響君は来ちゃダメだよ! 今から着替えるんだからね」
「別に覗いたりしませんよ!」
「倉橋も来る……」
希美さんにそう言われたけど、それって誘ってるんですか…… でも、来夢がいるから駄目ですよ。そう思い、ちょっと困った表情をしたら……
「うふ、冗談よ! ねえ、折角だから胡桃さんも私の服を着てみる」
はあ…… 冗談ね、まあ、そうでしょう。女子同士だとお互いにって事で良いだろうけど……
「えっ、私はいいよ!」
「でも、きっと似合うと思うから着てみてよ!」
はあ…… なんだかガールズトーク満載だな。何故、こんな事になったんだか……
数分後、お洒落をした希美さんと来夢が戻って来た。
「倉橋、どうかな……」
希美さんは胸元に淡いピンクのリボンの付いた花柄のワンピースにミュールを履いて戻って来た。
「希美さん、凄く綺麗です」
一目で僕はそう思った。でも、本音を言うと、可愛いくて僕のハートは撃ち抜かれてしまった。しかし、面と向かっては恥ずかしくて言えない……
「ねえ、私はどうかな……」
ちょっと微妙な感じで来夢も戻って来たけど……
来夢は胸元に大きなリボンが付いた白いブラウスとブルーのロングスカートを履いていた。とても似合っているとは思うけど、希美さんほどではないかな。まあ、個人的な気持ちも入っていると思う。
「胡桃さんのロングスカートはとても似合っています」
「そうでしょう! でも、プリーツスカートなんだけどね」
えっと、ぷ、プリーツスカート? ロングスカートとどう違うんだろう…… まあ、別にどっちでも良いけどさ!
「それで、響君は何を着て行くの?」
えっ、僕?
「僕は、普通にTシャツとジーンズで良いと思うけど……」
「えーっ! 私がカジュアルシャツとチノパンを選んであげたじゃない」
確かに希美さんに選んでもらったシャツとチノパン…… まだ、そのままタンスの中にあるんだよね。
「ねえ、倉橋も着てみたら?」
「あっ、僕はいいですよ」
「そう、それじゃ当日までのお楽しみだね」
そういう事で、今度の土曜日は三人でスカイパークへ行く事になった。
うーん、せめて希美さんと二人なら良いんだけど、今回は来夢がメインだからな…… あんな事言わなきゃ良かった。
今日は倉橋と胡桃さんと私の三人でスカイパークへ行きます。アパートから城南駅までは徒歩で十分ほどなので歩いて行きます。さて、倉橋はいるかな。
あっ、居ました。切符を買っているのかな……
「倉橋、おはよう」
「あっ、おはようございます」
「倉橋は切符を買ったの?」
私は、そう訊きましたけど、倉橋の手には交通系カード『noroca』を持っていました。
「いえ、ICをチャージしてたんです。最近使ってなかったから」
私は、電車もバスもあまり使わないから切符を買います。
「ねえ、このカードで電車に乗れるの?」
胡桃さんが訊いてます。
「はい、大体の電車やバスはこのカードで乗れます」
「私のは?」
「胡桃さんのはないから切符です」
「ふーん、私もカードは持ってるんだけどね」
それは多分、未来のカードですよね……
「胡桃さん、そのカードは絶対に使わないで下さい! 警報が鳴って警備員に捕まりますからね」
胡桃さんは使うつもりだったのかな……
「もう、この時代は決め事が多くて窮屈だね」
まあ、そうかも知れないけど、些細な事で波風を立ててもね……
「胡桃さん行きますよ!」
「行くって何処に?」
それは電車に乗るためにプラットホームに行くんだけど……
「ねえ、電車は何処に来るの?」
「電車は改札を抜けて二階のプラットホームに来ますよ!」
「あっ、そんな場所があるんだ」
いや、電車なんだから普通そうでしょう。
「駅からエレベーターで下に行くんじゃないんだね」
いや、地下鉄じゃないんだから…… でも、未来の電車ってみんな地下を走っているのかな?
「結局倉橋はTシャツにジーンズなんだね」
「だって、生地が薄いとはいえ長袖は暑いですよ」
「でも、焼けちゃうよ!」
まあ、男の人はあまり気にしないのかな…… あとで日焼け止め塗ってあげようかな。
来夢がスカイパークへ行きたいと言い出した事がきっかけで、最初乗り気じゃ無かった来夢だが、希美と二人着て行く服の話で盛り上がった! しかし、連れて行くとは言ったけど、大丈夫かな……




