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来孫  作者: 赤坂秀一
第三章 秘密
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25 救出

お待たせしました第25話を更新しました。


突然、響の母が来てしまい来夢と希美は慌ててしまった。来夢は壁を開いて隠れたが希美は見つかってしまった。しかし、話をする事で、響の母に気に入られたようだ。

 私は何をしてたんでしょう…… 倉橋(くらはし)と距離を縮めて私は何を期待していたのか、恥ずかしい…… でも、あのまま玄関のチャイムが鳴らなかったら…… うーん、考えるのはやめましょう。もう顔から火が出そうです。


「く、倉橋! スーパーに行かない」


 私は顔を真っ赤にしたまま、冷静を装ってそう声を掛けた。


「あ、はい……」


 こんな時、胡桃(くるみ)さんでもいてくれたらと思うけど、でも、胡桃さんがいたらあんな事にはならなかったかな……


 でも、胡桃さんより私が倉橋の心は掴んでる…… と思う……


 そう思いながら私達はアパートの部屋を出た。


「晩御飯、何食べたい?」


 そう、さっきも訊いたけど具体的な答えをもらってなかった。


「えっと、カレーが食べたいです」


「うん、カレーね、それじゃ美味しいの作るからね!」


 そう言って倉橋の横で距離を詰めるけど、倉橋は手も繋いでくれない。まあ、付き合ってる訳じゃないからそうだよね。


 でも、一緒に並んで歩いているだけで私の心は不安定です。


希美(のぞみ)さん!」


「えっ…… 何、どうしたの?」


「スーパーは、ここですけど……」


「あっ、うん……」


 私は考え事をしていてスーパーを通り過ぎるとこでした。駄目だ…… 何でもかんでも空回りしてしまう。


 私はそのままスーパーへ入り、倉橋はカートに買い物籠を乗せて着いて来ます。


 私が青果コーナーで玉ねぎを見てたら……


「希美さん、玉ねぎと人参はありますのでジャガイモを買いましょう」


「あっ、そうなんだ……」


「この間、来夢(らいむ)さんが買っているのがまだありますので」


 来夢さんは何を作ったんだろう…… 気になる!


「うん、それじゃジャガイモとお肉にカレー粉だね!」


「はい」


「カレー粉は何を買うの?」


「僕はいつもSGのカレーを何種類か混ぜるようにしてます」


 そう言って僕達は、ジャガイモとカレー粉を籠に入れ、生肉コーナーに来ました。


「お肉はどうする?」


 私は倉橋に訊きました。だって、倉橋好みのカレーにしたいから。


「そうですね、あまりこだわりは無いけど、今日は豚肉が安いからポークカレーにしましょうか!」


「うん!」


 私も、ポークカレーは大好き! やっぱり倉橋と私の好みは似てるのかな。


 そう思いながら、豚肉を籠に入れた時でした。


「あっ(ひびき)君、こっちに来て!」


 胡桃さんがスーパーにいました。何か様子が可笑しいようですけど……


「あっ、希美(のぞみ)!」


「どうかしたんですか?」


 胡桃さんはなんだか慌てているようですけど……


「響君、圭子(けいこ)がスーパーにいたよ!」


「えっ、圭子が! 舞龍(まろん)は?」


「私が見たのは圭子だけだったけど……」


 舞龍達はやっぱり二十一世紀に居たみたい、しかも私達がいる城南市(じょうなんし)に潜伏しているようです。


 倉橋と胡桃さんがスーパーの中を一周したみたいですけど、もう圭子の姿は無かったようです。


「もう、逃げ足だけは早いんだから」


「これは、柴咲(しばさき)さんに連絡した方が良いですね」


 倉橋がそう言いながらスマホを出していますけど……


「柴咲さんには、さっき私が連絡したから直ぐに来ると思うよ」


 すると、本当に柴咲さんの姿がスーパーの入口にありました。


来夢(らいむ)さん、圭子は?」


「見失っちゃった!」


「そうか…… しかし、大胆な奴だな」


「来るのが早かったんですね! ファスナーを使ったんですか?」


 倉橋がそう訊いてますけど……


「いや、転送装置を使った」


「転送装置? それって大丈夫な奴ですか」


「ああ、問題ない。一瞬で現れて、その場からすぐに走って離れるから」


 柴咲さんはそう言ってるけど、多分その場に居合わせた人はびっくりしてると私は思います。


「取り敢えず、俺は戻ってサーチしてみる」


「うん、何か判ったら教えてね!」


「ああ」


「それと、私は胡桃だから、間違えないでね!」


 えっと、柴咲さんもそれは知らなかったんじゃ……


「あっ、そうだったな、すまん!」


 知ってたんだ! 柴咲さんはそう言って戻って行きました。多分、タイムマシンに戻ったんだよね……




 僕はもう、舞龍達は二十一世紀にはいないと思っていたんだけど…… でも、何処に潜伏していたのか……


「それにしても二人っきりでショッピングなんて良いわね!」


 来夢は痛い所を突いてくる。


「胡桃さんの用事は済んだんですか?」


「あっ、そうだ! 来週からバイトするから」


「バイト?」


 どういう事だ! 大体、何かの調査のために来てたんじゃないのか? 何故バイトなんだろう……


「何処でバイトをするんですか?」


「ふふん、内緒! と言いたいとこだけど、北山大学で臨時の募集があって面接に行って来たの」


 それって大丈夫なんだろうか……


「あれって、大卒で経験がいるんじゃ……」


「そんな条件は無かったようだけど、でも私は北山大学の学生だからね!」


 えっ! どういう事?


「胡桃さん、北山の学生って……」


「まあ、未来での話だけど、それにもう採用されたから! こっちのお金ももらえるからね」


 未来って、来夢はやっぱり大学生なんだ…… でも、バイトするとしても色々訊かれると思うんだけど、例えば住所とか名前とか…… 多分、色々と操作してるんだろうな……


「胡桃さん、名前とかはどうしたんですか?」


「名前は倉橋胡桃だよ! 住所は響君のアパートだね、だって同棲してるんだから」


「えっ、同棲!」


 希美さんが驚いて僕の方を見てます。


「違いますよ胡桃さん! 同居です」


「どっちでも良いよ! 似たようなものじゃない」


 いや、全然違う! 一応、従姉妹という設定だから……


 はあ…… 来夢がいると話が可笑しくなる。そんな事を思いながら、僕達はアパートへ戻って来たけど、僕の隣の部屋が何だか騒がしい。


「倉橋、あれって隣の部屋だよね」


 希美さんも異変に気付いたようだけど……


「あれは、警備局だね、ちょっと訊いて来るよ!」


 来夢はそう言って局員の方へ。僕と希美さんは部屋を遠目で見ながら通路を通ると……


「見るな! 早く行け」


 警備局員に怪訝そうに言われた。そこまで言わなくても…… 僕と希美さんは部屋へ入った。


 その後すぐに、来夢も戻って来た。


「響君、隣の部屋で警備部長が救出されたんだって!」


 救出! 隣で監禁されてた……


「舞龍や圭子は?」


「誰も居なかったみたいだよ」


 それにしても、隣にいたとは……


 その後、隣の部屋が静かになった頃、柴咲さんが部屋の壁を開いて現れた。


「胡桃さん、俺は二十三世紀に神谷部長を連れて行きます」


「私も行こうか?」


「いや、君には二人を見ていてもらわないと」


 柴咲さんが言っている二人とは僕と希美さんだよな……


「うん、解ったわ! 部長は大丈夫なの?」


「今は、俺のタイムマシンのメディカルボックスにいるけど、ちょっと衰弱してるようだ」


 やっぱり、警備部長は拘束されていたようだ。


「何か判ったらまた、連絡する!」


「うん、解った」


 そう言うと柴咲さんは部屋の壁を開いて出ていった。


「響君、隣って誰か住んでたの?」


「いや、あまり気にして無かったから」


 いや、そう言えばピザの配達が間違って来た時、205の山田とか伝票に書いてあったような……


 うん、山田…… まさか、山田颯太がいたのか!


「胡桃さん、隣の部屋に山田颯太がいたかも知れません。ピザの配達が、間違って来た時に伝票にそう書いてあった様な……」


「そうか、じゃあ山田と圭子がいて、私の顔を見た圭子が慌てて警備部長を置いて逃げたってとこかな」


 どうやらそんなところのようだ……


 その時、僕のスマホが鳴った。


「もしもし……」


『あっ、響! 今晩一緒に食事しない? 希美さんも一緒に』


 母さんだった…… この忙しい時に。


「ごめん、後で電話するよ」


『もう、早く連絡してよ! 予約もしないと行けないから』


 そんな予約が必要な店で食べるのか……


「うん、判ったよ」


 そう言ってスマホを切った。


「希美さん、今晩なんだけど…… 一緒に食事に行きませんか」


「えっ、希美だけなの?」


 なんだか、来夢がここに来て存在感を出して来た。


「えっ、でも、カレーは?」


「それは、また今度で…… 母さんが一緒にって事なんだけど」


「ねえ、私は駄目なの?」


 来夢は母さんと逢ってないと思うけど……


「胡桃さん、一緒に行ってなんて説明するの?」


「えっと、従姉妹の胡桃です……」


「実際はそうじゃないし、従姉妹なら母さんも知ってないと可笑しいですよ」


 とにかく来夢は未来人なんだから…… でも、黙り込んでいじけてるよ。


「ねえ、私の姉という事にすれば……」


 うーん、設定を崩すのは良いのかな……


「それ、良い考えだよ希美!」


 はあ…… あまり納得出来ないけど……


「解ったよ、母さんにもう一人追加出来ないか訊いてみますよ」


「やった!」


 二人は喜んだけど、大丈夫かな……


 僕は母さんに電話をしたけど……


『あらお姉さんもお世話になってるの?』


「うん、たまになんだけど、たまたま、今日希美さんの家に来てたみたいなんだ」


「ええ、そういう事なら良いわよ」


 良かった、なんとかなりそうだ……


「それじゃ、また後で連絡するから」


 僕はそう言って電話を切った。

警備部長が救出された! まさか響の隣の部屋に監禁されていたとは……

これで、舞龍達の事も少しは判るかも知れない。

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