25 救出
お待たせしました第25話を更新しました。
突然、響の母が来てしまい来夢と希美は慌ててしまった。来夢は壁を開いて隠れたが希美は見つかってしまった。しかし、話をする事で、響の母に気に入られたようだ。
私は何をしてたんでしょう…… 倉橋と距離を縮めて私は何を期待していたのか、恥ずかしい…… でも、あのまま玄関のチャイムが鳴らなかったら…… うーん、考えるのはやめましょう。もう顔から火が出そうです。
「く、倉橋! スーパーに行かない」
私は顔を真っ赤にしたまま、冷静を装ってそう声を掛けた。
「あ、はい……」
こんな時、胡桃さんでもいてくれたらと思うけど、でも、胡桃さんがいたらあんな事にはならなかったかな……
でも、胡桃さんより私が倉橋の心は掴んでる…… と思う……
そう思いながら私達はアパートの部屋を出た。
「晩御飯、何食べたい?」
そう、さっきも訊いたけど具体的な答えをもらってなかった。
「えっと、カレーが食べたいです」
「うん、カレーね、それじゃ美味しいの作るからね!」
そう言って倉橋の横で距離を詰めるけど、倉橋は手も繋いでくれない。まあ、付き合ってる訳じゃないからそうだよね。
でも、一緒に並んで歩いているだけで私の心は不安定です。
「希美さん!」
「えっ…… 何、どうしたの?」
「スーパーは、ここですけど……」
「あっ、うん……」
私は考え事をしていてスーパーを通り過ぎるとこでした。駄目だ…… 何でもかんでも空回りしてしまう。
私はそのままスーパーへ入り、倉橋はカートに買い物籠を乗せて着いて来ます。
私が青果コーナーで玉ねぎを見てたら……
「希美さん、玉ねぎと人参はありますのでジャガイモを買いましょう」
「あっ、そうなんだ……」
「この間、来夢さんが買っているのがまだありますので」
来夢さんは何を作ったんだろう…… 気になる!
「うん、それじゃジャガイモとお肉にカレー粉だね!」
「はい」
「カレー粉は何を買うの?」
「僕はいつもSGのカレーを何種類か混ぜるようにしてます」
そう言って僕達は、ジャガイモとカレー粉を籠に入れ、生肉コーナーに来ました。
「お肉はどうする?」
私は倉橋に訊きました。だって、倉橋好みのカレーにしたいから。
「そうですね、あまりこだわりは無いけど、今日は豚肉が安いからポークカレーにしましょうか!」
「うん!」
私も、ポークカレーは大好き! やっぱり倉橋と私の好みは似てるのかな。
そう思いながら、豚肉を籠に入れた時でした。
「あっ響君、こっちに来て!」
胡桃さんがスーパーにいました。何か様子が可笑しいようですけど……
「あっ、希美!」
「どうかしたんですか?」
胡桃さんはなんだか慌てているようですけど……
「響君、圭子がスーパーにいたよ!」
「えっ、圭子が! 舞龍は?」
「私が見たのは圭子だけだったけど……」
舞龍達はやっぱり二十一世紀に居たみたい、しかも私達がいる城南市に潜伏しているようです。
倉橋と胡桃さんがスーパーの中を一周したみたいですけど、もう圭子の姿は無かったようです。
「もう、逃げ足だけは早いんだから」
「これは、柴咲さんに連絡した方が良いですね」
倉橋がそう言いながらスマホを出していますけど……
「柴咲さんには、さっき私が連絡したから直ぐに来ると思うよ」
すると、本当に柴咲さんの姿がスーパーの入口にありました。
「来夢さん、圭子は?」
「見失っちゃった!」
「そうか…… しかし、大胆な奴だな」
「来るのが早かったんですね! ファスナーを使ったんですか?」
倉橋がそう訊いてますけど……
「いや、転送装置を使った」
「転送装置? それって大丈夫な奴ですか」
「ああ、問題ない。一瞬で現れて、その場からすぐに走って離れるから」
柴咲さんはそう言ってるけど、多分その場に居合わせた人はびっくりしてると私は思います。
「取り敢えず、俺は戻ってサーチしてみる」
「うん、何か判ったら教えてね!」
「ああ」
「それと、私は胡桃だから、間違えないでね!」
えっと、柴咲さんもそれは知らなかったんじゃ……
「あっ、そうだったな、すまん!」
知ってたんだ! 柴咲さんはそう言って戻って行きました。多分、タイムマシンに戻ったんだよね……
僕はもう、舞龍達は二十一世紀にはいないと思っていたんだけど…… でも、何処に潜伏していたのか……
「それにしても二人っきりでショッピングなんて良いわね!」
来夢は痛い所を突いてくる。
「胡桃さんの用事は済んだんですか?」
「あっ、そうだ! 来週からバイトするから」
「バイト?」
どういう事だ! 大体、何かの調査のために来てたんじゃないのか? 何故バイトなんだろう……
「何処でバイトをするんですか?」
「ふふん、内緒! と言いたいとこだけど、北山大学で臨時の募集があって面接に行って来たの」
それって大丈夫なんだろうか……
「あれって、大卒で経験がいるんじゃ……」
「そんな条件は無かったようだけど、でも私は北山大学の学生だからね!」
えっ! どういう事?
「胡桃さん、北山の学生って……」
「まあ、未来での話だけど、それにもう採用されたから! こっちのお金ももらえるからね」
未来って、来夢はやっぱり大学生なんだ…… でも、バイトするとしても色々訊かれると思うんだけど、例えば住所とか名前とか…… 多分、色々と操作してるんだろうな……
「胡桃さん、名前とかはどうしたんですか?」
「名前は倉橋胡桃だよ! 住所は響君のアパートだね、だって同棲してるんだから」
「えっ、同棲!」
希美さんが驚いて僕の方を見てます。
「違いますよ胡桃さん! 同居です」
「どっちでも良いよ! 似たようなものじゃない」
いや、全然違う! 一応、従姉妹という設定だから……
はあ…… 来夢がいると話が可笑しくなる。そんな事を思いながら、僕達はアパートへ戻って来たけど、僕の隣の部屋が何だか騒がしい。
「倉橋、あれって隣の部屋だよね」
希美さんも異変に気付いたようだけど……
「あれは、警備局だね、ちょっと訊いて来るよ!」
来夢はそう言って局員の方へ。僕と希美さんは部屋を遠目で見ながら通路を通ると……
「見るな! 早く行け」
警備局員に怪訝そうに言われた。そこまで言わなくても…… 僕と希美さんは部屋へ入った。
その後すぐに、来夢も戻って来た。
「響君、隣の部屋で警備部長が救出されたんだって!」
救出! 隣で監禁されてた……
「舞龍や圭子は?」
「誰も居なかったみたいだよ」
それにしても、隣にいたとは……
その後、隣の部屋が静かになった頃、柴咲さんが部屋の壁を開いて現れた。
「胡桃さん、俺は二十三世紀に神谷部長を連れて行きます」
「私も行こうか?」
「いや、君には二人を見ていてもらわないと」
柴咲さんが言っている二人とは僕と希美さんだよな……
「うん、解ったわ! 部長は大丈夫なの?」
「今は、俺のタイムマシンのメディカルボックスにいるけど、ちょっと衰弱してるようだ」
やっぱり、警備部長は拘束されていたようだ。
「何か判ったらまた、連絡する!」
「うん、解った」
そう言うと柴咲さんは部屋の壁を開いて出ていった。
「響君、隣って誰か住んでたの?」
「いや、あまり気にして無かったから」
いや、そう言えばピザの配達が間違って来た時、205の山田とか伝票に書いてあったような……
うん、山田…… まさか、山田颯太がいたのか!
「胡桃さん、隣の部屋に山田颯太がいたかも知れません。ピザの配達が、間違って来た時に伝票にそう書いてあった様な……」
「そうか、じゃあ山田と圭子がいて、私の顔を見た圭子が慌てて警備部長を置いて逃げたってとこかな」
どうやらそんなところのようだ……
その時、僕のスマホが鳴った。
「もしもし……」
『あっ、響! 今晩一緒に食事しない? 希美さんも一緒に』
母さんだった…… この忙しい時に。
「ごめん、後で電話するよ」
『もう、早く連絡してよ! 予約もしないと行けないから』
そんな予約が必要な店で食べるのか……
「うん、判ったよ」
そう言ってスマホを切った。
「希美さん、今晩なんだけど…… 一緒に食事に行きませんか」
「えっ、希美だけなの?」
なんだか、来夢がここに来て存在感を出して来た。
「えっ、でも、カレーは?」
「それは、また今度で…… 母さんが一緒にって事なんだけど」
「ねえ、私は駄目なの?」
来夢は母さんと逢ってないと思うけど……
「胡桃さん、一緒に行ってなんて説明するの?」
「えっと、従姉妹の胡桃です……」
「実際はそうじゃないし、従姉妹なら母さんも知ってないと可笑しいですよ」
とにかく来夢は未来人なんだから…… でも、黙り込んでいじけてるよ。
「ねえ、私の姉という事にすれば……」
うーん、設定を崩すのは良いのかな……
「それ、良い考えだよ希美!」
はあ…… あまり納得出来ないけど……
「解ったよ、母さんにもう一人追加出来ないか訊いてみますよ」
「やった!」
二人は喜んだけど、大丈夫かな……
僕は母さんに電話をしたけど……
『あらお姉さんもお世話になってるの?』
「うん、たまになんだけど、たまたま、今日希美さんの家に来てたみたいなんだ」
「ええ、そういう事なら良いわよ」
良かった、なんとかなりそうだ……
「それじゃ、また後で連絡するから」
僕はそう言って電話を切った。
警備部長が救出された! まさか響の隣の部屋に監禁されていたとは……
これで、舞龍達の事も少しは判るかも知れない。




