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来孫  作者: 赤坂秀一
第三章 秘密
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24 来訪者

お待たせしました第24話を更新しました。


未だ、舞龍達の動きは無い! 本当に二十一世紀に潜伏しているのか……

 山田(やまだ)が拘置所を脱走してから、もうすぐ一ヶ月になろうとしていた。舞龍(まろん)達は二十一世紀には、もういないんじゃないかとか、来ないんじゃないか…… そういう話が警備局員の間でも噂されているという。


「舞龍は違う時代で次のミッションの準備をしてるんじゃないかな」


 僕は何気なくそう言った。


「何故、そう思うの?」


 来夢(らいむ)にそう訊かれたけど……


「いや、二十一世紀にいるにしても、来るにしても、何も情報が無いから」


「意外と来ると見せかけて、他のところで…… って事?」


「うん」


 まあ、可能性の問題だと思う。僕はそう言った後、出掛ける準備をした。


(ひびき)君、何処かに行くの?」


「うん、龍己(たつみ)達と図書館に行ってくる」


「それじゃ、神谷(かみや)さんも一緒だね」


 まあ、僕達三人は大体一緒だからな。


胡桃(くるみ)さんは、タイムマシンに戻るんですよね」


「うん、そのつもり、やらなきゃいけないものもあるから」


 やらなきゃいけないもの? 何をするんだ…… まあ、良いか、そう思い僕は図書館へ向かった。


 あっ、そう言えばこの間、来夢が催眠術を使ったが大丈夫なのか…… まあ、あの二人に逢えば判るか。




 僕が図書館に着いた時、あの二人は一緒に勉強していた。


「おはよう」


「あっ、おはよう! 胡桃さんって可愛い感じの人だね」


 神谷さんにいきなりそんな事を訊かれた。催眠が解けたのかな。


「響、俺はおまえに何かを訊こうと思っていたんだけど、なんだっけ……」


「おまえが僕に訊こうと思っている事を解る訳ないだろう」


 ひょっとして何か思い出そうとしてるのかな……


「そんな事よりさっさと勉強始めましょう」


 神谷さんからそう言われたという事は…… うん、来夢の催眠効果は効いてるようだ。


 午前中は三人で勉強をした。僕達三人はお互い苦手なところを教え合いながら、そうする事で効率的に勉強出来ると思ったからだ。


 その時、僕のスマホが鳴った。誰からだろうと思いながら電話に出ると……


『もしもし、響!』


 この懐かしく聞き覚えのある声は……


「母さん!」


『あなたの部屋に行ったら、知らない女の人がいるんだけど……』


 えっ、母さんが来た?


「母さん、こっちに来てるの!」


『ええ、メールを入れていたでしょう。それより、この女性は誰なの?』


 来夢が見つかったという事か…… さて、どう説明した方がいいか……


「あっ、今からをそっちに戻るから、話はそれからするよ!」


『ちょっと……』


 母さんは、まだ何か言いたそうだったけど、僕は急いで電話を切った! メールをチェックしてみたら確かに母さんからメールが来ていた。何故気付かなかったのか……


 さて、なんて説明する。彼女は未来から来ていて…… いや、そんな事、誰が信用する……


倉橋(くらはし)君、どうかしたの?」


 そうだ…… 呑気に勉強してる場合じゃない。


「あっごめん! うちの母さんが来てるみたいだから帰るよ」


「えっ、東京から!」


 いや、横浜なんだけど……


「うん悪い、またな」


 神谷さん達には何も言われる事なく解ってもらった。僕はとにかく図書館から大急ぎで部屋へ戻った。来夢が変な事言ってないと良いけど、それより母さんが変な事されてなければ良いけど……


 しかし、なんて言うよ、彼女は未来から来ていてとか言っても、まず信用されないだろう。それに僕の頭が可笑しくなったとか思われる……


 いや、さっきも同じような事を考えていた…… いや、もはやそんな事を考えても仕方がない! ちゃんと説明するしか……


 僕は部屋の扉を開けた。


「ただいま」


「お帰り!」


 そう声がしたと思ったら、母が出て来た。


「響、とても良いお嬢さんじゃない! あなたもやるわね」


 えっ、来夢の奴なんて言ったんだ! 僕はそう思いながらリビングへ行くと……


「あっ、倉橋君お帰り!」


 倉橋君(・・・)!?


 僕の前に現れたのは来夢ではなく、希美さんだった…… よ、良かった……


「倉橋君、お母様がいらっしゃるのが解ってるなら、ちゃんと教えてよ!」


「あっ、ごめん……」


 希美さんには悪い事をしたけど、なんとかなった。でも、いつもは倉橋なんだけど、母さんの前では倉橋君なんだな……


まあ、その甲斐あって、うちの母さんにも気に入ってもらえたみたいだ……


 いや、これって親公認って事? しかし、まだ希美さんには何も言ってないけど……


「希美さん、焼売を買って来たんだけど食べない! 横浜中華街で買って来たんだけど、ここのが美味しいのよ」


「はい、頂きます。焼売は大好きなので」


 何だか、たわいもない話で盛り上がっているな…… あれ、待てよ、母さん今日は何処に泊まるのか?


「母さん、ひょっとして今日はここに泊まるの?」


「心配しなくても良いわよ! ちゃんとホテルに泊まります。あなた達の邪魔はしませんよ」


 いや、邪魔するも何も、まだ…… って言うか希美さんも俯き加減です。


「あっ、そうですか……」


「それより受験は大丈夫なの?」


 母さんは何かと僕の事を心配してくれてるようだ。


「受験は大丈夫だよ!」


「あらそう、私としては横浜の方に来て欲しかったんだけどね!」


 また、その話か…… そんな話をしているかと思ったら母は徐に立ち上がった。


「どうかしたの?」


「うん、ちょっと出掛けて来るわ」


「えっ! うん……」


 そう言って母さんは部屋を出て行った。何処に行ったんだろう……


 すると、直ぐに壁が開き来夢が出て来た。


「ぷはぁ!」


「胡桃さん、いたんですね!」


「いたよ!」


「でも、隠れてくれて良かったです」


「もう、びっくりしたよ、部屋で希美と一緒にコーヒーを飲んでいたら、いきなり来るんだもん、慌てたよ! お母さんが来るなら、ちゃんと言っといてよ!」


 来夢も逢わない方が良いというのは理解しているようだ。


「いや、すみません…… メールが来てたみたいたげど、気付いてなかったから」


「そういうの前もあったよね! 友達からメールが来てたの気付かないとか」


 はあ、そうです。僕は気付かない事が多いです。それは普段スマホをBluetoothにしていて、イヤホンのスイッチ入れたまま外している事が多いので気付かないのだ。


「まあいいわ、響君、私出掛けて来るから」


 出掛けるって……


「ちょっと逢わないといけない人がいるから、じゃあね!」


 未来人と逢うって誰なんだろう……


 母さんといい、来夢といい、みんな良い気なものだ。


「ねえ倉橋、胡桃さんって仕事は何をしてるの?」


 そう言えば、何をしてるのか? いつも家でコーヒーを飲んでタイムマシンで何かをしているようだけど……


「前に訊いた時は考古学とか言ってなかったかな」


「考古学って昔の遺跡とかを調査するんだよね」


 来夢と最初に逢った時、あいつは確かにそう言っていた。確か、明奈ちゃんの家庭教師が終わって帰る途中にいきなり背後に現れた。あの時はどうやったのか判らなかったが、今考えればタイムマシンで監視していて、ファスナーを使って現れたんだろう。


「倉橋にはそう言ってたんだね、私には『あまり人には話せないんだけど……』とか言ってたと思う」


 僕と希美さんには違う話をしてたんだ。うーん、という事は考古学というのも嘘みたいだな…… やっぱり来夢の事は謎だ! よく解らない。


 まあ、そんな話をしながら僕と希美さんは軽くお昼を済ませてから買い物に行く事になった。


「ねえ倉橋、夜ご飯何食べたい?」


 希美さんとこう言う話をしてると何だか恋人同士のように誤解してしまう。


「希美さん、晩御飯を作ってくれるんですか!」


「えっと…… 迷惑じゃなければ……」


 いや、神谷さんみたいな事を言わなくても……


「そんな、迷惑なんて…… 嬉しいです」


 何だか、こんな話をすると勘違いを起こしてしまいそうだ。僕は希美さんのことを見つめてしまった。希美さんも僕の事を見つめて僕達はお互いの距離を縮めて、希美さんは瞳を閉じて、僕も顔を近づけた……


『ピンポン!』


「えっ!」


「あっ!」


 その時、部屋のチャイムが鳴って僕達は我に返って、離れてしまった。


 僕はちょっと恥ずかしそうに玄関の戸を開けた。


「あの、ピザセブンですけど!」


 えっ!


「あの、頼んで無いですけど……」


「あの、206の山田さんですよね」


 いや、確かに206はここだけど……


「あの、206は倉橋ですけど」


「あれ、可笑しいな」


 僕が伝票を見ると205になっている事に気付いた。


「その伝票、隣ですよ!」


 すると、宅配のお兄さんは間違いに気付いたようだ。


「あっ、すみません間違えました」


 そう言って隣へ行ってしまった。まったく希美さんと良いとこだったのにどうしてくれるんだ!


 僕は彼女を見て…… 続きをと思ったけど、流石にそういう訳にはいかないよな…… 僕は残念に思ったが、内心ホッとした。


響の母が来て動揺してしまった来夢と希美、しかし、希美を母に偶然とはいえ紹介出来た事から響と希美の距離は近づいたように思えた。

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