↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪女の復讐に祝福はいらない  作者: ピケ
第二章 暁に結ぶ復讐

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/54

第五十二話 枯死の波紋

ディエラは新聞の束から一部を抜き取った。


一昨日の紙面の隅には、他国の戦争を扱う短い記事が掲載されている。


敵兵を次々に屠る戦士を、人々は死神と呼んで畏怖しているらしい。


実際にどれほどの働きをしたのか、この記事だけでは分からない。読者を引き付けるために、話を大きくしている可能性も大いにある。


だが、その異名は、数年後にはあの男を指して囁かれるようになる。


初めて耳にしたディエラは、大袈裟な呼び名だと嘲笑した。人を殺す才能に長けている者は、裏社会で珍しくはない。わざわざ代名詞を借りて畏れるほどの者かと、対して気にも留めていなかった。


だが、レイヴンを調べていくうちに影の存在へ辿り着き、その内情を探るようになってから、ディエラの考えが変わった。


把握できた暗殺に、ただの一度も失敗が無い。


厳重な警備も、標的が抱える護衛も、結果を変える術にはならない。命令が下されれば、抗いようがない運命かの如く、標的は死に至る。


残される痕跡が少なすぎて、手口さえ掴めないことも珍しくは無い。だが、その手際の良さがかえって誰の仕業なのかを導き出していた。


死神が動いた。


そう囁かれるだけで、人々は恐れ戦く。


あの夜を経た今のディエラは、身をもって理解していた。化け物と呼ぶにも生温く、その異名は単なる誇張ではないことを。


ディエラの指が、記事の端を押さえる。


裏の世界では、死神の名を知らぬ者は居ないほど知名度を轟かせていた。死神を従えるレイヴンへ、迂闊に手を出す者は居なくなった。


ヴァルディアという家の力も、レイヴン自身の実力もトップクラスだ。ただ、それを差し引いても、レイヴンの地位をさらに押し上げたのは、死神の活躍あってこそだった。


ふと、ディエラは思い出した。男の働きが目に付くようになってから、レイヴンは以前より上機嫌な日が増えていた。


当時のディエラは、その理由を正しく捉えられていなかった。レイヴンの機嫌が良ければ、自分の言葉にも耳を貸すのではないと考えたことさえあった。


ディエラは自分の情報収集の甘さを痛感し、持っていた新聞を再度テーブルへ放り投げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。