↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪女の復讐に祝福はいらない  作者: ピケ
第二章 暁に結ぶ復讐

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/54

第五十一話 追憶の茶葉

窓の外へ目を向けていると、扉を叩く音がした。


入室を許すと、盆を携えたフィエルテが姿を現す。


「お待たせいたしました。こちらが、ここ一週間の各社の新聞と、紅茶(ダージリンティー)にございます」


テーブルに束になった新聞が置かれる。発行日ごとに仕分けられ、同じ日付のものは纏まって重ねられていた。


その傍らにカップが添えられると、紅茶の上品な香りが辺りに広がった。


「もう下がっていいわ。私が目を通す間、貴女は調査に専念なさい」

「畏まりました」


フィエルテは盆を抱え直すと、一礼して部屋を後にした。


ディエラは窓辺を離れ、テーブルの前のソファーに腰を下ろす。


カップを持ち上げ、紅茶を一口含む。軽やかな香りが鼻を抜け。程よい渋みが下に残る。好みの濃さに淹れられた一杯に、ディエラは一瞬目を見開いた。


お茶を淹れる腕も、悪くない。


カップを戻す前に、空いた手で一番上に置かれた新聞を取り上げた。まず日付を確かめ、それから紙面へ目を通す。


貴族の婚約、夜会で交わされたという密談、商人同士の諍い。目立つ見出しの多くは、人の関心を煽るように書かれている。


過去のディエラはくだらない与太話だと一瞥もしなかったが、今は違う。


婚約が解消された家の名から、その後に起きた騒動が紐づいて思い起こされる。新たな事業を讃える記事を読めば、それが長くは続かなかったことが記憶に浮かんだ。


当時は別々の出来事として聞き流していたものが、日付を伴って並んでいる。記憶の整理において、これ以上ない媒体だった。


ディエラは読み終えた新聞を脇に置くと、次の一部を開いた。




*




最後の紙面に目を通し終えると、ディエラは新聞をテーブルへ放った。紙が擦れ、乱雑に重ねてあった束の端が僅かに崩れる。


時計へ目を向けると、読み始めてから二時間ほどが経っていた。


ディエラは背を伸ばし、肘掛けに腕を置いて頬杖をつく。


記事の大半は噂話の域を出ないものが殆どだ。それでも、得られたものは十分にある。


曖昧だった出来事の前後関係が繋がり、忘れていた名も幾つか思い出した。正確な時期を覚えていなかった記憶にも、ようやく目印ができた。


そして、あの男についても。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。