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デッドデッドデウス・エクス・マキナ・インダストリー  作者: 竜蔵寺 佑


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第13話 理解する材料

 目視で確認出来た同調者は5体。そのうちの1体がこちらへ攻撃をしかけてきて相殺した。龍帝共に私も損傷箇所は無し。


「ライブラリにアクセス、識別パターンを再確認」



『受理:識別パターンを観測・完了・レベル3相当の正階同調者《レギュラー》と確定とし終了』



「レベル3相当か、よし」


「小娘、あやつらはまぁまぁの強さと見る。それに後方に控えているのは伏兵か」


 龍帝の目線の先には膨大な数の機械獣が侵攻して来ていた。この階層に来てからそういう反応は無かった。つまり、この同調者がこの場所で創造したということだ。


「私が、同調者を相手するから、龍帝は後方にいる機械獣を掃討して欲しい」


「良いだろう。我が戻ってくるまでに決着を付けておくのだぞ」


「言われるまでもない」


 龍帝は私の声を聞き届けた後にその場から消えた。次元移動だと網膜に表示される。龍帝への魔法理解が素体を吸収して精度が格段に上がった。


「さて、お前らの相手は私だ」


 同調者からの返答や交信や接触を試みるような行動は見られない。やはりレベル3相当では知性が低いのか。いや、禁じられている可能性もある。対話とは情報を与えるという仕草であり行動であるからだ。私の情報もどこかへ送られている可能性も充分にある。


 ガチャリと隣で音を拾う。同調者の隣に私はいる。遙か上空から同時に同調者の隣に認識よりも早く出現。同調者の反応が大幅に遅れる。私には時が止まったようにも感じた。


「新しい私にはライブラリにアクセスするまでもなく決着がつくな」


 左手で軽くなぎ払っただけで同調者が3体消し飛んだ。


「何を驚いている。お前達も私の糧にしただけのこと」


 左手で同調者を空間ごと分解し吸収した。愛国者を吸収した手順を極小までに簡略簡素化させて常時発動型に改良した。これでライブラリにアクセスする負担が減る。


 ライブラリには別の事象で索敵と情報収集、常時学習を強制させている。


「残り2体!」


 2体同時に攻撃を態勢を整えながら射撃してきた。威力はお粗末。私の外殻にも汚れすら与えられない。そのまま、2体が射出を続ける攻撃を両手で両砲台を握り潰した。砲台の中でエネルギーが暴発して遙か天井まで爆炎の柱を轟かせる。視界で、2体の同調者が再生を開始。


「させないよ、もう君たちのレベルじゃ武装するまでもない。肩慣らしには充分だ」


 2体同時に潰し分解し吸収した。


「OK、ルナ! 同調者の解析完了だぜ。これでルナ自体の素体の強度がより次元が上昇したぜ」


「ありがとう、イフ。龍帝の方はどう?」


「龍帝の旦那? ルナの戦闘が終わるより少し前に終了を確認したぜ。相変わらず龍帝の旦那も凄えよ。もしかしたらというか、確実にルナと遭遇する前より強さの次元が桁違いになっているぜ」


「嘘でしょ? あの膨大な数の機械獣を私よりも早く掃討したって言うの?」


「ああ、龍帝の旦那は言葉の通り、理外《りがい》の住人であり、その頂きにいる存在なんだろうぜ。確実にこの世界のことも理解しつつある。本人はまだ制限が掛かっていると言うがそれは本当のようだ」


「イフよ、全てを語らずとも良い」


 龍帝が戻って来た。


「相変わらず、強いな龍帝は」


「小娘も愛国者を吸収して更に強くなったようではないか。我もまだまだ強くならなくてはな。さて、イフよ。現在の都市はどうなっている」


「そうだな、都市機能は完全に沈黙して結界の類いや動力炉の完全停止を確認。地下に封印されていた愛国者をルナが吸収した時点で活動を完全停止している。この都市は役目を終えたって感じだな」


「そうか。小娘はどうだ? 愛国者を吸収して何かわかったことはあるか?」


「現在もイフのバックアップをもらいながら解析中だよ。わかっていることは、あの封印されていた愛国者は機能を停止していたまたは死んでいた状態であるということ。そして、ただの死体ではなく、情報と力の塊として保管されていたということ。おかげで吸収して戦闘に応用する際は簡単に実行に移せた」


「愛国者自体についてはどうだ?」


「その情報を最優先にしているけれど、まだ詳細は不明。ただ、概念に近い存在というところまでは」


「ふむ、概念体か。だが、それでは我の眼や神の眼でも認識が異なったのは何故だ?」


「世界の法則が異なるということも1つの理由として考えられるけれど、ただこれはまだ私個人の仮説の域を出ないんだけれど」


「なんだ、小娘言うがよい」


「多分、愛国者という存在は私の認識ではまだ本当の意味で出会っていないんじゃないかって思うの」


「何を言っている? 先程、拘束された愛国者を我々で見た認識だろうが。それに小娘の今までの時間で相対したことは行く度もあっただろう。我も己が世界で愛国者が攻めて来たことを共有したはずだが?」


「それでもだよ。この愛国者だった何かを吸収してわかったことがある。私たちが知っている愛国者という像は極一部の一端にしか過ぎないということを」


「それ程の存在がいるということか?」


「うん、龍帝の察する通り、私たちが今相手した同調者も含めて、本当の意味で愛国者の脅威を私たちは知らない」


 龍帝が深く熟考するように沈黙があった。


「では、愛国者とは何者か? この愛国者という俗称も定かではないということか?」


「いや、私たちの共通の敵が愛国者であるということは、間違い無いことは確かだよ。ただ、その愛国者という存在の力や脅威すらもまだ本当の意味で私たちは知らないということだけ」


「それは事実か?」


「今の私だから事実と言える」


「そうか。ならば、急がねばならない。我に掛けられている制限の件もある。この状態では、その本当の意味での愛国者という本物の脅威が迫った時に対処することが不可能だ」


「龍帝の言う通りだね。調整者を早急に探すことが急務だね。その情報がこの都市に少しでも手がかりがあると良いのだけれども……」


「ルナ! その辺りも抜かりなく調査したぜ! この都市より北西に施設があるようだ。そこは、以前俺たちが訪れた塔の識別パターンが同一と情報が合致したぜ」


「この階層にも裁定者と交信が、出来る場所があるということ?」


「そうだぜ! ただ、記録では何かが居るらしい」


「イフよ、何かとは何だ? 以前のような塔の番人のような者か?」


「龍帝の旦那、ちと違うようですぜ。どうやら、番人というよりも知性を持った何かしらの生命体がいるとだけの記述がこの都市に記録があったぜ」


「イフ、それは会話出来る知性があるということ?」


「わからねぇ、ただ、この都市にある情報媒体が通りの内容であれば、ネコがいるらしい?」


「ネコ? ネコって? 猫のこと?」


「うーん、ルナが思い描く可愛いにゃんこさんじゃないようだぜ」


「そっかぁあああ」


「そんながっかりすんな。ただ、ネコっていうのが居るらしい」


「では、そのネコとやらと接触すればいいのだな」


「龍帝の旦那の言う通りで。番人という可能性も充分にあるし、愛国者が攻めて来る可能性も極めて高い。そして、そのネコって呼ばれる存在が敵という可能性も充分に高い」


「つまり、わからないってことね」


「そうだずぇえー!!」


「イフって、いつもよりテンション高いね」


「あったり前だぜぇ! ルナが愛国者という情報とエネルギーの塊を吸収したということは俺の性能も爆上げているのは当たり前!」


「なるほどね、ハイになっているってことね。ドラッグはんたーい」


「俺は真面目だぜ! 要するにだ。右も左も分からない。愛国者という存在もルナの言う通り事実の極小の一角でしかない。俺たちはようやくその極小の一角から一歩を踏み出した瞬間なんだぜ」


「では、この都市にはもう用は無いのでいいのだな」


「龍帝の旦那の言う通りで」


「そうだ、イフ。ここで生活していた人たちの情報ってないの?」


「あるぜ、情報を共有するぜ」


「そっか、私のような完全人ではないのか」


「完全人は太古の人間だった存在が生み出した進化した先の存在さ。今じゃ完全人という人種とはそうそうお目にかかれなねぇ。この歪な世界は広大過ぎるしな」


「確かにね」


「もう用事が無いのであればここを離れるぞ」


「わかった」


 龍帝の背中に乗って移動を開始した。上空から大都市全域を見る。全域に渡り煙りと火が昇っている。生存者がもしいたら絶望的だったけど、この都市には生存者という存在自体が遠い昔に消えてなくなってしまっていた。ここにいた人たちは滅んだのだろうか。もう、そのことを知る術は私たちには無い。


「龍帝、そのネコがいる施設までどういう移動するの?」


「そうだな、次元飛行も光速移動等は控えた方が良いだろう。愛国者たちが干渉してくるということがこれまでの状況で理解したからな。今回の同調者との戦闘の件もある。次に送り込んで来るのはそれよりも強者であることは確実視していた方が賢明だろうな」


「確かに、愛国者が何かしらの手を打って来る可能性は充分にあるね」


「そうだ。小娘は強くなった。だが、油断するな。その力もまた一端にしか過ぎないのだ」


「それは、どういう意味?」


「かつての愛国者という存在の力を手にしたところで、今の愛国者という存在が果たして同一かというところがそもそもが疑問になる。我々が本当の意味での愛国者とはあの都市程度で拘束されるような存在か? それとも、愛国者の死体または機能停止した存在であるということは、そもそも死ぬ存在なのかというところにすら疑問がある」


 龍帝の言う通りだ。


「そうだね。この吸収した力もまだまだ伸び代があるってことだね」


「それでいい。この愛国者とはそもそも何なのかを理解する1つの考える材料として力以前に、それが手に入ったことが重要な一歩であることは間違い無い。肝に銘じておくがよい」


 龍帝は諭すように柔らかい口調で話ながら空中を飛行した。

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