3/10
余韻
『タツタ 最終ログイン:7日前』
僕は少し固まった。
ハルさんがログインしない。
それだけで、こんなに落ち着かなくなると思わなかった。
オフ会のあと、現実は驚くほど何も変わらなかった。
コンビニへ行って、グラオーをして、寝る。
ただ、たまに思い出す。
終電を逃して、ハルさんの家に泊まった夜のことを。
床の見えない部屋。
煙草の匂い。
コンビニで買った歯ブラシ。
深夜三時、酔ったハルさんが「なんかユウといると楽」と呟いたこと。
あれが社交辞令じゃないと、少しだけ期待してしまっている自分がいた。
スマホを開く。
『大丈夫ですか』
送信。
既読はつかない。
嫌な感じがした。
僕は押し入れからパーカーを引っ張り出す。
ハルさんの家の場所は覚えていた。
覚えたくなくても、覚えてしまっていた。




