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BuzzばんでっどバイDEAD  作者: ゆず先輩
23/24

第3片 死人に口なし⑦―激闘―


「あ、あきら先輩……?」


瀬凪先輩が抱きしめていたのは、右半身が魔獣に変身しているあきら先輩だった。


「フゥーー……、フゥーー……。」


あきら先輩は息を整えて落ち着こうとしている。

右半身は巨大化し、右手には凶暴な爪が生えている。


「瀬凪先輩……、これは一体……?」

「トベッち!?ど、どうしてここに!?」


瀬凪先輩がこちらの気配に気がついた。

しかし、いつもの先輩とは態度がまるで違っていた。


「ち、違う……。これはあきらがやったんじゃないの……!信じて……。」

「ガァァァァアア!!」

「!?」


ブォォン!


あきら先輩は腕をおおきく振り、抱きしめていた瀬凪先輩を振り払う。



「キャ……!!」

「危ない!!」



ドスンッ!



なんとか回り込み、放り出された瀬凪先輩を受け止める。

魔獣の力なのか飛ばされるスピードが早く、壁に激突していたら大怪我だった。



「大丈夫ですか!?」

「私は大丈夫……。」

「アァァォァァア!!!」



あきら先輩が苦しみ出す。

左手で頭を抑え、魔獣と戦っているようだった。



「エヴァン、来るぞ!変身しろ!」

「わかった!」



俺は制服のポケットに入れていたマスカレードを顔にあてがい、光に包まれる。



「な、なにこれ……?」

「大丈夫です。あきら先輩を救います!」



徐々にあきら先輩の体は魔獣に侵略され、左半身も黒く、巨大化する。



「あきら……!!」



そして等々顔まで魔獣に侵され、魔獣そのものとなる。



「最悪の事態だ。【討伐者】が魔獣になるなんて。」

「なんとかするしかないだろ!」

「私も戦うよ!」



千尋も犬笛を吹き、使い魔を召喚する。

前の世界片では【索敵者】の野々宮が魔獣を倒したんだ。


きっとやれないことは無い。



「お願い!やっつけて!!」

「ワンッ!!」



千尋が召喚した2匹の使い魔が魔獣へと突進する。



「ガァァァァア!!」



ドガンッ!



魔獣は突進する使い魔の1匹を腕で、叩き落とし、消滅させる。

しかしもう1匹は対処できなかったようで、使い魔は魔獣の首筋へと噛み付く。


ガブッ!!



「やったか!?」



ガシッ!



魔獣は噛み付いた使い魔を片手で鷲掴みする。

しかし使い魔は決して口を離そうとしない。


二、三度引き剥がそうとしたがビクともせず、逆に魔獣はニヤリと笑った。

次の瞬間、魔獣は自分の首を犠牲に使い魔を全力で引き剥がした。


魔獣の首から大量の血が飛び散る。

首のバランスが崩れ、魔獣の顔は傾いている。しかしその顔は俄然笑っていた。



「グフフフフ!!」



目の前の光景に、動くことができない。

これは現実なのか?


魔獣は掴んでいる使い魔を床に叩きつけ、何度も何度も踏み潰す。

床に溜まった魔獣の血が、その度に跳ねて飛沫を上げる。


使い魔を蹂躙し、満足したのか今度はこちらを向く。


このままじゃまずい……!


【観測者】の俺に、魔獣と対抗する手段はない。

立ちすくんでいると、魔獣の左手が黒く光出した。



「神力を使おうとしているぞ!」

「え――」

「あきら、だめ!!」



ブォン!



魔獣が腕を振ると、空間が削り取られた。

削り取られた空間と空間は修復するために引っ張り合う。


瀬名先輩が俺の前に立ちはだかり、修復する空間に吸い込まれる。


瀬名先輩は一瞬にして魔獣の目の前に立たされていた。

魔獣の拳は強く握られ、瀬名先輩の身体へと放たれる。



ザシュッ!!



「あ……きら……。」



瀬名先輩の背中から魔獣の右手がこちらを覗いている。

瀬名先輩の身体は魔獣の右手によって宙に浮いている。



「う、嘘だろ……。」



瀬名先輩の身体から大量の血液が流れ出す。

あきら先輩が瀬名先輩を殺した……?



「クソ野郎ぉぉぉお!」

「エヴァン落ち着け!!」



ドゴーンッ!



魔獣は瀬名先輩を腕の振りで振り払い、その手で俺へと殴りかかった。



パリーーンッ!



「グハッ……!」


俺は魔獣の攻撃により窓から放り出され、外へと飛ばされていった。


「エヴァン!!」



地面へと打ち付けられたが、まだ生きている。

能力者じゃなかったら確実に死んでいた。



「千尋、一旦引くぞ!使い魔を出せ!」

「う、うん!」



千尋は犬笛を吹いて使い魔を召喚し、その背中に跨り魔獣の壊した家の隙間から外へと飛び降りた。



「ひろくん乗って!」

「でも、ここで逃げたら……。」

「バカ!今勝てる相手じゃない!」

「でも……!!」



ガシャーーンッ!!



「どうやら逃がしてはくれないようだぞ。」


魔獣は俺たちを追いかけて、外へと飛び降りてきた。


「作戦を考える。時間を稼ぐぞ!乗れ!」

「わかったよ……!」



使い魔に跨り、物凄いスピードでその場を後にする。



「は、速い!」

「……向こうも同じぐらいな。」



ダダダダダダッ!!



魔獣も俺たちを逃がさぬように全力で追いかけてくる。

あきら先輩はもう魔獣に全てを乗っ取られている、



「キョーコちゃん!ここからどうするの!?」

「今考えている!」



クソ……。

俺はこの世界片でも何も出来ないのか?



ガサガサッ



「?」


ポケットに手を突っ込むと、そこには麦倉の名刺が入っていた。

瀬名先輩のお見舞いの際に病院で渡されたものだ。



(瀬凪ちゃんなにか隠してるよ。何かあったら連絡して。)



あの時既に麦倉は魔獣の存在に気づいていたのか?

名刺を見ると、電話番号が記載されている。



麦倉はもしこの場で俺たちが殺されても魔獣の正体が分かっていれば、その後に対処できるのか?



「魔獣に追いつかれるよ!!」



考えている時間はない。

これ以上魔獣を放っておくともっと被害者が出てしまう。


俺はスマホからその番号に電話を掛けた。



プルルッ

ガチャッ



麦倉は1コールで電話に出てくれた。



「麦倉さん!魔獣が現れました!」

「はいはーい。麦倉でーす。」



麦倉はいつものゆったりとした口調で答える。

今は悠長に時間を使っていられない。



「麦倉さん!魔獣は瀬名先輩と同じバンドのあきら先輩でした!」

「連絡するのが遅いよー少年。」



ドドドドドドッ



魔獣の足音がすぐ後ろまで近づいてくる。

ここまでか……!!



「だめ!追いつかれるよ!」

「まぁ間に合ったから良しとしよう。」



ブォーーンッ!!



「!?」



後ろから轟音が鳴り響く。

振り返ると麦倉がバイクに跨り、路地から飛び出して魔獣に体当たりをしていた。



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