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BuzzばんでっどバイDEAD  作者: ゆず先輩
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第3片 死人に口なし⑧―決着―

「まぁ間に合ったから良しとしよう。」



ブォーーンッ!!



「!?」



後ろから轟音が鳴り響く。

振り返ると麦倉がバイクに跨り、路地から飛び出して魔獣に体当たりをしていた。



ドカーーンッ!



バイクは魔獣に横からクリーンヒットし、魔獣が吹き飛ぶ。

麦倉は衝突の寸前でバイクから飛び降り華麗に着地を決めた。



「おまた♪」

「麦倉さん!」



ピチッとした身体のラインが際立つライダースーツを身にまとい、麦倉は右手でピースする。

どうして麦倉さんがここにいるんだ?

連絡を待っていたのか?



ガシャーンッ



魔獣は起き上がり、苛立ちの表情でバイクを遠くに放り投げた。



「あー!私のバイクがー!!」

「麦倉さんありがとうございます。でもどうしてここに?」

「細かい話は後!」



そう言うと麦倉は見たことの無い形状の拳銃を構える。



「おやすみ。」



バキュンッ!



「ガァァァァア!!」



放たれた弾丸は黄金に輝き魔獣に向けて物凄いスピードで直撃した。

魔獣は悶え苦しみ、身体から煙が立ち込める。



「ありゃ、1発で消えないか。報告と違うな。」



苦しんでいる魔獣の右手が黒色に光り出す。

まずい、神力を使う気だ!



ブォンッ!



魔獣が手を振ると、またしても空間が削り取られる。


麦倉に声をかける暇もなく、空間は修復され

麦倉が巻き込まれる。



「危ない!!」

「なにこれ楽しいー!」



一瞬にして麦倉は魔獣の目の前に吸い込まれてしまった。

魔獣は凶暴な爪を構え今にも麦倉を切り裂こうとしている。


これじゃさっきと同じだ。

麦倉さんが殺されてしまう!!



「近づく手間が省けた、よ!」



麦倉はいつの間にか手に黄金に輝くスタンガンのような物を持ち、魔獣の攻撃に迎え撃った。



バチィィィイイン!



「ガァァァァア!!」



すごい……。

魔獣との戦闘に慣れている。


「危なー。こんな能力は報告になかったぞー。」


いつの間にか麦倉はこちらに戻ってきている。

報告ってのはなんなんだ?

警察にも魔獣と対抗する組織があるのか?



「しゃーない!秘密兵器行きますか!」



麦倉は拳銃に弾を装填する。

すると、先程とは比べ物にならないくらいに拳銃が黄金の光を放つ。



「あ、耳塞ぎなよ。じゃなきゃ、一生キーン地獄だよ。」



俺達はその言葉を聞いて咄嗟に耳を塞ぐ。



ドゴォォォォォンッ!!



「!?」



耳を塞いでても聞こえる轟音が拳銃から放たれた。

黄金の光は魔獣に向けて一直線で進んでいく。



「当たってよー。じゃなきゃ始末書もんだ!」

「グゥゥゥゥウ!!」



魔獣は黄金の光を見て、その威力を察知してか黒く光らせた腕を振るった。



ブォン!



空間が削り取られ空間の修復に自分を巻き込んで高速移動し、

光線をギリギリのところで避けきった。



「なるほどー!その手があったか!」



ボカァァァァン!



光線が直撃した所が爆発する。

街が麦倉によって破壊された。


秘密兵器とやらの威力に驚きを隠せないが、この状況は警察として大丈夫なのだろうか?



「あー……、司令に殺されるなこりゃ……。」



麦倉は頭を掻きながら、無責任に呟いた。

やっぱりよろしくないようだ。



ワンワンッ!!



麦倉の放った一撃に唖然としていると、千尋の使い魔が急に吠えだした。



「ど、どうしたの?」

「エヴァン!魔獣がいないぞ!」

「え!?」



破壊力に気を取られていたが、その一撃を避けた魔獣の姿が見当たらない。

逃げられたのか?


使い魔は依然上に向かって吠え続け、千尋に向かって飛び出した。



「うぇ!?な、なに!?」



ザシュッ



使い魔によって突き飛ばされた千尋は、

空から降りてきた魔獣の攻撃を寸前のところで避けることができた。


使い魔は魔獣からの一撃で一瞬にして消えてしまった。



「飛んでいたのか!?」



ブォン!ブォン!ブォン!



耳を澄ますと魔中が【討伐者】の能力を使い、空間を連続的に削り取っている音が聞こえる。

空間を削り取りながら物凄いスピードで移動し続けているのか!?


空間を割く音が徐々に俺たちに向かって大きくなってくる。



「エヴァン!来るぞ!」

「来るったってどうすればいいんだよ!!」



ドクンッ



心臓の鼓動が1度だけ大きく俺の胸を打つ。

すると、



【CLOSE】



「な、なんだ……?」



俺の目の前に【CLOSE】の文字が浮かび上がる。

【観測者】の能力を使って世界片を移動する際に現れる【LOAD】の文字とよく似ている。



ということは、これは【観測者】の新しい能力なのか……?



どうなるかは分からない。

でもこの状況を打破する為に、使わない手はない!

でも閉じる?何を閉じればいいんだ?



【CLOSE EYES】



俺の疑問に対して、文字が追加される。

目を閉じろ?


こんないつ攻撃が来るかも分からない状況で目なんて閉じられる訳ないだろ!



ブォン!ブォン!!ブォン!!!



音がどんどん近づいてくる。

このままでは不意打ちを食らうだけだ。



「やるしかない!!【CLOSE】!!!」



パァンッ!!



俺は【CLOSE】と唱えながら右目を強く瞑った。

すると世界が一瞬にしてモノクロへと変化する。



な、なんだこれは……?


辺りを見回すとそこには仲間たちが魔獣の攻撃を警戒している瞬間が切り取られている。



時間が止まっている



俺は一瞬にしてこの能力を把握できた。

少し上を見上げると、そこには麦倉に攻撃をしようとしている魔獣の姿があった。


まずい!麦倉を助けないと!


俺は麦倉のそばに駆け寄ろうとしたが、まったく足が動かない。

時間の止まった世界で動くのは顔だけのようだ。


そこまで万能ではないようだが、でも状況を把握することはできた。


これが【観測者】の第二の能力【CLOSE】。


観測者が観測していない間、世界は動かない。

そういうことだろう。



ギギギギッ



な、なんだ!?


【CLOSE】の術を放つときに瞑った右目の瞼が、

不思議な力によってこじ開けられそうになっている。


能力にも制限時間があるようだ。



パァンッ!



俺が右目を開けた瞬間、世界は一瞬にして色を取り戻した。

それと同時にみんなが動き出す。



「麦倉さん!右に避けて!!」



俺は止まった世界で見た魔獣の居場所を伝え、避けるように指示する。



ダーーーンッ!!



「うぉ!?本当だ!!」



俺の指示のおかげで麦倉は寸前のところで魔獣の攻撃を避けることができた。

魔獣はその後も空間を削り、一瞬で姿を消した。



「エヴァン、【CLOSE】が覚醒したんだな。」

「あぁ。でもこの能力、決定打に欠けるよ。」

「観測した情報を【討伐者】に教えるのがメインだからな。」

「【討伐者】ぁ……。」



【討伐者】だったあきら先輩は、魔獣になってしまった。

【索敵者】の千尋の能力でもやはり攻撃が本職ではない以上、決定打に欠けてしまう。



となると、最後の頼みの綱は麦倉だ。



先ほどは外してしまったが、黄金に輝く弾丸であれば魔獣を倒せるかもしれない。



「麦倉さん。さっきの秘密兵器まだいけますか?」

「えぇー。次外したら私クビじゃ済まないんだよねー。」



町の半壊具合から今でも十分クビじゃ済まなさそうだが、それは置いておこう。



「お願いします。力を貸してください。」

「んー、何か手があるみたいだね。わかったよ。ほいっ。」

「え!?」



そういうと麦倉は俺に銃を放り投げた。

警察官がこんなに簡単に銃を渡していいのか?



「男の子なら自分で決めなさい。」

「わ、わかりました。」



初めて持った銃はずっしりと重く、

物質だけの重さだけではなくこれを使う責任も重量に加算されているような気がした。



ブォン!ブォン!!



空間を割く音が近づいてくる。


先程は片目を瞑り、【CLOSE】の能力で世界を止めて見せた。

でも動くのは頭だけで状況を把握するためだけの能力だと思っていた。


しかし、この世界片に移動してきたとき野球部の打ったホームランボールを

避けるため両目を瞑り、その後しゃがみ込んだ。


その数秒後に目を開けるとボールが俺の顔に直撃した。

その時に既に能力が発動していたのであれば、勝機がある。



「麦倉さん!秘密兵器お借りします!!

「その弾丸1発で高級車1台分くらいするからー!」



俺は両手で銃をしっかりと掴み、力を込める。



ゴゴゴゴゴッ



銃が徐々に黄金の光に包まれる。

その光に呼応するように銃が震えだし、俺はそれを必死に制御する。


絶対に外せない。

こいつを倒して誰も死なない世界片へ行く。


「【CLOSE】!!!!!!」


俺は勢いよく、右目を瞑った。

世界がモノクロになり、肌に感じる外気温でさえ何も感じない。



辺りを見渡すと、魔獣の姿を発見した。

魔獣は千尋にとびかかる寸前で空中で止まっている。


あと1秒でも覚悟が遅かったら、千尋は犠牲になっていただろう。


もう千尋の傷つくところは見たくない。



「食らいやがれ!!!!!!」



俺は魔獣の位置をしっかりと記憶し、開いていた左目を力強く瞑る。

すると、先程までビクともしなかった身体が自由に動くようになる。



【CLOSE】は片目では動くことはできないが、5秒ほど時間を止めることができる。


それに対して両目を瞑ることで状況は把握できないが、

止まった時間の中で自由に動くことができる。


これを組み合わせることで、状況を把握しながら相手に一矢報いることができる。

これが【観測者】の【CLOSE】という能力だ。



ドガァアアアアアアアアアアン



「ガァアアアアア!!!!」



時間が動き出した世界で魔獣は黄金の弾丸の光に包まれ、消えていった。


魔獣がいた辺りから魔素が流れ込んでくる。

これでまた【LOAD】が使える。


次こそは誰も死なない世界片へ。

いや、誰も死なせない世界片へ行くんだ。



「エヴァン、行くのか。」

「あぁ。行ってくるよ。」



いつものようにキョーコと別れ際の挨拶を済ませ、能力を使おうとしたその時、



「はいストップ!どこに行くつもり?逃がさないよー。」



目の前に麦倉が立ちはだかった。


別段【LOAD】を唱えた後の加速していく世界の中で走る訳ではない為、

無視して能力を使っても良かったのだが、目の前に立たれると使いづらい。



「い、いや。別にどこにも行きませんよ?」

「いんや!お姉さん今聞いたよ。行ってくるよ!って。」



そんな元気いっぱいには言っていないつもりだったが、そう聞こえたのだろうか?


助けを求めるようにキョーコに目をやると、

早く行けと言わんばかりに顎でクイクイと指示してくる。


「まぁ、事件のこととか色々聞かなきゃなんだけどさ、

 戦闘でお疲れだろうから1つだけ聞いたら解放したげる。」



1つだけ?

それだったらさっさと答えて解放してもらおう。

命の恩人を無下に扱うのもなんだか気が引ける。



「分かりました。」

「うん、いい子!それじゃあ聞きたいんだけどさ。

 なんで君は、魔獣と一緒にいるの?」


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