第3片 死人に口なし④―急転―
「見つけたみたいだ!追うぞ!」
「うん!」
凄い。
キョーコでさえ探知出来ない微かな神力も嗅ぎ分けることが出来るのか。
俺たちは廊下を犬を追いかけながら走る。
他の生徒には使い魔は見えていないようだ。
どんどん使い魔は走っていく。
すると、目の前にギターを背負ったシュッとしたイケメンの後ろ姿が見えた。
「あれはあきら先輩!」
「ウー!ワンワンワンッ!!」
使い魔は唸りながらあきら先輩の背中に飛びついた。
「あきら先輩危ない!!」
「!?」
シュバッ!
その瞬間、あきら先輩は振り向きざまに目にもとまらぬ速さで回し蹴りを使い魔に浴びせた。
キャンッ!
あきら先輩の回し蹴りはクリーンヒットし、青色オーラと共に使い魔は消滅していった。
「あきら先輩大丈夫ですか!?」
「ん?なにかが襲ってきたと思ったけど気のせいか。」
あれだけの機敏な動きを見せたのにも関わらず、本人は平然としている。
もしかしてこの人、凄い格闘家なのか?
でも使い魔があきら先輩に飛びついたということは、先輩が【討伐者】なのか?
「あんた、私が見えるか?」
キョーコはあきら先輩に話しかける。
これだけの距離でもキョーコには神力が探知できていないようでどこか自信なさげだ。
「見えてるけど。」
ビンゴだ!
あきら先輩が【討伐者】だ。
さすが適応者の【索敵者】。
神力の探知能力もずば抜けている。
「あんたの大切な物はなに?」
「え?なに急に。」
「先輩答えてください!」
おそらくあきら先輩からしたら、俺たちは変人に見えているだろう。
突然後ろから声をかけられて、自分が見えているか?大切な物はなんだ?と
質問攻めしているのだから。
「ごめん。急いでるから。」
「あ!あきら先輩!」
あきら先輩は、俺の呼び止めも無視してそそくさとその場を後にする。
「行っちゃったね……。」
「ちっ、話のわからん奴だ。」
「いや、普通あーなるから。」
廊下で落胆していると、救世主が現れた。
「あれー?ちーちゃんとトベッちどうしたのこんな所で?」
「瀬凪先輩!」
あきら先輩と同じバンドの瀬凪先輩と一緒であれば、話を聞いてくれるかもしれない。
「瀬凪先輩、あきら先輩に話したいことがあるんですけ逃げられちゃって。」
「あー、今日は辞めといた方がいいかもね。この後事務所で打ち合わせがあるからさ。」
そう言えば瀬凪先輩も帰り支度をしているようだった。
「私も行くから、明日話を聞いてくれるようにセッティングしとくよ。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
「良いってことよ。それじゃあ今日部活お休みするから!」
そう言って瀬凪先輩も後を追うように帰って行った。
「よし!それじゃあ明日、あきら先輩と話をすれば能力者が3人揃うわけだな。」
「あぁ、これで魔獣がいつ出ても安心だ。」
世界片を飛び回っていたが、能力者が3人揃うのはこれが初めてだ。
これで犠牲者を出さずに魔獣を倒すことが出来るかもしれない。
戦力が揃ったことに心強く感じていると、横で千尋がおどおどしている。
「ま、魔獣ってなに……?」
「あぁ、説明してなかったね。部室で話すよ。」
俺たちは部室に戻って、千尋に今までの戦いを一部始終話すことにした。
そして明日に備えて真っ直ぐ帰宅したが、寝る前に千尋から電話が掛かってきた。
「んー?どうした千尋?」
「ひろくん大変だよ!!瀬凪先輩とあきら先輩が交通事故にあったんだって!!」
「え!?」




