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BuzzばんでっどバイDEAD  作者: ゆず先輩
16/24

第2片 強制シャットダウン⑥―激闘―


「もしもし?ひろくんどうしたの?」

「千尋!今来たメールを絶対に開くな!」

「え?メール?あぁそう言えばさっき皆のスマホがピコピコ鳴ってたね。わぁ!?」



スマホ越しにガタンと大きな音がした。



「だ、誰かが倒れたみたい!大丈夫かな?」



まずい。誰かがファイルを開いたんだ。


「とにかくメールを絶対に開くなよ。それとモバイルバッテリーは繋げておくんだ。」

「わ、わかった!」


昨日の今日で魔獣が襲ってくるなんて。

それにまるで俺たちがこの学校の生徒だって分かっているかのような狙い撃ち。



「このままじゃ犠牲者が大量に出るぞ。」

「私たちで倒しましょう。魔獣を。」



野々宮はその場に座り込み、タブレットに向かう。


「【討伐者】がいないのにどうやって戦うんだ?」

「相手がネットを活用するならこっちだって手はあります。」


野々宮はプログラマーのような手つきでタブレットをタップし始めた。



ダダダダダダッ



「まずは魔獣のゲートになっている目を潰していきます。」


後ろから覗き込むと画面には猫の格好をした野々宮が立っていた。


「これは?」

「私のアバターです。電脳世界でまず魔獣を閉じ込めます。」



画面の中の野々宮が両手をかざすと、辺り一体に広がっていた魔獣の目がどんどん消えていく。


「すごい!」


物凄いスピードでプログラムを書き込み、魔獣の目を潰していく。


しかし、その電脳世界に魔獣が現れる。


「やっぱり、そう簡単には潰させてくれないみたいですね。」



ガァァァァ!!



魔獣が雄叫びを上げ、大きな口を広げて野々宮に突進してくる。



「大丈夫なのか!?」

「任せてください!」



ガシンッ!



野々宮は魔獣の口を抑えて、突進を受け止める。

口から大量の唾液を出し、今にも野々宮を喰おうとしている。



「おぉ!!」

「邪魔するな!!」



ブウォン!



そのまま魔獣を投げ飛ばす。

電脳世界でなら野々宮はこんなにも強いのか。



「今のうちにプログラムを進めます。」

「野々宮後ろ!!」

「!?」



ガブッ!



「痛ッ!!」



魔獣は目を使って瞬間移動し、一気に距離を詰めてきた。

魔獣の攻撃は野々宮にカスっただけで済んだが、直撃すれば命は無かっただろう。


現実世界の野々宮にもダメージが反映している。



「大丈夫か!?」

「カスっただけです……。」



痩せ我慢でそう言うが、左肩を痛めたようで左手の動きが明らかに遅くなった。



「マズイです……。思ったより充電の減りが早い……。」



タブレットにはモバイルバッテリーを差し込み充電しているが、それでも充電が間に合っていない。



「一旦、引き上げた方がいいんじゃないか?」

「いえ、もう少しなんです……。」



ガァァァァ!!



「くっ!!」


先程の魔獣の攻撃で明らかに目を潰すスピードは落ちてしまっている。

それに魔獣の攻撃をかわすこともままならなくなっている。



「野々宮!」

「今やらないと……、学校のネットワークから逃げられてしまいます。そうなったらもう……。」



また俺は何も出来ないのか?

仲間が魔獣と闘って傷つくところをただ見ていることしか出来ないのか?



「あと1つです……!!」



それなら俺のやれることは1つだ。



「頑張れ!野々宮!!」



ターーンッ!!



野々宮のタップする音が屋上に鳴り響いた。



「ロック完了です……!!」



野々宮は電脳世界で魔獣を閉じ込めることに成功した。

目というゲートが無くなり、魔獣は狼狽えている。



「先輩……。」

「野々宮良くやった!!」



「これ……、あいつを倒す為のプログラムです……。」



そう言うと野々宮は俺にUSBを渡してくる。



「え?」


野々宮がタブレットをタップすると、電脳世界に1つ扉が出現する。



「どういうことだよ……?野々宮……?」

「あとは……、任せましたよ……。先輩……。」



その瞬間、タブレットの充電が切れ画面が真っ黒になる。



「野々宮!?」



グワァァァァ!!



野々宮のタブレットから巨大な魔獣が姿を現した。


「!?」


魔獣は意識を失った野々宮を喰おうと、大きな口を広げこちらに向かってくる。

こいつ、野々宮を喰う気か!?



「クソやろぉぉぉぉ!!」



俺は野々宮を抱きかかえ、真横に飛び込んだ。



ドガァァァン!



魔獣は地面へと激突し、なんとか避けることが出来た。

しかし、野々宮の意識は戻らない。


クソッ!どうすればいいんだ!



「エヴァン!夢衣は私が預かる!お前は戦え!」



後ろにいたキョーコが野々宮を守るように抱きしめる。



「闘うったって、どうすれば……。」



電脳世界で大きく見えた魔獣は、現実世界では更に大きさを増していた。


足がすくむ。

でも……、俺がやらないと……!


その時、強く握りしめていたUSBが輝き出す。



「これは……?」

「夢衣の神力が宿っている!それなら奴に効くかもしれない!」



ガァァァァァァ!!



魔獣は雄叫びを上げるが、俺はもうビビることはない。

握りしめているUSBから、野々宮の強い意志を感じる。



「先輩、いきますよ。」

「あぁ……、思いっきりな!」


倒れているはずの野々宮の存在が背中に感じられる。

俺が魔獣に向かって走り出すと、USBの輝きはより一層の強くなる。



「うぉぉぉぉおおお!!くらいやがれ!!」



ドカァァァンッ!!



魔獣の口にUSBを全力で突っ込む。

神力の輝きが、魔獣の体内からも溢れ出てくる。



ゴォォォォォォォオオ!!



苦しみにも似た叫びを上げて、魔獣は消えていった。



「やった……。やったぞ!野々宮!」



振り返るが、先程まで俺の背中を押してくれていた野々宮はどこにもいない。

居るのはキョーコに抱かれ、動かなくなった野々宮だけだった。



また……、守れなかったのか……。



魔獣が消え、空間にキラキラと魔素が浮遊している。



【LOAD?】



目の前に文字が浮かんでくる。

【観測者】の能力が発動しようとしている。



「行くのか?」

「あぁ、こんなの絶対許せない。」



俺の強い意志にキョーコはそれ以上何も言わない。



「向こうの私によろしく頼むぞ。」



「【LOAD】!!!」



世界が加速していく。

こうして俺は2度目の世界片跳躍を実行した。


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