第2片 強制シャットダウン③―発見―
「で、昨日の続きだが。」
放課後。
キョーコと昨日の話の続きをするため屋上に足を運んでいた。
部室から抜け出す時にトイレに行くと言ってしまったからそんなに長居はできない。
「まず、能力者についてだ。能力者は【観察者】、【討伐者】、【索敵者】に分けられる。」
「3人いるってこと?」
「そういうこと。前の世界片での瀬凪が【討伐者】。魔獣と戦う為の力を得ることが出来る。」
確かにあの時の瀬凪先輩は強かった。
透明な壁を利用して魔獣とも互角に戦っていた。
あれは【討伐者】の能力だったのか。
「そしてお前が【観察者】。世界片を記憶を保った状態で移動できる。」
俺が使った【LOAD】の力だな。
「そしてもう1人が【索敵者】。魔獣の放つ魔力を察知することが出来る。」
初めてキョーコと出会った時、最後の一人を探せと言われていた。
瀬名先輩が【討伐者】で、俺が【観察者】。
つまり残りの【索敵者】を探せということだったのか。
「能力に目覚める為にはアーティファクトが必要だ。」
「アーティファクト?」
「エヴァンでいうとあのマスクだな。」
俺は内ポケットにしまってあるマスクを取り出す。
「そいつには、八尺瓊勾玉の神力が宿っている。」
「八尺瓊勾勾玉ってあの三種の神器の!?」
「そうだ。魔獣に対抗するため様々なものに神力が宿っている。
世界片によって依代とする媒体が変わってるようだ。」
だからこの世界片では瀬凪先輩は【討伐者】じゃないのか。
「それと、残念な事だか。」
そう言ってキョーコは1拍置く。
「この世界片にも魔獣が現れた。」
「!?」
「もう既に活動を始めているようだ。」
そ、そんな……。
ここは平和な世界じゃないのか?
「そ、それじゃあ犠牲者が出る前に早く違う世界片に飛ぼう。」
「それはできない。お前自身に神力を宿す回路が備わってない。」
回路?どういうことだ?
【観察者】の能力は使えたじゃないか。
「能力者はアーティファクトからの神力を自身の回路に蓄えて、
いつでも技を打てるようにしている。しかし、お前にその機能がない。」
「そ、そんな……。」
「つまりお前は魔獣を倒し、溢れ出た魔素からしか能力を使うことが出来ない。」
それじゃあ、平和な世界片に行くには結局魔獣を倒さないといけないのか?
「魔獣を倒すために早急に【討伐者】を探さないと大変なことになる。」
「まだ覚醒していない可能性もあるんじゃないか?」
「……そうだ。でも急がないと、また前の世界片のようになってしまう。」
そんな……。
まだ覚醒しているかも分からない【討伐者】を探すことなんてできるのか?
でもそうしないとまた被害者が出てしまう……。
俺が絶望に打ちひしがれている時、屋上の扉が開いた。
「やっぱりここにいたんですね!」
「野々宮!?」
「トイレにしては長いので探しましたよ。もしかしてまだストレス発散出来てなかったのかなって!」
屋上に行く言い訳がトイレだったのはやっぱりまずかったか。
「部室に戻りますよ。すみません、卜部先輩連れていきますね。」
野々宮は俺の手を引っ張っていく。
「ちょっと待て!」
キョーコは大きな声で叫ぶ。
「はい?どうしました?」
「お前、今誰に許可を求めた?」
「へ?あなたですけど……?何か大切な話でもしていましたか?」
俺とキョーコは顔を見合わせる。
野々宮にキョーコが見えている……?
「野々宮ぁ!!」
「きゃっ!な、なんですか急に!」
俺は野々宮の肩を強く掴んだ。
「ちょっと離してください!」
「お前、【討伐者】なのか!?」
「討伐者?何言ってるんですか?」
野々宮は強く抵抗するが、絶対に離さない。
「腹を割って話そう!な!な?」
「ちょ、ちょっと変態チックですよ先輩!」
「馬鹿エヴァン。」
パコンッ
キョーコが俺の頭をはたいた。
俺は絶対に逃がさぬよう興奮のあまり息をハァハァさせていた。
傍から見たらヤバい奴だった。
「私が見えているということは能力者だな。しかし、アーティファクトの反応を感じない。
「アーティファクト?何言ってるんですかこの人?」
たしかに急にそんなことを言われたら誰だってそうなる。
「野々宮、場所を変えよう。」
「え?どうしてですか?」
「とても重要な話だからだ!」
俺は半ば強引に野々宮を連れて下校し、近くのファミリーレストランへと足を運んだ。




