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カードゲームは卒業したのにTCG学園に放り込まれたんだが ~イカサマ王と呼ばれた俺はカードゲームなんかしたくない~  作者: ゼ二平


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第36話 王者の失墜

 「『銀戦姫―レオニア』で攻撃!」


 「――通すよ」


 歓声が沸く。1戦目は俺が勝利した。

 決勝は2本先取の戦い。あと1本取れば優勝だ。

 相手は強敵。でも、俺は去年の王者チャンピオンだ。

 俺を応援してくれている仲間のためにも、俺をここまで強くしてくれた師匠のためにも、わざわざ来てくれた幼なじみのためにも、簡単に負けるわけにはいかない。


 「キミは――このゲームが好きなのかい?」


 突然、目の前の男にそんな事を尋ねられた。愚問だ。


 「ああ、もちろん……そういう君はどうなんだ?」


 「興味無いね――」


 もしかして中二病なんだろうか。

 年齢はたぶん俺と同じぐらいだと思うのだが……。


 「……本当に興味ない人間が決勝まで来れるほど、甘いゲームじゃないと思うよ」


 ここは、そんな簡単な場所ではない。

 いくらアマチュアだけの大会とはいえ、デッキ構築、プレイング、運。

 何万人もの相手より、それらが上回っていないとここまで勝ち上がってくることなど不可能だ。

 並大抵の努力では足りない。凄まじい努力や情熱が必要だ。


 「キミはそうなんだろう――でも、ボクは本当に興味が無いんだ――たとえ明日このゲームがプレイできなくなっても、ボクは一ミリも悲しまない」


 「……何を言っているんだ?」


 「残念だ――。キミはもう、このゲームをすることができない」


 「……は……?」


 意味不明な事を言い出したと思ったら、突然手を上げて大声を出した。


 「ジャッジ! ――彼のデッキを確認していただきたい」


 驚いた様子で、後ろに控えたジャッジが慌てて駆け寄ってきた。

 何か彼から話を聞いたかと思うと、厳しい顔をしてこちらに近寄ってきた。


 「ユーマ選手、デッキを確認させていただきます」


 何が起きているのか、さっぱりわからなかった。


 「……一体なんだって言うんですか?」


 デッキをひったくられるように取られて、そのまま裏に持っていかれた。

 さすがに俺も不満を隠せない。勝負に水を差されたように感じてしまった。

 会場の観客達もトラブルがあったことに気づいたのか、ざわつき始めた。

 しばらく時間が立って、再びジャッジが俺のところにやってきた。


 「ユーマ選手。こちらに来ていただきたい」


 「なんなんですか? まだ勝負の途中だっていうのに……」


 わけがわからないままステージを降りて、舞台裏に通される。

 奥の椅子に座っていたのは、この大会のヘッドジャッジだ。


 「ユーマ選手。我々はあなたのデッキの主力カードのスリーブに、側面に傷がつけられていることを確認しました」


 「……は?」


 スリーブの側面に傷?


 「対戦中にデッキの側面を触ればどこに主力カードがわかるようになっていました。我々はこれをマーキングだと判断します。したがって、ユーマ選手。あなたを失格とします」


 あまりのことにしばらく呆然としていたが、我に慌てて抗議する。


 「……待ってください。俺が、イカサマをしたって言うんですか!?」


 「端的に言うとそうなります」


 「……そんな! 何かの間違いです! 俺は傷なんかつけていません!」


 その時、会場内にアナウンスがされた。


 「会場の皆さんにご連絡します。ユーマ選手のデッキに重大な違反行為が確認されたため、今大会ユーマ選手は失格となり、カイザー選手が優勝となります。今後のユーマ選手への処遇は追って伝えます」


 舞台裏からでも、会場中がさらにざわめくのがわかった。


 「はっ? 去年のチャンピオンがイカサマしたって?」「まじかよ、クソだな」「てか、今年だけじゃないんじゃね? 去年もやってたんじゃねーの」「イカサマ野郎が!!」


 そんな声が聞こえて来て、思わず飛び出して行き、みんなに向かって叫んだ。


 「待ってください! 俺は……俺は、そんな事……イカサマなんて、絶対にしていない!!」


 だが、会場の空気は冷ややかだった。 

 ある者は蔑んだような。ある者はバカにしたような。

 そんな、冷たい目で見ていて、俺のことを信じていなかった。

 そんな中、対戦相手の男の不気味に微笑む様子がやけに記憶に残った。

 その後、俺は反省の色も見えないという理由で、永久出場停止処分が通告された。


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 時刻はすでに19時を過ぎている。外はうす暗く、校舎内は人影がない。

 ”組織”の2人が俺たちの前後を歩き、俺と奈津は黙ってしたがっている。

 教室前の廊下に立っている男がいた。 

 その男の姿を見て、足を止める。


 「”王”。つれてきました」


 ……そうか。こいつが”王”だったのか。


 「――――」


 小声で何か指示している。


 「紙手は教室に入れ」


 「わかった」


 奈津と2人はそのまま言われるがままに教室に入っていった。


 「……あっ! 奈津!」


 俺も後を追おうとしたのだが、男は俺の道を塞ぐように立ちはだかる。


 「――そう急がないでくれ――ボクは本当はキミとは話したかったんだから」


 この声。初めて聞く声ではなかった。

 だが、同時に納得できることだった。

 ……まったく、相変わらず嫌な奴だ。


 「……まさか君がそうだったなんて、思ってもみなかったよ」


 まさか仇敵がこんな身近にいたなんて、思ってもみなかった。


 「久しぶりだね……皇帝カイザー


 「久しぶりだね――ユーマ」


 去年の『レジェンドヒーローTCG』全国大会優勝者、プレイヤーネームはカイザー。

 仮面を外した本名は皇浦帝こううらみかど

 今は、俺のクラスメイトだ。

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