第六話 「弱さ」
翌朝。
一真の姿が無かった。
聞き馴染みのある声が聞こえてくる
那月「今日休み」
誰がと言われなくてもわかった。
栞は、「ふーん」と思いながら
特に気にしていなかった。
***
昼休み。
那月「卵焼きいっただき〜」
栞のおかずを勝手に取る那月
栞「あんた、パンあるでしょ」
那月「前みたいに口に突っ込んでよ〜(泣)」
那月が昨日よりも
表情が軽くなったように
栞の目には見えた。
口をもぐもぐさせながら
那月「今日、俺ん家来てよ」
来て欲しい理由がわかった
那月「俺、今日バイトあるから
兄貴の面倒よろしく」
栞は那月の頭をポカンと叩いた。
栞「調子乗んな、アホ」
叩かれているのに那月は嬉しそうに笑った。
***
帰り道。
スーパーへ寄った。
食材を素早く買って家へ向かう。
ピンポーン。呼び鈴を鳴らす。
しかし、誰も出てこない。
ドアの鍵も開いたままだった。
ドアの奥で人が倒れる音が聞こえた。
栞は勢いよく、ドアを開けた
一真が倒れていたのだ。
体に触れるだけでもすごい熱だった。
一真「わ、悪ぃ」
なんとか、一真を近くのソファーへ運んだ。
栞は急いで濡れタオルを持ってくる。
栞「上、脱いで」
一真は、頑張って
言われた通り服を脱いだ。
栞は、優しく濡れタオルで
一真の上半身を拭いていく。
一真は、それが心地よかった。
拭き終わって、
新しいシャツに着せ替えをする
終わりそうになった時に
一真が、栞の背中に手を回してきた。
一真の体の上に覆い被さるような体勢になった。
栞は、体勢を戻そうとした時
栞「あんた、このままじゃ風邪が」
一真「少しこのままで…」
何故か栞は振りほどかずに
少しの間だけ、一真の頭を優しく撫でた。
***
数分後
一真をベッドへ向かわせた
その後に
栞がお粥とカットしたフルーツを持って
一真の部屋に運んできた。
お粥をふーふーしながら
ゆっくりと一真の口へ持っていく
全て食べ終わると
一真は、ゆっくり目を瞑った。
***
気づいたら19時になっていた。
那月「ただいま〜」
那月が買い物袋を持って帰ってきた。
那月「しかし、帰ってきてすぐに
女子を目に入れられるのはハッピーだね」
このまま泊まってってもいいよ?」
栞の影分身として俺が栞ん家に泊まるから」
栞は、那月の頭をポカンと叩く。
一真の為に早めにバイトを切り上げたんだと
栞は勘づいていた。
栞は、呆れながら帰っていった。
那月は、買ってきた食材をしまおうと
冷蔵庫を開いた。
出来上がった手作りのおかずが置いてあった。
ひとつずつ付箋が貼っていた。
栞は、兄弟分のご飯を用意してくれていた。
栞は言葉じゃなく行動で優しさを表す。
那月「ほんと…敵わないや」
しばらくして、那月は一真の部屋に入った
普段は無表情な一真の顔が
今は、微笑んで眠っているように見えた。
那月は、一真に貼っていた
熱さまシートを静かに変えた。
第7話へ続く▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎




