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第五話 「兄貴」

***


いつもの放課後。


今日は一真はバイト


帰りは別になった


那月と栞で帰ることになった。


那月「そういえば、そのキーホルダー」

「俺、嬉しかったけど寂しかった」


栞「あー、これね。今でもお気に入り」

「離れた時もこのキーホルダーが励みになってた」

「寂しかったってどういうこと?」


那月「転校してきた初日」

「ガン飛ばされてトゲトゲされたから」


公園のブランコに腰をかける。


那月「俺ね…」


風が吹いているのに二人の間に


重たい空気が漂っていた。


栞は何も言わずに


那月の声に静かに耳を傾ける。


那月「一真とは血の繋がりがないんだ」

「俺の両親は産まれてすぐに亡くなって」

「一真の家に引き取られた」


栞は、


那月と一真の家庭環境を初めて聞いた。


そして、栞は隣のブランコに腰をかけた。


栞「…それで、那月は一真をどう思ってるの?」


那月は、何故かその質問に即答出来なかった。


栞は、しばらくして立ち上がる。


栞「兄貴って単語、辞書で引いてみ」


那月「…え?」


那月は、栞の発言が


予想外過ぎて、その言葉にポカンとした。


そして、そのまま栞は帰っていった。


***


夜。


兄貴が帰ってきた。


一真「電気くらい付けろバカ」


栞に話をした内容に


思いふけていたら


時計は20時を過ぎていた。


那月「なぁ、兄貴」


自分が自然と呼んでいる一真への呼び方


辞書を引かなくてもわかった


那月「ご飯ちょーだい」


一真「…(・д・)チッ、ほらよ」


そう言いながら、コンビニ弁当を渡した。


那月は、今のモヤモヤが


少し晴れた気がした。


心の中で、


(栞、ありがとう)


そう呟いた。


コンビニ弁当が


いつもより美味しく感じた。


「兄貴」と言うその存在が


今まで那月の支えになっていたことに


ようやく気づいた。


那月「兄貴…」

「今日の弁当のチョイス輝いてるね」


一真「あ?いつもと変わらねぇだろ」


那月は、少し笑って食べ終えた。


第6話へ続く▶︎▶︎▶︎▶︎▶︎


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