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15.秘密の薬の

 サラの母親が、水の『攻撃法』が原因で、サラの目の前で亡くなった。


 そのトラウマが、サラが『攻撃法』を使うのを、避け、元素を練り上げられない理由。


「……つらいこと話させて……すまない」

「ううん、いい」

「サラちゃんさん……」

「あ……ソノラ、ありがと」


 俺の腰に回しているサラの手を、ソノラはそっと握ってくれている。


「俺さ……無理に弟子にしてもらったんだ。だから、あんまり良く思われてないんだ」

「確かに攻撃法が使えないのは致命的……と、思われがちだが!サラ!」

「え、うん?」

「治癒法をあそこまで使いこなせる見習いなんていない!それだけで十分!自信持て!」


 俺は笑い飛ばした。けど、


「それでも、どうしても使えるようになりたいと思ってるなら……困ってるなら、俺も力になりたいな」

「はい!僕も!僕もちょっと特別なので!一緒になにかできるなら嬉しいです!」

「おっさん……ソノラ……」


 グッと……掴む手に力が入っているのを感じる。


「まぁ俺も……師として未熟なのを痛感した身だ……偉そうなことはそこまで言えないんだけどな……はははは……」

「なに?よく聞こえない!」

「ぁ〜……だかワァッ?!」

「きゃ〜〜はっはっ!!」


 ソノラが大好きな、フランメの急降下……危うく舌を噛むところだった。

 無事に着地、神殿に到着……それそれでいいんだけど……クロンを起こしてから、ゆっくりお茶でもしながら話できたらいいな。


「さて、広げたのはいいが……改めて見てもなかなかの量だなぁ」

「おっさんが言うくらいだから、珍しいのか?」

「そうだな、障りが濃いダンジョンもまぁまぁ浄化してきてはいるけど……大抵、国宝級の遺物が数点でのが定石だった」


 そうなんだ。

 でかければでかいほど報酬は多く、質が良ければよいほど少なく上質な報酬が与えられる。質より量、量より質を体現してる感じだ。


 だから、今回のこれはかなり珍しい報酬の在り方だ。


 俺とソノラがボトルとその他に分けている間、サラは書斎から例の万能薬が記載されている図鑑を持ってきて、ひとつひとつ確認していく。


 効果量の違う傷薬、形状は同じだが柔らかい材質に入っている火傷に効く軟膏、風邪薬や、腹痛に効く物なんてのも盛り沢山……俺も見たことがあったり、使ったことがあるものばかりだ。


 ボトルの分別がすすむにつれ、サラの顔がどんどん曇る。


「おっさんな言う通り……質じゃなくて量の報酬だったから……やっぱり……無いのかな……」

「サラ、そん――」

「大丈夫!絶対ありますよ!僕たちが頑張ってるのを元素神(エレメゴッズ)様は見ててくれたんです!だからたくさんくれただけなんです!きっとあります!」

「ソノラ……うん……ありがとう……よしっ!」


 どうしよう……おじさん泣いちゃう。

 いいなぁ……いつの間にそんな友情深まっちゃってたのかなぁ……うう。


「う〜ん……お師様、サラちゃんさん」


 図鑑を見せてもらっていたソノラがなにか気になることがあるらしく、俺とサラも一緒に見るように言った。


「他のボトルと、明らかに違うところ……そこが尖っているじゃないですか」

「あぁ……たしかに……ガラス細工の調度品で似たようなのを見たことがあるが……」

「それと、このフタのところ」

「輪に切れ目……ひっかけるような……?」

「もしかしたらなんですけど……イヤリングぽくないですか?」


 俺とサラは、顔を見合わす。そして、ハモった。


「あっちの山にあるってことだな!でかしたソノラ!」

「見えてるようで見えてなかった……焦りすぎてたんだ……よし!」

「はい!探しましょう!」


 ソノラの頭を撫で、ボトル以外の残りの報酬を探る。


 普段なら丁重に扱う、目玉が飛び出るほどの貴重な遺物っぽいものには目もくれず……ポイポイ投げながらかき分け探す。


「あ」


 サラの動きが止まる。

 両手で握っているそれを、見せてくれた。


「サラちゃんさん!」

「間違いなさそうだな?」

「あ……あったぁ……」


 キラキラ光る綺麗なイヤリング。揺らしてみると、中に確かに液体が入っていた。


「手荷物にさせないこともあるだろうが……身に付けておけばすぐに使用もできる……ふーむ、なかなか考えられてるなぁ」

「貴重な物だから、それも分からないようにしてるんだと思う……あ〜……」

「もしかしたら、他のダンジョンに行った守護騎士さんたち……わからないまま」


 図鑑では、大きく分かりやすく描かれている。

 万能薬……薬……イコール、ボトルに入っていると……先入観からそれがまさかこんなに小さな装飾品の形をしているとは思わない。


 そう何十個も出るわけじゃないだろうが、1個あったとしても見分けがつかない……そりゃ、帰ってこないわけだ。


「なにはともあれ、だ。さっさとクロンを起こすとしようぜ?」

「うん!」


 満面の笑み……おい、クロン!絶対起きて……サラの笑顔に応えてやれ!

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