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11.癒しの水の

「いやー!すごいなふたりとも!」


 拍手しながら近づき、一仕事終えたソノラとサラの頭をワシャワシャと。


「や、やめろよ!これくらいできて当然だろ!な?!ソノラ!」

「えへへ!僕は嬉しいですよ〜お師様〜」

「ぉほっ!素直でかわいいなぁ〜〜」

「……仲、いいんだ」


 俺の手を振り払ったくせにしょんぼりして……素直じゃない。ま、それもまた、サラのかわいいところなんだろうな。


「当然かも知れないけど、簡単にはできないもんなの。だから、褒められるのは当然なの!わかったかなサラちゃん?」

「変なおっさん……」


 プイッと顔を背けて、先に行くサラ。


「こらこら!急ぎすぎるな!」


 慌てて追いかけ、しばらく進んだその先に、さっき襲ってきた気性の荒そうな魚と同じものを従える半魚人の魔物(モンスター)が穴から見える。


 1階層下、開けた場所に無数の個体……おそらく巣だ。


 飛び込むことはしなかったこと、悟られない位置で俺達を止めたこと……サラ、結構場馴れしてるか?


「さっきのは偵察ってところか」

「……生臭いです」

「酒臭いよりマシだろ」


 どっちもどっちな気はするけどね?


「倒して進むか、倒さず突っ切るか、だ」

「壁の穴……いっぱいありますね」

「外れ引くと行き止まりってかんじだろ?ん〜……そこ、右から4番目。元素がきれいに流れてるから」


 敏感なのは目がいいのもあるのか。こんなにすんなりわかるとは……クロンが弟子にしたのもわかる。


「お師様!せっかくなので中央突破で突っ切りましょう!」

「いいな!それ!さっき見てるだけだったんだから新刈りで頼むぜおっさん!」

「え、ええ〜……ド真ん中いくの?」


 うっ……そんな期待に満ちた目で……仕方ない。お師様として、かっこいいところ見せますか。


「――……で、走るように。わかったか?」

「はい!」

「おう」


 やること自体はシンプルだが、タイミングが大事。襲われないことと、俺の攻撃法に巻き添えにならないようにすること。


「サラちゃん」

「……なに」


 やっぱりなんか睨まれるけど……それより。


「ソノラはまだ小さいから、走る速度が俺たちよりも遅い。サラちゃんの判断で構わない、少しでも遅れそうなら抱えて走ってほしい」

「そんな判断……俺ができる保障ないじゃん。信用しすぎ」

「サラちゃんならできる。クロンの弟子なんだ、信用しないわけないだろ」


 ちょっと驚いた顔、ちょっと嬉しそうな顔。


 どちらもかわいい。返事はしてくれなかったけど、きっとやってくれるだろう。


「それじゃやるぞ〜?」


 位置について、


「よっ!と……やあ、お魚さん達こんにちわ?」

「ガウッ!?」

「ギャギャギャ」

「ギョ〜!!」

「……やけに魚寄りの奴もいるんだな」


 よーい……、


「さっきのサラのセリフじゃないが、焼かれちゃいなさい!」


 どんっ!


「【立ち塞がる炎の壁(アヴィエーション)】!ダブルだ!走れ!!」


 サラが示した4番目の穴に向かって2枚の火の壁を作る。右手と左手でその壁を操り、広げ、真っすぐな通路を作る。隔てられた炎の壁に追いやられ半魚人はおののき、慌てている。


 その隙に、サクッと走り抜けて突破だ。


 俺の頭上をふわりと飛び越え、走り抜けていくサラ……あはは!なるほど、そのほうが早いってことか!


「転ぶなよ〜?」

「わかってる!」

「楽ちんしちゃってます〜」

「喋るな!舌噛むかもだぞ!」


 途中でなにかあるのを想定するより、最初から抱いて走ればいいってね。自分での判断も早い。うらやましいぞクロン。


 さて。無事に穴に辿り着けそうだし、ここまでやったなら一掃しちまうか。


「お魚さん達、熱い波はお好きかな?」


 壁にしていた火の壁を崩し、津波のようにして半魚人たちに頭から浴びせ焼き上げる。


「悪い悪い、好きなわけないよな?」

「ギョ、ギョエェ!!」


 生臭さから香ばしさに代わり、なんだか少しお腹が空いてきたかも知れない。


「グ、グギョー!!」

「……っい!」


 なんて考えて、ゆっくり走ってたら油断した。


 最後っペもいいとこだ、俺の足に三又槍を突き刺してくれた。本体が死んだと同時に消えてくれたが、その分血が余計に流れ出ることに。


「なにやってんだよおっさん……」

「……面目ない」

「お師様……足腰立たなくなるのはまだ早いです……」


 ソノラ……心配してくれてるんだよな?


 転んで滑り込みそのまま寝転び嘆く俺。

 覗き込まれながら呆れられてしまった。やっぱり、カッコつけるのは似合わないらしい。


「ほら、見せてみ」


 座り直し、サラが傷口をじっと見て、ボソリと。


「【注ぎ注がれ繋がる命(ハイ・ライフ)】……」


 傷口に水がまとわり付く。痛みよりも、くすぐられる感覚の方が強くなる。表面に流れ出た血は綺麗に流され、その後止血。そして傷口の穴がお互いに引き合って綺麗に塞がれていく。


「見事なもんだな〜……俺の知ってる使い手の中でもここまで早く治せるのはいないぞ」

「得意……ではあるけど……褒めてばっかりだな、おっさん」

「そんなことないぞ?ダメなもんはダメってのはちゃんと教えてるぞ?な?ソノラ」

「はい……お師様を焼き殺してしまう前科持ちの僕です」


 こらこらソノラ、抜けてるところ、あるぞぅ?勝手に殺さないでくれな?サラが引いてるぞ?

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