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君との話  作者: tc


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5/7

終わり

あの日は夕陽がいつもより大きくて、なんだか手を伸ばせば届いてしまいそうだと思った。



ビーチを歩いて、君と僕は話す、まだ少し冷える時期だからか人は全然居なかった。

君の言葉を一つも溢さないように、僕は風の間に耳を澄ましていた。


暫くいつもの2人の調子でおしゃべりしてると、ベンチが見えて、僕は「あそこならゆっくり夕陽が沈んでくのが見えるね」って指差した。

君の「うん、、、そうだね」は少し重みを帯びている気がした。



ベンチにつき、君と僕はゆっくりと腰を下ろして、一息ついた。

僕は呑気に「明日からもお仕事忙しいんだっけ?」なんて質問を投げかける。

君は「そーなんだよね」って少し困った顔をするもんだから、僕は「どうした?今日やっぱり体調悪かったかな?疲れてた?」って聞く。


君は一拍おいて「君に話さなきゃいけないことがある」って言ったんだ。

僕は「え?なんだろ?」って惚ける振りしかできなくて、君はそんな僕を見て言い淀んでいたね。


覚悟を決めた顔の君は、「関係を終わりにしたい」だなんて言う。

さっきまで強く吹いていた風はその言葉だけは持っていこうとしなかった。


きっと君のことだから、沢山考えて沢山悩んだ結果なんだろうなって思って、僕は何か間を埋めなきゃって絞り出した言葉の「そっか」は、ちゃんと君に届いていたかな、震えてなかったかな。


君は「人としてすごく尊敬できるし好き、一緒いて楽しいと思えた」なんて言ってくる。

きっと今にも決壊してしまいそうな僕の顔を見た、君なりの優しさなんだろうね。

でもね、その優しさが逆に傷を深くするなんて君は知らないだろうな。

君は僕に「直すところなんてないよ、私が悪いんだ」なんて言う。


僕は頭が真っ白になって、いや君がいた場所が空白になっただけなのかもしれない。


その頃にはあたりも暗くなり始めていた。


僕は少しの沈黙のあと、「そろそろ帰ろっか」って君の顔を見る勇気もなかったよ。


車まで着いて、慣習になってた君のために助手席のドアを開けることを無意識にやって、君は戸惑っていたね。

僕もハッとして「君を家に送るまでは彼氏でいさせて」って、思わず言ったっけ。

君は「ありがとう」って、少し切なそうな声色で、どうして君がそんな悲しそうなのか僕には理解できなかったな。


君の家まで道が永遠に続いてほしいとまで思うほどに、君の家にはすぐに着いた。

君は「じゃあ、またね」なんて、期待させるようなことを言うもんだから、何か酷いことでも言ってやろうってらしくない考えも過ぎったんだけど、僕もそのとき出せる精一杯の笑顔で「またね」って言い返してやった。


帰り道は、悲しいほどに混んでいて、君とのことを思い出すのに充分すぎる時間だったよ。


僕の家に着いたころ、君からのメッセージの通知が鳴った。

テンプレートのような「今日まで幸せでした。これからも君のことを応援してる」のメッセージに、僕は君との関係は本当に終わったんだって、再認識させられたんだ。


その日の夜は、なんだかいつもより寒い気がした。

次で最終話になる予定です。

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