表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半端者の回復術者  作者: 散散満
第2章:新人たちの冒険

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/21

2-5:拠点の攻略

2026/06/07 17番隊を正式名称に設定

2026/08/01 主人公の職業を『薬師』から『調薬師』に変更

 17番隊の面々はコボルトの拠点へと接近しつつあった。


「まだ大丈夫だと思いますが、あんまり近づくと匂いでコボルトたちに気付かれます」


「でもあんまり遠いと煙が広がって麻痺の効果が薄くなるんだよ」


 野伏(レンジャー)のエルゼが警告するのに調薬師のチャールが反論する。


「そうだな、なあディア。魔法で煙を送り込むことはできないか?」


「え、ちょっと待って。ええと、旋風魔法(ヴォルテックス)の威力を抑えて……」


 リーダーのカールに話を振られた魔法使いのディアがブツブツ言いながら呪文を試し打ちをする。そして数回試行した後に元気よく返事をした。


「うん、大丈夫。煙を巻き込んで狙ったところに飛ばせると思う」


 それを聞いたカールはニィっと悪い笑顔を見せる。


「よし、それじゃあ近づきすぎないところで止まって火を(おこ)すぞ。火種は大丈夫だな?」


「うん、消えてないよ。火口に移せばすぐ火がつけられるから」


 チャールが小さな筒に灰と一緒に入れた炭火を確認して答える。


「そろそろ気付かれやすくなります。次に視界が通ったら煙攻めを実行しましょう」


 先導して様子を探っていたエルゼが進言する。


「やっとこれの出番が来るわね。早く降ろしたかったのよ」


 やれやれといった調子で答えるのは大量の薪を背負ってきた重戦士のシンディーだった。一同で一番の力持ちとは言っても重装備の鎧に加えて薪を背負うのはきつかったようだ。


「まったくですわ。わたくしに荷物持ちをさせるだなんて」


 毒草の入った袋を背負ったフリーデもぼやいている。毒草はみんなで刈り集めたあとディアの魔法により乾燥済みだ。


「済まないな。不意打ちに備えるならチャールの弓は使えるようにしておきたかったんだ」


 カールがそういいながら薪を組んで火を熾し、毒草をくべていく。


「よし、頼んだぞ、ディア」


「うん、任せといて」


 応えたディアが魔法を唱えてその煙をコボルトの拠点へと導いた。簡素な塀で囲まれていたその入口付近には二体のコボルトが立っていたが、妙な匂いが気になったか辺りを見回してクンクンと匂いを嗅いだと思うとその場に崩れ落ちる。


「見張りが二体とも倒れました。いきましょう」


 先行して身を隠しつつ観察していたエルゼが合図をだして全員前進する。倒れていた見張り二体にとどめを刺して、中がよく見えるようになったところでディアがそれぞれの巣穴の入口へと煙を誘導していく。


「そろそろいいだろう。攻め込むぞ」


 一同は拠点に突入して近いところから巣穴を襲っていく。地面に掘った穴の周囲に土を盛って板の屋根をかけただけで隙間だらけではあるが煙はよく効いていたようで、まともに動けなくなっていたコボルトたちはあっさりと戦士二人に倒されていく。


「数の差があったときはどうしようかと思ったがなんとかなったな」


 何体目かのコボルトに剣を突き立てたカールが軽く笑みを浮かべて次の巣穴へと向かう。


『グオォッ!』


 巣穴の入口から不意に大剣が突き出されて不用意に近づいていたカールが慌てて飛び退く。慌てて身構えるカールたちの前に巣穴からやや大きめのコボルトが三体現れた。頭痛を振り払うように頭を振っている。


「ハイコボルト……いえ、そこまで強くないコボルトリーダーぐらいかしら。まったく効かなかったわけじゃないけど持ちこたえたようね」


 ディアが敵を見定める間にもカールが前に出る。


「大剣を持ってるのは俺がやる。残りはみんなで頼むぞ」


「了解。援護よろしく」


 シンディーも盾を構えて前進する。


「シンディーさんに防御強化をかけましたわ。カールさんにもいきます」


 フリーデが補助呪文を前衛にかけていく。


「カールとシンディーに攻撃力強化……チャール、魔力回復薬(マジックポーション)ちょうだい」


 煙の誘導で魔力を使っていたディアは補助魔法だけで魔力切れになりチャールから魔力回復薬を受け取って飲み干す。


「っとぉ。こいつは結構やるな」


 大剣持ちのコボルトは多少サイズが合わないながらも鎧まで着込んでいてカールも少し攻めあぐねている。一方で二体を相手にしているシンディーは盾と剣で攻撃を受け止め、そこへディアの魔法攻撃とチャールの弓矢がダメージを与えていく。


「カールさんに『回復』いきますわ」


 何回か攻撃を受けてしまったカールをフリーデが回復する。


「ありがとう、助かった」


 カールは応えて更に攻め続ける。


「大きいの行くわ。下がって」


 ディアがそういうとシンディーがコボルトたちを突き放して後ろへ飛び退く。


「『爆裂火球』!」


 ディアの放った火球が着弾して破裂する。動きが止まったコボルトへ踏み込んだシンディーが袈裟懸けに切り付け、もう一体へはチャールの急所狙いの弓矢が突き立っていた。断末魔を上げて倒れるコボルトたち。


「隙ができたぜ!」


 仲間の悲鳴に意識を奪われた大剣持ちはそこをカールにつかれて急所への一撃を食らい倒れ落ちた。


「やれやれ、結局結構苦戦したな」


 周囲を再確認してようやく気を抜いたカールが一息つく。


「それはいいけど、ちょっと面倒なことになってるかもね」


 コボルトが持っていた大剣を拾い上げながらディアが言った。


「何か気になることがあったのか?」


 問いかけるカールにディアは大剣の柄頭を突き出してみせる。


「この紋章、あそこの砦を築いたっていう国の紋章なのよ。やっぱりこのコボルトたちは砦に住み着いていたコボルトだった可能性が高いわ」


「じゃあなんでこいつらはここに?」


「……一年前のゴブリンたちと同じでしょうか」


 疑問を浮かべたカールにエルゼが仮説を出す。


「うんアタシはそう思う。もっと強い何かが砦を占拠したからこいつらが逃げ出してここに拠点を作ろうとしていたんだって」


 ディアの言葉で一同に重い空気が流れた。



戦闘シーンで思ったより文字数食った。予定より1割ちょっと長め。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ