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クエスト名称:装備整調・教会で通信03

 腑に落ちないところがあるけれども、雨滴の洞窟に踏み込むために、武器屋、防具屋、道具屋に装備を整えに向かう。


 まずは武器を整える。

 僕はロームルに来る道中で入手した〔ネスティックのワンド〕ままだ。

 真衣は、〔鉄の剣〕から〔ニンジャソード〕に買い替えた。

 ニンジャソードは1度に2回も攻撃を繰り出すことができる。


 次に防具屋。

 僕は〔魔女っ子の服〕から〔元気のローブ(セクシー度10%増)〕に変更。

『元気の』と名の付く装備品は、スタミナ値が1割増える。

 そして、セクシー度10%の特殊効果付きが置いてあったので、これを購入した。

 それと〔余所行きのケープ〕から〔魔女のケープ〕に変更。防御力がすこしだけ増えた。

 真衣は、〔鉄の鎧〕から〔ホワイトクロムアーマー〕に買い替え。

 ホワイトクロムアーマーのホワイトは、防具屋兼鍛冶屋の主人に〔白の粘土〕を使ってもらって、色の真っ黒だったクロムアーマーを白色にしてもらったのだ。

 そのため、すこし出費が嵩んだ。素材を使わないと言ったのに……。


 また、〔鉄の盾〕を〔クロムシールド改〕へ買い替え。

 これも鍛冶屋を兼業する主人に頼んで、普通の〔クロムシールド〕を改良してもらい、〔クロムシールド改〕と名前が変更。……出費が嵩む。


 改良と言えば、ステータスアップのアクセサリーである〔イタチのシッポ〕を、道具屋で〔イタチのシッポ・バージョン2〕へアップグレードした。

 アップグレードによって尾が2つに増えて、素早さが1.5倍に。

 真衣も、〔流星ピアス〕に加えて〔危機一髪回避のお守り〕を購入して身に付けている。お守りの効果で、回避率が向上した。


「……あのさ、ちょっといいかな?」

「どうしたのよユッキー」

「僕の装備がおかしいだろうがよう!」

 元気のローブに、イタチのシッポ・バージョン2。

 お尻に装着した2つの尾が邪魔をして、ローブのうしろが捲れ上がっているのである。

 つまり、パンツ丸見えなのだ。

 白と青のシマシマパンツが、丸見えなのだ。

 魔女っ子の服のときはパンチラ状態だったが、いまは見せびらかしているに等しい。


「しょうがないでしょ? それが一番、賢者にあったステータスになるんだから」

「僕のモチベーションが下がってる!!」


 しかも、元気のローブはセクシー度10%増のため、胸元が大胆にオープン。真衣と比較しても勝るとも劣らない女の子の僕の胸は、行き交う人々の注目の的だ。

 これでパンツを露出しているんだから相当な変態である。


「ユッキーはまだいいわ。私なんか、ほとんど裸みたいなものよ」

 真衣の身に付けているホワイトクロムアーマーは、二の腕やウェスト、太ももなどを保護する気はないらしい。いや、むしろ恥部を晒していないだけマシな鎧だ。

 むき出しの生肌にいくらダメージを受けても、

「ステータスの問題だから大丈夫」

 というこのゲーム世界ですら、これは無視できない。

 無視できないほど、えっちな格好だ!


「なんでこのアーマーにセクシー度の特殊効果が付いていないんだ? 〔シャランポアのキワドい水着〕よりセクシーだろこれ……裸でいるよりエロいぜ」

「もう、最悪だわ……」


 落ち込む真衣には申し訳ないけれど、僕はこれでもかというほど目の保養をする。

 バストの形状を支えている椀型のカップからこぼれんばかりの豊乳が、歩くたび、ゆっさゆっさと揺れうごく。これは煽情過ぎる! まさに、勇者である。


 思春期真っ盛りの僕は、目が釘付けになっちゃって、

「なにジロジロ見てんのよ、えっち! んもう! 雨滴の洞窟へ向かう事を李里に報告しに行くわよ。洞窟へはそれから、いい!?」

 言われて僕は、真衣に耳たぶを抓られながら教会へ。


「よくぞまいられた。人は皆(以下略)」

 神父に500Gを支払い、李里ちゃんとの通信をはじめる。


「李里、ロームルに到着したわ。情報を入手してね、これから雨滴の洞窟っていうところに行くの。〔力のしるし〕があるみたい」

「わかった。でも気をつけて、真衣」

 李里ちゃんは心配そうな顔をして、

「こっちもね、ちょっとバタバタしてる。慌ただしい雰囲気……」

「なにかあったの?」


「うん……警備隊や幹部の会話を盗み聞きしたら、魔王の特命で、魔王軍四天王の1人がロームルに向かったんだって!」

 声をふるわせて、そう告げた。

「四天王……おかしなやつが出て来たぞ」

 いよいよ中ボスクラスの敵がその姿を匂わせはじめた。


「私、知ってるわ。その四天王の1人」

 真衣が真剣な顔つきで言った。

「本当かよ、真衣」

「どこかで会ったの? もうやっつけちゃった?」

 僕とおなじく、李里ちゃんも興味津々だ。

 李里ちゃんにうなずいてみせた真衣は、

「1週間くらい前だったかしら……王様に〔勇者の証〕を持って来るように言われて、試練の祠に行ったの。そのとき、魔王軍四天王の1人、ドゥクサスっていうのが現れた」

「それで、どうしたの?」

「私のほうが、レベルが上だったから勝ったわ」


 なんと真衣は、すでに四天王の1人を倒していた!

「すごーい! じゃあ、あと3人だ! そのうちの1人がロームルに向かったんだよ、きっと!」

「そうね……待ち構えているとすれば気を引き締めてかからないと。待っててね、李里」

「真衣っ! ここからじゃなにもできないけど」

 と李里ちゃんは、手を組み合わせて握って、

「無事に帰って来れるように、祈ってる! だから真衣は、絶対に勝たなくちゃダメ!」

 ふふーん! と鼻息を荒くしてエールを送る。けなげで実に可愛い。


 これは真衣も、ふふっと吹き出して、

「うん、ありがと大丈夫。姫の祈りを期待してるわ」

 緊張でかたくなった表情を弛緩させた。






 洞窟に向かう前に魔法の書物を購入した。

 僕が修得した魔法は、

 氷魔法『ブリザード』の上位である『ブルリガ』

 雷魔法『サンダー』の上位である『サンルガ』

 回復魔法『ケルファ』の上位である『ケルガ』

 戦闘時、味方の守備力を上げる補助魔法『プロテクター』

 戦闘時、味方の素早さを上げる補助魔法『スピード』

 戦闘時、敵の攻撃から身を守る保護魔法『バリア』

 これだけの魔法の書物と装備を整えたもんだから、ゴールドがない。


 しかも、魔法の書物はひとり一冊で、読みまわすことができない。

 ゆえに、真衣はケルガだけを習得した。

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