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「……お尻叩きですか?」

紗希は予想外の質問に戸惑いの表情を浮かべた。

「そうです。貴族の屋敷のメイドは、厳格な規律が求められます。特に若いメイドには、子供の躾のようにお尻を叩いて戒めるという慣習があるのです」


神崎は落ち着いた声で続けた。

「もちろん本気で痛めつけるわけではありません。怪我をしたり傷が残るような事は決してありません。しかし、時にはお尻が真っ赤になるまで叩かれる事を覚悟していただきたい」

紗希は両手を膝の上で握りしめた。恥ずかしさと緊張が入り混じる中、彼女は小さく頷いた。


「……わかりました。私、メイドとして一人前になるためなら耐えてみせます」

「その言葉に嘘はありませんね?」

神崎の鋭い視線に一瞬怯んだものの、紗希は再び強く頷いた。

「はい!どんなお仕置きでも受けます!」


神崎は静かに頷くと、机の引き出しから角印を取り出し、書類に押印した。

「合格です。明日からメイド見習いとして働いてもらいましょう」


紗希は胸が高鳴った。憧れのメイドになれる喜びと同時に、未知のお仕置きへの不安が混ざり合う。

「ありがとうございます!」

深々と頭を下げると、神崎は穏やかに微笑んだ。


「さぁ、制服を受け取りに行きましょうか」


二人が部屋を出ると、廊下の奥から別のメイドが歩いて来た。神崎に気づくと、ハッとして顔を赤らめ恥ずかしそうに会釈をしながらすれ違った。急ぎ足で二人の横を通り過ぎる際、彼女の黒いスカートがふわりと風で翻った。一瞬だけ見えた下着に包まれたお尻に、紗希は息を飲んだ。小さな白い下着では隠しきれない部分が、赤くなっているのが見えてしまったのだ。


「あちらのメイドも見習い中なのですが」と神崎が声を潜めて言った。「昨日のお仕置きで、少し罰が重かったようで……」


意味深な言葉に紗希の顔が青ざめた。これから自分が踏み込む世界の現実を、初めて目の当たりにした瞬間だった。


紗希が案内されたのは、メイド達の控え室の奥にある小さな部屋だった。神崎が扉を開けると、クローゼットの中に整然と並ぶメイド服が目に飛び込んできた。

「素敵……」

思わず感嘆の声が漏れる。純白と黒のコントラストが美しいエプロンドレス。ヘッドドレスまで用意されている。まさに紗希が夢見た通りの衣装だ。


「試着してみてください」

促されるままに衣装に袖を通す。鏡に映るのは憧れていた自分の姿。胸がいっぱいになる幸福感と同時に、昨ほど見かけた光景が脳裏をよぎる。白い下着からのぞいていた赤い痕跡……

「あの……神崎さん」


振り返ると、神崎は真摯な眼差しで紗希を見ていた。

「心配は無用です。きちんとルールを守れば、決して理不尽なお仕置きなどありません」


彼の言葉に安堵しつつも、紗希の胸の鼓動は早くなるばかりだった。今朝までの普通の女の子から、憧れの職業へ。そしてそこには、全く未知の領域が待ち受けている……

「明日からよろしくお願いします!」

緊張と期待が入り混じる挨拶に、神崎は優しく微笑んだ。

「期待しています。立派なメイドになってください」


こうして紗希の新たな人生が始まった。憧れのメイド生活への第一歩を踏み出すとともに、少女時代には想像もできなかった現実に向き合う日々が始まろうとしていた。

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