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オブリビエイト・リインカーネーション〜前世の記憶が無い転生者は自らの過去を探す〜  作者: 波来
第一章第二幕 開戦

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かつての日常

その後、バウルは帰国。

ゴードンは王太子としての務めに集中するため基本的に王城へ、デザリアとミリアも護衛のためゴードンの直ぐ側にいるので王城へ。


ククルは卒業直後に魔法科学省へ入省。


オジキは好き勝手に生きることにしたようで店を開く準備をするために海外へと飛んでいった。


店を開くのに海外に行く必要あるのかな…………?


メルディアは教員になると言って教育者養成施設?みたいなところへ言った。


ゼニスはもちろん、フィルもカイシス侯爵家の私兵団に入団することとなった。


「なんだ、お前も来んのかよ」


「うーん、僕もよくよく考えたら夢より先にこっちに入った方が良いだろうし、せっかくなら君たちと一緒にいれる方が楽しそうだし、これでもゼニスとフリーナには敵わないけど学年3位だからね」


「ぉぉぉ……さすがだ心の友よっ……!」


「僕そんな事思われてたの? 悪い気はしないからいいけどさ」


「へへっ」


その後、彼らはなんだかんだありながらも行動を共にしてきた。

侯爵領に現れた竜の討伐、魔物の異常発生の原因究明及び解決。

私兵として活躍。

果たして彼らは隊長を任せられるに至る。


ちなみに彼らが住んでいる所は寮である。


「何ぃ!? 私兵団を抜けて騎士団に行くぅ!?」


ある時、ゼニスとフィルは行きつけの酒場で話をしていた。


「そうだよ。僕もそろそろ私兵じゃ無くて騎士団に行こうかなって。前から僕は騎士団に入りたかったっていうのもあるし」


「あーそういや一年の頃の自己紹介でそんな事言ってたもんなぁ……じゃぁなんでこっち来たんだよ」


「まだ、君から色々盗めてなかったからね。どうせ兵士としてやるなら君から技術を盗んだ上であっちに行ってやろうと思って」


「そうかそうか……じゃぁ来年の騎士団と私兵団の御前試合では敵同士ってわけか」


カイシス侯爵家は王家とも非常に近しい家系。

当然だ、先代の王、そして先代の侯爵家当主は兄弟なのだ。

実質王家のサブと言っても良いぐらいの格式ある家なのだ。


とは言ってもハイゼラード王国だからゆるっゆるだが。


故に王家とカイシス家は一年に一回それぞれが有する戦闘員、王家からは騎士団、カイシス家からはカイシス私兵団(名前はつい最近知った)からそれぞれ五名を選び、御前で戦わせることとなっているのだ。


ちなみにゼニスが来てから三年、カイシス私兵団が連続で勝ち星をあげている。


「そうかぁ……寂しくなるな。まぁそれがお前の夢だったんだろ?なら邪魔なんざしねけよ」


「ははは。嬉しいこと言ってくれるね。ゼニスはそろそろ大隊長になれるんだっけ?」


「あぁ、そうだ。その次は連隊長、その次に大連隊長だ!」


「そうやって成り上がってフリーナに告白して当主様に直談判するんだろ」


「あぁ!そうさ……っておまっ! なんで知ってんだ!」


慌ててゼニスが手でフィルの口を押さえる。


「バレバレだよ。どんなバカでも気づくよ、アレだけずっとフリーナのこと喋ってたらさ」


ゼニスが顔を赤らめて俯く。

学院生活を送っているうちにいつのまにか惹かれていたようである。


「それに何年一緒にいると思ってるんだい?」


ゼニスとフィルはカイシス侯爵領の辺境の村で共に育った幼馴染で、互いが互いを1番わかっているという自負がある。

フリーナと最初に出会ったのも、視察に来ていたドーン侯爵からはぐれたフリーナを連れ帰った事だったりするのだが、当人らはあまり記憶にない。


「まぁでも脈はあると思うよ」


「ほ、本当か!」


「じゃなきゃフリーナもわざわざ私兵団に入って君の部下になろうと思わないでしょ」


フリーナは何を思ってか、二年ほど前に私兵団に入団している。

侯爵家の令嬢だから、という忖度など一切ない。

彼女は自らの実力で私兵団に入団し、今はゼニスの部下として活躍している。


「あー、まぁそうか……よし……! やってやるぞぉ!俺は!」


「ま、僕もそろそろ相手作ろうかな〜って」


「あぁ、メルディアか」


「そうそう……ってやっぱバレてたか」


「そりゃぁな。俺でも気づく。それにあっちはいつでもOKって感じみたいだからな」


前回の同窓会ではいつになったらフィルが告白してくれるのかを、フリーナに愚痴っていたそうだ。


「はは……騎士団でもっと昇進しないとね……」


「まぁなんだ、頑張れってこった」


「ありがとう、頑張るとするよ、なんなら君を追い抜かしてやろうかな」


「おっ、そうだなぁ! それぐらいの目標立てねぇとよ! 今日は俺が奢ってやるか好きなだけ飲めよ!」


「やったね。マスター! ビール五本ちょうだい!」


『あいよー』


「飲み過ぎだお前バーカ」


「へへへ」



そして数日後、フィルは騎士団へと移籍した。

お別れ会では私兵団の多くの同僚が集まったそうだ。


「あっちでも元気にしてね。じゃないとゼニスが悲しむからさ」


「あくまで俺が悲しむ事前提なんだな」


「まぁそりゃ私も悲しむけど1番悲しむのゼニスでしょ?」


「まぁ……うん」


「ま、元気にしなさいよ。貴方もゼニスが悲しむ姿は見たくないでしょ?」


「はは、ありがとうね、(それと、ゼニスとはちゃんと両思いだから安心すると良いよ)」


「えっ」


フリーナが顔を赤らめてゼニスの方を見る。


「だからそんなに気張る必要はないよ」


「……うん!」


「それじゃぁ、今までありがとうございました」


「おう! 次は御前試合でな!」


そう言って、フィルは荷物をまとめて私兵団から離れていった。


「さて! ゼニス! いや、隊長! これ片付け終わったら特訓してもらうわよ!」


「えぇーまたかよぉ! お前負けそうになったら魔法使ってくるから嫌なんだけど!」


「そんなことよりお前らは訓練場を壊さないように」


「「あいい……」」


連隊長からお叱りを受けた二人は後日訓練場を壊さないように気をつけて特訓。


出来るはずもなく加熱した戦いは一瞬で訓練場の枠を飛び出し、王都郊外の平原で行うことになった。

当然訓練場も破壊されており反省文を十枚近く書かされるハメにlなった。


そして半年後、1年ぶりに開かれる御前試合。


「あー、もう一年かぁ……アイツは代表選手に選ばれてるかな?」


「どうでしょうね。でも実力はあっても功績が無かったら選ばれないこともあるだろうから今年はいるかいないか分からないわよ。来年は絶対にいるだろうけど」


「だな」


フリーナが言った通り今年はフィルが代表に選ばれることは無く、代表選手名簿に名前はなかった。

フィルというゼニスに次ぐ剣術の使い手がいない以上ゼニスの勝利は確実。

出場した試合を数分で終わらせ御前試合はまたもカイシス私兵団の勝利となった。


それを王室専用観覧席から見ていた当時の国王とドーン侯爵。


「ほぉ、さすがはゼニスだ。我が息子が欲しがる人材なだけはあるなぁ」


「…………アレはやりませんよ」


「取るつもりは無いから安心せよ、ドーン。だが実際アレは磨けばさらに光るとは思わんか?」


「そうだな、正直ゼニスは俺の想像以上の強さ。我が娘フリーナも彼に勝てることは数回しかないらしい」


「お主はあいも変わらず親バカだのぉ……まぁ事実フリーナ嬢は強い。魔法では右に出るものはいないほどじゃ。それでもなおゼニスの方が上じゃというわけか」


「そうですね。正直今すぐにでも彼に団長を任せて政務に勤しみたいところですよ」


「はっはっはっ、じゃぁ次期カイシス侯爵家当主はもう決定かの」


「それはまだ未定です。永遠に」


「親バカも過ぎると老害じゃぞ……」


ドーン侯爵と現国王が賞状を受け取るのを眺めながらそんなことを喋っていた。



さらに翌年。


ゼニスは大隊長を超え、副団長にまでなっていた。


「ほらほらぁ! もっと腰をいれろぉ!」


「だからぁっ……! 私はっ! 剣は得意じゃないって……のっ!」


訓練場にてゼニスと大隊長となったフリーナが剣で戦っている。


「こんのぉ……!」


フリーナが振り被って魔法を放つも、ゼニスの剣がそれを斬り裂く。


「剣で魔法斬らないでくれるぅ!?」


「ははっ! うるせぇ! 勝ちゃいいんだよ勝ちゃぁ!」


ゼニスがフリーナの脚に剣を引っ掛けて体勢を崩し、尻もちをつけさせ、顎に切先を向ける。


「はぁ……また負けね。163戦1勝162敗」


「よし。これで100連勝!」


「全く……少しは手加減してよね」


「いやだねーだ」


「ほーん? じゃぁ魔法最初から使ってあげようかしら?」


「ちょ、お前」


「はいはい、もう終わりにしろっての」


二人に声をかけたのは現団長、すなわちドーン侯爵だ。


「ったく……お前らはやりすぎだといつになったわかる。フリーナが良いがお前は許さん」


「親バカぁ……」


ドーン侯爵の親バカっぷりはすでに周知のじじつ……少なくとも私兵団内では。

娘を愛するあまり結婚など言語道断という態度だったドーン侯爵。

しかし半年ほど前にフリーナにその話を聞かれ数週間口を聞いてもらえなかったことがよほどこたえたのか、今では相手がお眼鏡に叶えば良いという態度に“一応”なっている。


「それで、なんの用ですか? 侯爵」


「なに、今年もそろそろ御前試合時期だ。代表選手をあと3人決めねばならぬ」


「二人は決まってんのか?」


「フリーナとゼニスに決まっておろう。お前らに敵う奴らなどこの私兵団にはおらぬわ」


「まぁ……確かに」


「2年前まではフィルもいたから早かったんだがなぁ」


「そうだなぁ……ま、今年は敵だから、相手にいたら容赦なくぶちのめしてやる……!」


「そうねぇ、フィルならもう代表選手に選ばれてるでしょうね。選ばれないとおかしいレベルよ」


「だな。アイツはこの私兵団、いやこの国でもトップ10の強さに入るだろう。間違いなく今年の強敵になるだろうからな」


ドーン侯爵もフィルの強さを目の当たりにしており、その力を認めていた。


「ところでいつまでに決めないと行けない感じだ?」


「ん? 代表選手のことか? なら明後日までだ」


「じゃぁ明日でも良いか? 今日ちょっと用事あってさ」


「…………あぁ、そういえば言っていたな。久々の再会だろう。行ってくると良い」


そう、今日は彼らの同窓会があるのだ。

故に彼らはその時間になるまで、夜中まで特訓……という名のほぼいびりのような何かをしていたわけで。


「じゃぁ行ってきます、父上」


「行ってきます、侯爵」


「うむ、行ってらっしゃい」


侯爵に挨拶をして彼らは侯爵邸を出て行った。

前話から始まりました過去編

長いです(あうー

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