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オブリビエイト・リインカーネーション〜前世の記憶が無い転生者は自らの過去を探す〜  作者: 波来
第一章第二幕 開戦

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もう一人の同級生

「あーー、疲れたー」


ククルとの会議は終わって父さんはゴードンおじさんと喋りに上の方に上がって行った。

今更が王城になんの許可なくぶらついて国王に会えるってとんでもないな。

父さんと母さんぐらいだろうけど。


せめてアポを取ってから行くなりしようぜ?


「それにしてもよくこんなもの思いついたね」


隣を歩くレインにそう聞かれる。

さっきまではいなかったが、今はカオルとゴードがレインの少し後ろについている。


レインにはさっき魔法科学省の人たちに説明したものの設計画を見せている。


「確かにこの国は地震が多いからね。地震発生前に極微弱な長周期魔力波震が観測されているなんてわからなかったよ」


「まぁそりゃそうだろうな。私もそれ見つけたの偶然だし」


数ヶ月前、私が魔力を練り上げて精神統一をしていた時だ。

ふと魔力が南の方から反応したのを不思議に思って数分すると、南の方から地鳴りが響き、大地が揺れたもんだから何かしら関係性があるのかと思ってちょっと間調査したら見事にビンゴだったってわけだ。


とはいっても極微弱すぎて観測が難しいとかっていうのがあるから実用化についてはまだ先の話だ。


今回話したのはそれの理論と可能性について。

いつか実用化して自然災害による被害を減らせれた良いもんだが……。


「今日は他に用事は無いのかい?」


「うーん、特にねぇな。お前は?」


「無いよ。終わらせて来たって言ったでしょ」


「そういやそうか。じゃぁそうだな……」


「だったらちょっと、付き合ってくれないか?」


後ろから誰かがが声を掛けてきた。

振り返るとそこにいたのは父さんだ。


「何に?」


「まぁ、それは行きながら話すよ」


「父上も行くのですか?」


「あぁ、これは、ワシらがやらねばならんことなのでな」


何かは分からないまま、私たちは王城を出た。

流石にゴードンおじさんは護衛を連れて……と言われたらしいが私とゼニス、つまり父さんがいるから大丈夫だとゴリ押したらしい。


「この前俺たちのクラスメートに、先の大戦で死んじまったやつがいるって話しただろ?」


「あぁ、そういえば言ってたな……でもえらく急だな。あんまり過去のことを話す事もないのに」


「なに、今回の悪魔の件と関係がありそうだからさ」


「ふーん……」


「そうだな……何から話そうか……。あ、そうだ、リーシャ。考えてることをそのまま伝える魔法とかあるか?」


「あぁ、あるぞ。やろうか?」


「たのむ。あいつは……フィルはな……」


そう言って父さんが語り出したと同時に光景が頭の中に流れ込んできた。




木々の間から日の光が指している。

木漏れ日に照らされ眠そうにしている男が二人。

白を基調とした制服に身を包み、地面に寝転がっている。

ゼニス・フォートレスとフィル・パットンである。


「あー、眠ぃな……昨日夜更かししすぎたぜ」


「僕も本読んでて夜更かししたから寝てないんだよなぁ。ゼニスは?」


「俺はなぁ、あれよ。そこら辺うろちょろしてる魔物をバシッと狩ってきてたわけよ」


「おぉ〜」


そこに近寄る影が一つ……。


「なーにやってんのよ、あんたたち」


フリーナである。

まだ若く17歳ごろといったところだ。


「全く……お前たちは仲が良いな」


「はぁ、私が世話焼きなだけって言ってるでしょ?ゴードン」


「それを仲が良いというんだよフリーナ」


「へっ、こんな奴に世話焼かれるぐらいなら警備隊に捕まるほうがマシだ」


「なにをぉ!」


べしべしとフリーナが持っていたカバンで叩かれるゼニス。


「痛い痛い!お前が魔力纏わせてるせいでお前のカバンで叩かれるとアザになるんだよ!」


「うっさい!魔力纏わせて攻撃されるようなことをいうお前が悪い!」


周りからは変なものを見るような目で見られるが、慣れているのか特に気にする様子もない。

王立学院に入学して3年が経ち、本日で卒業となる彼らは非常に仲の良いクラスとして学内で割と有名な方であった。


「はぁ……そこら辺にしておいたほうが良いぞ、フリーナ」


「ふん!まぁ許してあげるわ」


「ず、ずぴばぜん……」


ボコボコにされたゼニスを隣にいたフィルが治癒魔法を当てる。

みるみると傷が治っていきすっかり無傷の状態へと戻った。


「やっぱフィルの治癒魔法はすげぇな、一瞬で怪我が治っちまうよ。お前がいればいつフリーナからボコされても無事ですみそうだ」


「へぇ、じゃぁ無事じゃ済まないような攻撃で焼き尽くしてあげようかしら……」


「ちがう!そうじゃないから!待って!助けて!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」


弁明虚しくゼニスはフリーナが放った魔法によって焼かれてしまう。

プスプスと煙をあげて焼けこげたゼニスを治癒魔法で回復しながらフィルが言う。


「相変わらずお前らは仲が良いなぁ」


「そうかしら?私には普通にソリがあってないだけに見えるわ。脳筋のあなたには分からないかもだけど」


「なんだぁ?ミリア……やんのかてめぇ?お?」


「あら、デザリアこそ私とやるつもり?その脳筋オブ脳筋の頭で私の魔法から逃れる事が出来るかしら」


「……僕の護衛はどうするつもりかな?」


「「す、すみませんでした!」」


数十年後に騎士団長と、魔法師団長となるこの二人、デザリアとミリアはこの当時は後の国王であるゴーディハイム・フォン・ハイゼラードの護衛だったのだ。


ちなみに学院では仲の悪い組み合わせとして有名だった。


「ふっふっふ、全く仲が良いねぇ、君たちは。平民と貴族が仲良くするなんて私の国ではなかなか聞いた事が無いですからねぇ」


そう言って現れたのは制服を身に纏った金色の髪を靡かせる男。

隣国のウラル帝国の皇帝一族の皇子のバウル・フィア・ウラルだ。


「私の兄も私も平民に対しては比較的普通に接していますから、あの国ではハズレものみたいな扱いだったからねぇ、新鮮な感じがするよ。弾圧なんかするから反乱が起きるということがわからないのですかねぇ、あの貴族どもは」


「なかなか毒舌だな……お前」


「まぁ、私は彼らには愛想を尽かしているからね。正直さっさと滅べばいいと思ってるよ、あんな腐敗した国は」


「ははは……」


少しデリケートな問題なので笑うことしか出来ないゼニス。


「まぁアレに比べてこの国はいい国だよ。平民であっても当然のように普通の生活を送れる。素晴らしいことだと思うよ」


「本当ね……」


「私はこの国に来て良かったと思う。いずれあの国をまともな国にしてみせる」


「そうか、じゃぁさっさと帰れ」


「そんなっ!」


バウルはフリーナに何度か告白しているがそのたびに玉砕。

しかもそれを見かけた人の恋が成就したという噂が流れバウルがフリーナに告白するようけしかける人までいるぐらいだ。

なかなかに迷惑である。

 

「フリーナに近寄ってくる羽虫はさっさと退治するに限る。フリーナんところのおやっさんに面倒なもん頼まれちまったぜ……まじで」


「ゼニスは結局私の家の私兵になるの?」


「おう」


「冒険者になるものかと思ってたわ」


「まぁ……おやっさんから頼まれてるからな。お前を守れって」


「ふ、ふーん……(ばか)」


彼女の小さな呟きが聞こえた者はいない。


フリーナの家、即ちカイシス侯爵家の私兵とはハイゼラード王国でも指折りの精鋭部隊として世界的に有名だ。

そんなところに学院を卒業したばかりの若造が入るとなると本来は反発も大きいものなのだが……。


「まぁゼニスなら大丈夫でしょ、この前の剣術大会で圧勝したんだから特に反発も無いし」


「反発ってわけじゃないが、自分の勢力下に置いておきたい奴らが多かったから割と反対派は多かったがな。ゴードンだってそんな感じじゃないか?」


「ははは……確かに欲しかったけど決めるのはゼニス本人だからね」


むしろその戦力を欲しいと考えると貴族のほうが多く、あらゆる手を使って関係を持とうとしてくる事もあった。


しかしそこで手を差し伸べたのがカイシス侯爵家。

完全実力主義の私兵団は実力がともわなければ、どんなに身分が高かろうが、どんなに金を積まれようとも入隊を拒否することで有名であり、そこに入る事は貴族の嫡男ではない、第二子、第三子はもちろん、平民の憧れであった。

そもそもの侯爵家当主がこの国の騎士団長であり、個人として世界最強とも言われている人なのだ。


そんなところから勧誘が掛かったゼニス、2年前あった剣術大会で圧勝した時だ。

普通ならばここは飛びつく場面なのだが、なんとここで一度断っている。


自分の好きなように生きたい、と言って断ったのだ。


その奔放さが気に入られ、当時のカイシス侯爵家当主であるフリーナの父、ドーン・フォン・カイシスと交流が生まれるのはまた別の話。


その後は幾度となく来る勧誘をはねては好き勝手にしていたゼニスだが、ある時、フリーナとドーン、そしてゼニスが暇つぶしに魔物狩りに行っていた時だ。


突如現れた竜を相手に彼らは奮戦するも、ドーンは持病の悪化でまともに動くことが出来なくなり、危うくフリーナに大怪我を負わせてしまうところだった。

いくら獅子奮迅の侯爵家当主ドーンであっても身体が動かなくては戦うことすらままならない。

ゼニスが間一髪のところで竜を倒しフリーナは無事で済んだが、ドーンは目の前で娘に大怪我を負わせる寸前だった、という後悔から、ゼニスに懇願。


『俺の身体ではいずれ限界が来てフリーナを守ることが出来なくなる。彼女はつよい。だがそれでも隣に誰かがいるだけで力になる。頼む。娘を守ってくれ』


ドーンの土下座に流石のゼニスも断るわけにはいかず、渋々承知。

そして私兵としてカイシス侯爵家に入ることとなったのだ。


ちなみにその後ドーン侯爵は


『ところで……娘のことをどう思ってる?』


『え?うーん……』


『好きじゃないと言えば殺す。好きだとしても娘はやれん。殺す』


『それ選択肢以前の問題じゃね?』


などと言っている。


「さて、卒業したけど、みんなはどうするんだ?」


「私は……国に帰るよ。あの国をなんとかしたいからね」


「そうか……まぁそれぞれやりたいことをやりゃ良いさ」


奇跡の世代と言われた10人の学院生は自らがやりたい事、やるべき事をやり遂げるために、学院を卒業し、そして3年の青春に想いを馳せながら各々どこかへと行った。

今回から過去編に入るんですけど……

なんかこれのせいで第二幕めっちゃ長くなりそうです()

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