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オブリビエイト・リインカーネーション〜前世の記憶が無い転生者は自らの過去を探す〜  作者: 波来
第一章第二幕 開戦

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30/40

ゼニスカンパニー

「あ〜良き天気。心安らかなり」


「何言ってんのお姉ちゃん」


「いや、良い天気だなぁって」


ちなみに今のセリフは小説で悪徳議員が逮捕直前、取材に来ていたメディアが撮っていた時、仕事に行く前に言っていたセリフだったりする。


「お姉ちゃんにしては今日早いね、何かあるの?」


「うーん……説明が難しいな。ルナも一緒に来るか?」


「……行く」


「よし、じゃぁさっさと着替えて準備するぞ」


魔法陣をサッと下からくぐらせ制服に着替える。

外行きの時はもうこれを着てさえいればなんとかなるから重宝している。


実際王立学院の生徒なら安心だろうみたいな目で見られることもあった。


あった、と過去形なのは今は悪魔から王都を守った英雄として見られ、王立学院とかあんまり関係なくなってきているからだ。


それによって良いことも増えているのだが、それと比例して面倒ごとも増えている。


特に腕自慢みたいな輩に絡まれる事が増えた。

毎回ボコしてはいるけど性懲りなく挑まれるからそろそろレインに言って規制してもらおうかと思ってる。


レインじゃなくてゴードンおじさんのが良いか……?

まぁ話しかけやすいにはレインだし良いっか。


『リーシャ!準備は出来ているかー!』


下から父さんが呼ぶ声が聞こえる。

今日は父さんも一緒なのだ。


「なに?父さんも一緒なの?」


「うん。一応父さんが表立って関わってる事だからな」


「へぇ」


「ルナは準備は?」


「もう終わったよ。着替えるだけで良いんだよね?」


「よし、準備出来たから今降りる〜!」


下にいる父さんへの返事をしてから部屋を出て下に降りる。


「うん?ルナも行くのか?」


「私と離れるのが嫌なんだって」


「そこまでは言ってなくない?」


「じゃぁ私といるのといないのとどっちが良いんだよ」


「………………いる方」


「だろ?だからルナも行く事になったけど大丈夫か?」


「いや、何も問題ないぞ。それじゃぁいつもの頼む」


いつもの、というのは転移魔法のことだ。

私はいつも学院に行く時もルナを連れて転移魔法で移動しているし慣れたものだが、父さんはまだ自分一人の分しか転移をさせることができない。


それぞれ転移先の周辺の状況を考えて魔法を組まないといけない為、相当な訓練と慣れが必要となる。

私は最初に使った時からそれがある程度出来ていたから今もヒュンヒュン飛んだり出来るわけだ。


「じゃぁ手を」


父さんとルナが手を取ったのを確認して転移魔法を発動する。


ヒュンと視界が染まって見えてきたのはやや豪華な一室。

少し前私が王城で泊めさせて貰っていた時に使っていた離れの小屋だ。


なんだかんだ行って最近は登校する時もここを使っている。


ドアをコンコンと叩く。


小屋の外にいた衛兵がドアを開けてくれる。


「おはようございます、リーシャ、ゼニス様、ルナ様」


「おはよ。見張りご苦労さん」


「いえ、責務ですので」


「…………」


今そことはかとなく違和感を感じたのは私だけだろうか。

てかこの衛兵いつもと顔がちが……


「何やってんだレイン」


「リーシャなら気づいてくれると思ったよ」


「お前仮にも王太子だよな?職務は?」


「今日の分はもう終わらせてきた」


「早くない!?」


「そりゃ、今日は君が朝から来るって聞いてたからね」


「えぇ……」


まぁ別にキモいとまではいかないが流石に驚きですよ。

私一人に会うためにそこまでムキになった仕事終わらせるか?


「あぁ、ありがとね」


レインが隣にいた厚着のコートを羽織った男に礼を言う。

見慣れた衛兵の顔だ。

衛兵から服をむしり取って成り済ましたのだろう、

酷なことをする。


「すまないね、無理言って」


「いえ!殿下に私の仕事を肩代わりしてもらうような経験なかなか出来ません!一生誇りに思います」


「はは……」


「慕われてるんだな」


「実はね」


「ちょいちょい、レイン」


父さんがレインの肩をトントンと指で叩く。

そして腕をレインの首の方から回して身体を私たちのいる方とは反対の方を向いてこそこそ話し始める


「今のところ、どうなんだ?」


「いやぁ……芳しくないですねぇ、一応アプローチとかはしてるつもりなんですが」


「まぁアイツそういうの鈍感だからな」


「うぅ……」


「まぁ気長にやっていけば良いさ」


「そうです……ねぇ」


父さんとレインが振り返って再び私たちに並ぶようにして歩く。


「何話してたんだ?」


「そいつぁ、男の秘密ってやつだ」


まぁアプローチとか言ってたし今から行くところの取引先とかその関係かな……?

そんなこんなでやってきたのは王城内の一室。

コンコンと父さんがドアをノックして中に入る。


「おはよう」


「おはようございますゼニスさん!」


「よっ、仕事頑張れ」


「はい!お客様はあちらの待合室でお待ちになられています!」


デスクに座っていた数人が立ち上がってこっちを向き挨拶をする。

中は小さな事務所のようになっていて、デスクが数個並んでいる感じだ。


「ここは……?」


父さんがルナの疑問に答える間もなく、部屋に入ってしまう。


「まぁすぐ分かるよ」


部屋に入ると魔法科学省長のククルがソファに腰をかけ、その後ろの方でククルと同じ白衣を纏った女性が二人立っていた。

彼女らのネームプレートにはそれぞれ魔法科学省副省長、魔法科学省顧問、と書かれている。


「お、来たみたいですね。じゃぁ始めましょうか」


「まぁこんなわけだ。この前カズが言ってただろう?身分上いきなり精鋭集団の中に入るのは少々懸念事項があるからな。だから、私は“会社を作った”んだ。それがこのゼニス・カンパニー。身分上やはり私が社長やるわけにはいかないから父さんが代理でしてくれてるけどな」


ちなみに私はあくまで顧問としてここに所属している事がある。

カズがその案を思いついたのはかつてオジキが学院生時代にそのようにして鍛冶屋の集団に寄せて貰っていた話かららしい。

学院ではバイトのようなものまでは許可されている……がまぁ入学者のほとんどは貴族だから形骸化していたのを活用させて貰った感じだ。


「制服の付与魔法とかについてここで決めてたからな。ちなみに最近私が持ってるお金の出所はここだ」


「へー、だからあんなにお金持ってたんだね」


「半分は父さんと母さんに渡してるから近々何かあると思うぞ」


「その話は後にしてくれ、先決めとこうぜ」


「おっけ」


父さんの隣に座る。

私だけでも乗り切れる自信はあるが万が一のため父さんも居る。

とはいえククルは父さんの同級生だから特に心配することは無いだろうが。


「それでは、今日はどんな案を?」


「そうだな……最近見つけた事象なんだが、これを見てくれ」


収納魔法陣から一枚の紙を取り出す。

そこには横線が数本描かれており、そこにギザギザの線が幾本も描かれている。

そんなグラフが数個縦に連なっている。


「例えばここを見てくれ。1月9日にあった地震の地震波の解析図だ。で、震源直上の魔力解析なんだが───」





「──解析なんだが」


「一体彼女は何を言ってるんだい?」


「さぁ。私にはさっぱり」


今日は土曜日だから本当は色々確認する書類があったりで忙しい日なんだけど、少し早起きして全部終わらせてきた。

リーシャが来るとわかっていたから前日から終わらせたりしてね。

午後以降に入ってくるようなものはまた後でやれば良いしね。


「あ、お前らは隣の部屋で待機しといてくれ。菓子とか飲み物も置いてあるから」


リーシャがそう言って隣の部屋を指差す。

ルナと隣の部屋に行ってソファに座る。

テーブルにはマフィンのようなものがあり、それを手に取って開けて食べてみる。


「ところでレインってさ。どうなの?」


「あ、やっぱバレてる?」


「分かってないのお姉ちゃんだけだと思うよ〜。あんなに周りには敏感なのに鈍感なのって本当にいるんだなって」


「ははは……僕も初めて見たけどね」


それにしてもこれ美味しい。

今度見つけたら買ってみよ。


「まぁでも当人的にはアリな方だと思われてると思うよ。この前のお出かけの時に着る服の基準貴方だったよ」


「へぇ」


「まぁ、気長にやることね。アレ絶対気づかないから」


「はははは……」


確かにリーシャが自分への恋を自覚するイメージが全く思い浮かばない。


「ところでレインはなんでお姉ちゃんが?」


「うーん……一目惚れ……かなぁ」


「じゃぁオジキさんの時?」


「いやぁ……もっと前だよ……」


「へー、いつぐらい?」


ルナが興味ありげに聞いてくる。

ルナはお姉ちゃんの事が好きなんだなと思いつつ、


「内緒」


流石にまだ言えないからね……これは。


「ただ一つ言えるのは、ずーっと前から好きだって事だよ」

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