プロローグ
第二幕に入りました。
「ほうほう……これはなかなか……」
今私は王立図書館にいる。
早速前もらった権利を使って図書館中の本を読み漁っている。
王立図書館はとんでもない量の蔵書を保管するために数十メートルの高さの本棚に本が収納されている。
それらを取るためにレールが本棚に取り付けられおり、そこを走る小さいトロッコのようなもので目的の本がある本棚まで行くのだ。
本来読むためだけのスペースもあるのだが、王立図書館に来る人なんかそうそう居ないから本棚の前で本を取っ替え引っ替えしながら読んでいるけど。
取り出した本の題名は名剣名刀大全。
少なくとも名が知れている剣や刀は全てここに書かれてある。
「なになに……かつて勇者が使っていた刀、斬魔刀レオネチシム。その刀は勇者にしか扱えず勇者以外のものが触れると魔力を生命力を吸い取る妖刀……ねぇ……まんまコレだよなぁ」
収納魔法陣から取り出した刀を抜き放つ。
綺麗な刃は窓から入る光に照らされて光っている。
「まぶしっ」
あー、最悪、目に光が直に入った。眩し、涙出てきた。
眩しすぎるんだよこの図書館……マジで。
この図書館の窓ガラスは図書館中央にある本を読むスペースまで太陽光が届くように窓で光が増幅されている。
どういう原理か熱は発生しないように抑えられている。
「ま、もうこの武器について分かることも少なそうだし、歴史書でも読みに行きますか」
本を棚にしまい、トロッコについてあるレバーを使って移動する。
歴史書は王立図書館の中でも最奥。
最重要区画とされる特別管理棟に保管されている。
当然だろう。
歴史書の中には1万年前の大戦についての記録もある。
そのような貴重なものを保管するため、太陽光に当たること無く、温度も湿度も一定に保たれた空間が作られている。
また、全部が全部の書物が収められていると言うわけではない。
古い時代になればなるほど数は減っていき、一万年前に書かれたとされるような書物は数百冊といったところらしい。
トロッコがスピードを出しながらグングン下へと降りていくと、球状の物体が見えてくる。
それは王都でも最も堅牢な建築物と言われる王城の施設の中でも特に堅牢なもの。
私でも破壊できるかどうか…………頑張れば傷を付けれるぐらいかな。
何かあった時に王族や貴族が避難をする場所としての役割もあるようだ。
トロッコが地面へと到達し、そこでカチッと何かがハマった音がして固定される。
球状の物体は幅がおよそ200mはあろうか。
それが地面に半分近く埋まっている感じだ。
地面に程近い場所にある入り口から中に入る。
『承認コードを入力してください』
抑揚のない作られた音声が脳内に響く。
目の前にある端末に自分が設定した承認コードを入れると、ドアが開く。
「おぉ、本当に入れた……」
中に入ってみると一面が本で覆われている。
中央にはこの星を模ったらしい球体の地図があり、その周りをまた数多くの本が浮かんでいた。
球形地図と呼ばれるそれを見る。
島や海が精巧に作られており、1番上の方には時計のような意匠が施されている。
球形地図にはピンが島の形をした突起物に刺さっている。
そこが王都ということだろう。
へーこんな風になってたんだな。
それにしても地図なんだったら名前ぐらい書けよな。
と思えばピンがある場所に文字が現れる。
王都ハイゼラード。
「…………ウラル帝国はどこかな」
するとピンが動き、島の近くにある半島へ突き刺さる。
それと同時に周りを浮いている本が一気に本棚へと戻り、本棚が勢いよく動き始めた。
止まったかと思えばそこからまた本が出てきた球形地図の周りをぷかぷかと浮かび始める。
「なるほど、使用者の思考を汲み取り各地の本をここに出す機構が組み込まれているのか……l
私が父さんについての本を、と想像してみればピンは島の北部の海沿いを突き刺し、本棚が再び動きいた。
個人でも良いという事だろう。
ならば……。
「じゃぁ私の前世について書かれたもの……なんてのはあるか?」
球形地図はスンとも動かない。
「流石に無理か」
カチッ。
「ん?」
上の方から何か音が鳴ったかと思えば、時計の意匠が施された模様が動いていた。
カチカチカチカチカチ!
と高速で時計が逆回転し始める。
それと同時に、ごく少しだが島に形も変わり始める。
カチン!と音が鳴ると、模様も地図も動かなくなった。
代わりにピンが動き出す。
ピンは島から離れ、島に近くにある大陸の遥か先を指す。
そこは今の地図で言うとアルフレア共和国連邦がある場所。
アルフレア共和国連邦というのは、いわば複数国家の集合体のような国家で、世界で1番魔族の割合が多い国だ。
連邦議会というもので国家方針を決める変わった国だ。
話が逸れたな。
本棚もピンが動いたのに合わせて動きはじめる。
ぐるぐると回る本棚を見る。
「一体何年前なんだよ」
先ほど前時計は長針も短針も1番上を指していた。
しかし今は1番下を指している。
ゴウン……。
本棚が動きを止める。
そちらをみると棚に一冊の本が置かれてあった。
「『魔王と勇者』……ふむ」
表紙には古代文字でそう書かれており、とても古ぼけた印象を受ける。
事実本をめくってみれば相当古いのだろうという事が分かる。
所々文字は抜け、紙もボロボロ。
よく保っているものだと感心するほどだ。
とは言え、ほとんど内容が抜けていてとてもじゃないが読めたものではない。
だが表紙からして文字通り魔王と勇者について書かれた本なのだろう。
それが私の前世についての本という条件から出てきたのだとすれば……。
「魔王か、勇者か……ということなのか?それともこの中に出てきた何かしらの人物……」
魔王と勇者が出てくるということは少なくともこの本は1万年前の大戦について書かれているであろう。
ということは私の前世はその時代に……?
刀の事もある。前世が勇者だったという可能性も大いにあるだろう。
確定ではないがそこらへんではある気がしてきた。
「っていっても勇者とかって可能性が出てきたんだとしても実感わかねぇなぁ…………あ、そうだ」
頭の中で勇者について思い浮かべる。
地図と時計が動き始め本棚もぐるぐる回り始める。
カチカチと音を立て壁一面の本棚をそれぞれ見る。
まだ少し多い、絞ろうか。
「1万年前の大戦の勇者について」
また本棚が動き、先ほどよりも少し本の量が少ない本棚になった。
少ないと言うがそれでも600冊ぐらいはある。
「よし、軽く読んでみるか」
魔法で全ての本を引っ張り出して読み始める。
パラパラとめくって全て読み込む。
動体視力と脳をフル稼働させる事でそのような事が出来るのだ。
我ながら人間離れした力だなぁとは思うが非常に便利だ。
読み込んでみた結果。
勇者とは人類最後の希望。
かつて魔族を率い、はるか昔から人類と敵対していた魔王と互角の戦いを見せ、最終的に魔族との講和に持ち込んだまさに英雄。
と言うのが概ねの評価だ。
「人間ができる転生、またあるのなら転生魔法について」
本が棚に収納されまた切り替わる。
勇者についての本と違って転生について書かれた本は3冊しかない。
そこに書かれた事をざっと要約すると、
転生はこの世界に設定された秩序のもと、魂がたまたま記憶や経験が消される事なく、輪廻する事。
また転生魔法は意図的にそれを引き起こす大魔法である。
転生は子孫に自らの血が流れている事が絶対である。
と言ったところだ。
「ということは私の血筋はどこかに勇者に血が流れてるって事になるのかね」
本を仕舞えばまた本棚が動き出す。
出てきた一冊の本はどうやらハイゼラード王家の系譜図のようだ。
その始まりの一文には『大戦において世界を平和へと導いた勇者と〇〇〇〇(字が掠れて読めない)の血を引く者たちを起源とするハイゼラード王家の系譜図をここに記す』と書かれてある。
1番最後のページにはゴーディハイム・フォン・ハイゼラードとフリーナ・フォン・カイシスと書かれている。
そう言えば母さんって王家の血筋か……そこの繋がりで私は転生してきたということか……?
「おっと、そろそろ夕方だ。家に帰らないと」
本をしまって特別管理棟から出てトロッコに乗ってグングンと上がっていく。
王立図書館の入り口は1番上にあるのだ。
自分の転生が事実である可能性が高いと分かって上機嫌な私はそのまま家へと飛んで帰った。
図書館から出たら私のファン(非公式)がなぜか多く詰めかけていて怖かった。
今幕は割とリーシャの前世に踏み込むかも……?
しれないけど分からん()




