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血ぃすーたろかー33回目

「そう言えば、貴様。

 この騒ぎは何だ?」


 ギルドを出る前に何でこんなに人集りができているのか尋ねる。


「は、はぁ……

 何でも港の立ち入り禁止区域に入っていく者達が居たということで誰なんだ?とか我々にも立ち入らせろという冒険者が詰め寄っておりまして……」


 俺達の事だな。まぁ、勝手に近付くと撃ち殺されるからな。

 冒険者達も死にたくはねぇもんな。


「彼処は造船所だ。

 そして、我々が生きていた時代の遺産だ。貴様等蛮族にまで身を落とした下等人種には到底扱えない代物だな。もっと文明を発達させてから挑むが良い」

「ぞ、造船所……

 貴方は一体何者なのですか?」

「先も言った。貴様は鳥頭か下等人種が。

 行くぞエルフ」


 エミリーです!とエルフ、エミリーは告げて俺達の前を先導していく。

 あ、ストーカー君には先帰って貰って多脚装甲車を呼んでもらおう。帰りも楽だし。バイクは尻が痛くなるんだ。尻が。横に割れるで~こんな不正地をバイクで走ると。


「分かりました。あの、僕が運転して良いですよね?」

「おう。んじゃ、頼むぞ」


 ストーカーは任せて下さい!と大喜びでバイクに跨りさっそうと去っていった。気を付けなはれや~

 俺はエミリーとともに横須賀地下水道に。因みに、俺達の後をゾロゾロと冒険者達が付いて来る。


「ツェペシュ様は帝都の学校で教授か何かをされているのですか?」

「いいや。

 1ヶ月程前にこの世界で目が覚めた。3千年前の人間だ」


 地下道に入ると早々にスライムが居た。


「ツェペシュ様、スライムが居ましたよ!」


 エミリーが弓を番えてヒョウと放つので俺が慌ててその矢よ止まれと杖を向ける。矢はググッと制動されその後スライムに当たる10cm程手前で止まった。


「スライムを殺すでない、馬鹿者が」

「す、すいません……」


 杖をスライムに向け、何時も通り小さな人型をする。小さいスラミネーターに他のスライムを乗っ取るよう命令する。

 後は名古屋の地下水道でやった事と同じだ。スラミネーターを連れてスラミネーターを量産していくのだ。ゴブリンや他の魔物がいるがそれら全てスラミネーターが襲い掛かって窒息死させるのだ。見慣れた光景だ。


「あ、あの、倒した魔物は回収しないのですか?」

「欲しければ持っていけ。

 我が愛する国土をのさばっている畜生なぞ私にとっては塵に等しい。塵芥と知って尚も欲しいと言う者を誰が止めようか?」

「そ、そうですね~

 じゃあ、遠慮無く……」


 エイミーはイソイソとゴブリンやら何やらをテキパキと解体し、解体し終わったパーツやら何やらを大きめの麻袋の様な袋を取り出して放り込んだ。

 そして、お待たせしましたと麻袋を担ぎ俺の前に。残った残骸は俺が燃やしてやった。キモいからね。

 そんな感じで大体3時間程歩けばあっという間にスラミネーターが大量に集まる。大体250体。愛知県より多い。地方だから?まぁ、良いか。

 ズンズン歩いているとやっぱり現れるキングスライム。勿論、キングもすぐに支配下に置く。エイミーがキングスライムが…と絶句していた。まぁ、しょうが無いね。所詮はスライムだからね。


「では、帰るぞ」

「は、はい、ええ……」


 エイミーを連れて地上に戻るとストーカーが多脚装甲車を連れて待っていた。

 周りには遠目に多脚装甲車を眺める連中で賑わっていた。杖で肩をトントンしながら後部兵員室に入る。中ではストーカーが何やら拡張現実で何かをやっていた。


「お待た~」

「あ、お帰りなさい」

「250体作ってきた」


 (お使いの)プロは手抜かり無いぜぇ~?フハハ。


「んじゃ、エイミーに弓選ばせて作るべ」

「そうですね」


 外に待機しているエイミーを中に呼びPDAで作れる弓を見せる。コンパウドボウ、リカーブボウ、ロングボウ。後はクロスボウだ。


「えっと……どれが良いんでしょうか?」


 エイミーが俺を見る。俺はストーカー君を見る。


「君、弓に付いて知っとるけ?」

「知りませんよ。

 僕、弓とかボウガン使ったことないですし」


 だよねー


「取り敢えず、三種類の弓作ってみて比べさせれば良いんじゃない?」

「そうですね。

 じゃあ、3つ作ります。全部で30分ぐらいです」

「おう」


 30分待てと告げて俺は外に出る。外にはスラミネーターが大量に居る。中に載せるのは流石に無理なので外側に張り付かせる。知っての通り、この装甲車は軍用だ。軍用装甲車ってのは大なり小なり、外側には取ってやそれに類似した出っ張り等、フックがある。

 人間ならば多分、高確率で振り落とされるだろうが。スラミネーターの腕力を持ってすれば問題無いだろう。

 俺はスラミネーターに命令して外側にへばり付かせるが、やっぱり数は足らない。しょうが無いので全員に横須賀海軍工廠へとダッシュで向かうように告げる。すると全員がターミネーターの名に違わぬ短距離走者宜しく凄まじい速さで走っていった。

 これの方が早いな。


「さて、どうするか……」


 中に戻るとエイミーが所在無さ気にモジモジと部屋の隅に立っており、ストーカーは何かを見つめて困ったように腕を組んでいた。

 何やってんだ?と尋ねるとヘルシングに貰った初心者用AI作成モジュールでスラミネーターの新しいプログラムを作ろうとしているらしい。


「へ~何かよく分からんけど頑張って」

「はい」


 で、俺も漫画を読みつつ完成を待つ。漫画を1冊読み終わる頃には3つの弓は完成した。

 それを手に取り、エイミーに好きなものを選べと渡してやった。エイミーはそれぞれを手にとってヒエーと声を上げる。


「こ、これってオリハルコン製じゃないですか!?」


 いや、アルミ系合金です。高い強度を持ちながらカーボンのように軽いのだ。


「なんでも良い。

 好きなモノを選び、持って帰れ」


 エイミーはそれぞれの弓を手にとって弦を引いたり構えたりする。その後、リカーブボウとロングボウを2つ持ってう~んと唸っていた。俺はエイミーが選んでる間、それを眺めているとメッセージが届いた。ヘルシングからだ。

 スラミネーターが着いたそうだからさっさと帰って来いと書いてあった。


「面倒臭い。貴様にその3つをやる。さっさと出て行け」

「えぇ!?」


 ほら出て行けと扉を開けて外に放り出す。序に矢も300本渡してやる。

 こんだけあれば良いだろう。


「矢もくれてやる。

 ストーカー運転席に」

「あ、はい」


 エイミーをバイバイと外に追い出してから発進。10分程で到着だ。

 造船所に戻ると入り口にノンナが仁王立ちして立っていた。何やってんだ此奴?


「何やってんだお前?」

「アンタ達待ってたのよ!

 さっさとそれ積み込みなさい!燃料補給出来次第出発するわよ!」


 出発するわよってお前。

 色々と大丈夫なのか?


「まぁ、良いや。これ、どうやって積みこむんだ?」

「埠頭のでかいクレーンで積み込むわ!」


 ノンナが指差した先にはコンテナを積みこむためのデカイクレーンがあった。ジブだかガントリーだかと言うクレーンだっけ?たしか、文化遺産に指定されてたはず。

 100年前のクレーンでアメリカの原子力空母の整備とかに使っていたらしい。


「オマエ馬鹿だろう。誰がクレーン車扱えるんだよ」

「クレーンゲームは任せなさい!」


 ノンナがムフーンと鼻を膨らませて笑う。馬鹿だ此奴。知ってたけど、馬鹿だ。


「馬鹿野郎か、お前」

「ノンナちゃん、流石にそれは……」


 取り敢えず、クレーンに向かい積み込みが出来るかどうかを確かめる。どうやら、クレーンは全自動と手動で切り替えれるようだ。重量は200トンまでと書いてある。うん、多脚装甲車は65トンだから重量は余裕でクリアーだな。

 ノンナが手動で自分で載せる気まんまんだったのでストーカーに運転席に座らせてノンナが絶対に触らないように監視させつつ、ワイヤーを使ってぶら下げる。たしか、こう言うのってけん玉だかかに玉みたいな資格が必要だったよな。

 まぁ、持ってないからしらんけどさ。


「んーと、取り敢えずこんなもんか?」


 ワイヤーをフックで引っ掛けてクレーンに掛ける。そして、上げろとストーカーにいうとストーカーがスイッチを押したらしくクレーンがゆっくりとワイヤーを巻き取り始めた。弛んでいたワイヤーがピンと張りギギギと少しばかり不安げな音を出していたが、概ね順調にワイヤーは巻き取られている。

 暫くすると突然、金属が擦れる音がしてから巻取りが止まる。多脚装甲車は地上から50cmばかり浮いただ。そして、直ぐに警告灯とブザーの音がして降りてきた。


「どうした!」

「吊り荷の重量が偏ってるから緊急停止しますって出てます!」


 つまり、このまま引き上げると重さが偏るからちゃんと考えて釣れよということだな。困ったときのヘルシング先生だ!

 俺はストーカーにそのままで、ノンナは一切何も触るなと告げて船に。

 何処に居るのかな~ヘルシングさーん。

 船に飛び乗り、甲板を歩く。教授共は全員VLSの前に並んで地面に跪いて蓋をこじ開けようとしていた。やめーや!


「殊勝にも豚のように這い蹲って何してる」

「これはツェペシュ様」


 同じように跪いてVLSの蓋をこじ開けようとしているトーキンがバッと顔を上げた。お、胸元が見えた。エロいエロい。


「其処に入っているのは音速を超えて飛ぶ爆弾だ。

 下手にこじ開けて中の爆弾を刺激すると、貴様等全員死ぬぞ」


 俺の言葉に全員がバッとVLSの蓋から離れて、中を開けようと言い出したのだろう一人の教授を見た。教授はお前達だって賛成しただろう!と言う顔で周囲を睨み返す。


「この船は軍艦だ。

 貴様等の思いも寄らない技術で作られた嘗ての未来の結晶だ。死にたくなければ余り余分なことをするべきではないな」


 俺からのアドバイスだ。杖を肩に担ぎヘルシングが居るであろう艦橋に向かう。艦橋への道は何処ですか~っと。

 内部から行くと絶対迷うからもう、この体だからこそ出来る超近道。秘儀、外壁歩き!

 壁歩き!?

 知っているのか雷電!?

 あ、ああ。確か、道の分からない場所で、外壁を歩いて目的地へと行くという恐ろしい技だ……


「知らんけどな」


 艦橋まで辿り着いて中を覗くとヘルシングが椅子に座って腕を組んで何やらジッとPDAを見詰めている。艦橋の中に入るために脇にある扉の前に。

 で、開けようとするけど、開かない。何ぞ?水密扉は何かよく分からないけどぐるぐる回せばエエんとちゃうんか?


「あれ?開かんぞ?」


 ガチャガチャやってるとヘルシングが何やってますの?と開けてくれた。おー良かった。


「内側から鍵かけてた?」

「違いますわ。貴方の開け方が悪いんです」


 ロックを外してから回さなきゃあかないらしい。何でそんな面倒臭い構造しとんねん。アカンやん。未来未来な感じの扉にしようや。こう、プシューって言って勝手に開いたりする奴。カッコ良い扉。

 プシューって奴。


「所でけん玉だっけ?

 クレーン車の奴持ってる?」

「けん玉?クレーン車?

 もしかして、玉掛けの事でして?」


 それかもしれん。


「それかもしれん」

「それですわね。

 持ってませんが玉掛けがどうしたので?」


 クレーン車の話をするとアホですわねとバッサリよ。もう、呆れられたわ。ヘルシングがまぁ船体に傷付けられても困るので、とクレーンをやってくれるらしい。

 えがったえがった~で、外に出るとストーカーとノンナが空から降って来た。ノンナがストーカーをお姫様抱っこして両足でズンと、コナン式着地。ビリビリする感じの奴。

 何やってんだ此奴?


「お前等何未来少年ごっこしとるん?」

「の、ノンナちゃんが練習だって言って計器を勝手に触ろうとしてて……」


 止めようとして揉み合っていたら落っこちたらしい。危ねー事してるんじゃないよまったく。ヘルシングがノンナの前に仁王立ちし、伊吹を指差してハウス!と一喝。ノンナはダッシュで伊吹に走って行った。お前は犬か。

 いや、犬より酷いな。犬と違って余分な事をするからな。

 ヘルシングは全くとため息を吐き、それから拡張現実を開き俺とストーカーに何やらワイヤーを結べだの何だのと指示をだすので俺達はせっせと結んで行く。


「ま、これでいいですわね」

「よし、じゃあストーカー君。クレーンを動かし給え」

「はい」


 ストーカーは地面をおもいっきり蹴って15メートルぐらいあるクレーンの操縦室まで飛び、スイッチを押す。すると、今度はギチギチ言いながらワイヤーは巻かれていき、そのまま普通に伊吹の後部ヘリコプター甲板にスムーズに運ばれていった。

 おぉ~!


「おぉー」

「後は最終チェックをして出発ですわね」


 漸く北海道に行けるわけだ。いざ行かん、ほっかいどー

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