宇宙編・第1話:銀河の迷子と、最初の惑星【タコヤキ・プライム】
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銀河系へと飛び出したアルト一行の最初の目的地は、惑星規模で暴走する「全自動たこ焼き器の星」!
命がけの戦闘(?)の後は、まさかの美味しい巨大たこ焼きパーティーで大団円!?
ポンコツペンギン隊の新たなる大宇宙シリーズ、いよいよ本格始動の第1話です!
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超光速航行の青白い光のトンネルを抜け、フライング・ペンギンV号がたどり着いたのは、鮮やかなエメラルドグリーンと黄金色の海が広がる見知らぬ星系であった。
「わぁぁぁぁ! すごーい! すっごく綺麗な星が見えてきたわ!」
ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、ブリッジの大型モニター(ペンギンの目)に張り付いてパタパタと羽を跳ねさせている。
「ふむ……魔導航法士ルイスの計算に狂いはない。銀河系第百四十八星区、未開拓の地球型惑星だね」
黒ペンギン姿のルイスが、宙で優雅に脚を組みながらキザに眼鏡のブリッジを押し上げた。なお、無重力空間に浮かれすぎて上下が逆さまになっているが、本人は気づいていない。
「……なぁ、ルイス」
俺——アルトは、イエローペンギンのフードを深々とはめ直し、手元の魔導センサーの数値を見つめながら引きつった声を上げた。
「どうしたんだいアルト君。そんなに怯えた顔をして」
「怯えるさ! この星から発信されている魔導波長パターン……この間、宇宙のゴミ捨て場で回収した『全自動たこ焼き器』と完全に一致してるんだが!?」
「「「「な、なんだってぇぇぇぇぇ!?」」」」
ブリッジ内にいた全員の動きがピタリと止まった。
「まさか……この星の全土が……?」
グリーンペンギン姿のシルフが、真空用魔導ランスを握りしめながら冷や汗を流す。
「……ん。タコスの匂いがする。お腹空いた」
白ペンギンのミミは、すでに近くの非常食ロッカーを探る仕草を見せている。
「がははは! いいじゃねぇか! 宇宙の果てまで来てタコ焼きが食えるなら大歓迎だぜ!」
茶色ペンギン姿のマルコが豪快に笑い飛ばした。
「笑い事じゃねぇよ!! 惑星規模で調理家電が暴走してたらどうすんだよ! 俺たちの胃の寿命がいくつあっても足りねぇよ!」
俺が魂の絶叫を上げる中、フライング・ペンギンV号は重力制御を稼働させ、その緑豊かな惑星の地表へとゆっくりと降下を開始した。
ゴゴゴゴゴ……シュルルル……。
着陸した場所は、一面に広がる黄金色の草原——ではなく、なぜか綺麗に整備された『巨大な鉄板の平原』であった。
その中央には、古代の超文明を匂わせる、高さ百メートルはあろうかという『超巨大な自動たこ焼きモニュメント』がそびえ立っている。
「到着だね! さあ、ペンギン探検隊、上陸するわよー!」
エレノア殿下がタラップを勢いよく開き、真っ先に未知の大地へと飛び出した。
俺たちも仕方なくそれに続く。
「うぅ……地面がある……足が地についている……」
イエローペンギン姿のファリアが、地面に愛おしそうにしがみつきながら涙を流している。高所恐怖症から解放された安堵感ですっかり情緒がバグっていた。
「ファリアさん、地面に抱きつくのは後にして周囲を警戒してください。ここ、どう見ても普通の自然じゃないですから」
俺がそう警告した瞬間だった。
ブルルルルル……ガタガタガタッ!!
「「「「「……ん?」」」」」
足元の『鉄板の平原』が突如として微振動を始め、巨大なモニュメントから合成音声のような重低音が響き渡った。
『——警告。焼き入れ温度、適正値ニ達セズ。タネヲ投入シテクダサイ』
「「「「「タネを投入しろだってぇぇぇぇぇ!?」」」」」
ガガガガッ! と音を立てて、周囲の地面から無数の『巨大な金属製ピック(千枚通し)』がせり出してきた。全長十メートルを超える鉄の串が、まるで牙のように襲いかかってくる!
「危ないわ殿下!」
シルフが素早く飛び出し、大剣で飛来する巨大ピックを力任せに弾き飛ばした。
「ふんっ! 岩石のゴーレムだろうと巨大な串だろうと、このシルフの剣技の前には――って、重っ!?」
「シルフ! 相手は調理器具だ、油断するな!」
『——エラー。回転不良。キレイな丸ニ成リマセン』
モニュメントの赤く光る眼が俺たちを捉え、さらに強大な熱波を放ち始めた。足元の鉄板がジューッと香ばしい音を立てて熱せられていく。
「このままだと、俺たちが『巨大なたこ焼きの具』として丸められて焼かれるぞ!!」
俺は慌ててポケットから特製胃薬を取り出し、一粒噛み砕いた。苦い。今すぐここから逃げ出したい。
「ふむ……! 構造解析を完了したよ!」
ルイスが宙(あるいは鉄板の上)で軽快にステップを踏みながら叫んだ。
「この惑星全体のシステムは、中心にある巨大モニュメントの『温度調整プログラム』のバグによって暴走している! 要するに、熱すぎてイライラしているのさ!」
「イライラしてるからって私たちを丸めようとするなよ!」
「……ミミ、やる。冷却魔法、全開」
白ペンギンのミミが、手にした魔導冷却弾をモニュメントの排気口に向けて正確に投げ込んだ。
シュワアアアアアァァァン!!
大量の冷気が吹き出し、モニュメントの赤かったセンサーが鮮やかな青色へと変化する。
『——冷却完了。……オマチクサマデシタ。美味シイタコヤキヲドウゾ』
プシューッと盛大な蒸気が上がり、巨大モニュメントの足元から、外カリッ・中フワッの黄金色に輝く『直径二メートルの巨大たこ焼き』がゴロゴロと転がり出てきた。
「「「「「……え?」」」」」
俺たちは呆然とその巨大たこ焼きを見つめた。
「あ、あれ……? 戦闘が終わったら、なんだか急にお腹が空いてきちゃったわ」
エレノア殿下が首をかしげる。
「……ん。ソースの匂い、合格」
ミミがどこからか巨大な青海苔とマヨネーズを取り出している。
「がははは! 宇宙の敵を倒したら美味しいご飯にありつけるなんて、最高の世界じゃねぇか!」
マルコが豪快に笑いながら、巨大たこ焼きにガブリとかぶりついた。
「「「うまっ!!?」」」
あまりの美味しさに、全員の目がハートマーク(あるいは星マーク)になった。
外側は香ばしく、中はトロトロの出汁の効いた生地。タコの代わりに謎の宇宙生物の身が入っているが、極上の味わいだ。
「……はぁ。宇宙の第一星系からこれだよ」
俺はその場にガクッと膝をつき、呆れながらも、差し出されたアツアツのたこ焼きを一口かじった。
「どう? 美味しいでしょアルト!」
ピンクペンギンのフードを揺らしながら満面の笑みを向けてくるエレノア殿下。
「……まあ、悪くはないです。……ですが殿下、次はこの星を出てどこに行くつもりですか?」
「ふふん! 銀河マップによれば、お隣の星系には『宇宙最大の自動マッサージチェア型要塞』があるらしいわよ!」
「「「「「また家電かよぉぉぉぉぉ!!?」」」」」
俺の絶叫を乗せて、ポンコツペンギン隊の銀河系大紀行は、最高に美味しくて胃が痛いスタートを切ったのだった。
宇宙編・第1話をお読みいただきありがとうございました!
無事に銀河系へと飛び出したポンコツペンギン隊の最初の目的地は、惑星規模で暴走する「全自動たこ焼き器の星」でした。
襲い来る巨大な串を華麗にかわし(あるいは力任せに破壊し)、最後はやっぱり「美味しい巨大たこ焼き」をみんなで堪能するという、相変わらず身も蓋もない大団円となりましたがいかがでしたでしょうか?
胃薬を片手に突っ込みを入れ続ける苦労人・アルトの受難は、宇宙の広がりとともにまだまだ続いていきます。銀河の果てにはどんなポンコツ家電(と美味しいご飯)が待ち受けているのか!?
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それでは、次回の銀河系大紀行もお楽しみに!




