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退屈した王女と行く秘宝探しの旅……って、私以外まともな奴がいないんですが!?  作者: 凪塩 未来


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外伝第5話(最終話):真・八つ目の秘宝! 〜やっぱりアレだった件〜

お読みいただきありがとうございます!


無重力空間の狂乱を経て、ついに目の前に現れた【第八の秘宝】!

漆黒の宇宙空間に燦然と輝く巨大な天体……その正体と、古代人が宇宙に遺した「最大の身も蓋もない真実」とは!?

アルト一行のハチャメチャな旅を描く外伝シリーズ、ついに堂々のフィナーレです!

宇宙船『フライング・ペンギンV号』のメインモニターに映し出された、黄金に輝く謎の巨大天体。


「ついに巡り会えたね……! これぞ宇宙の理を司る、伝説の第八の秘宝……!」

黒ペンギン姿のルイスが、宙に浮きながら感動の面持ちでメガネを輝かせる。


「うわぁぁぁぁ! 黄金色でとっても大きくて綺麗な形! あれが【真・八つ目の秘宝】ね!」

ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、モニターにぺったりと顔を張り付けて目を輝かせた。


しかし——。


巨大天体がゆっくりと自動回転し、光の当たり具合が変わった瞬間。

俺——アルトの視界に、その天体の『全貌』が完璧に捉えられた。


「……ん?」


俺は目をこすり、ポケットからプカプカと浮いてきた胃薬を口に放り込んでから、もう一度モニターを二度見した。


直径数キロメートルはあるであろう、黄金色の巨大構造物。

その中央には巨大な穴が開き、滑らかな曲線を描く円盤状のシルエット。

そして表面に刻まれた、古代文字の巨大なロゴマーク。


「……なぁ、ルイス」

「なんだいアルト君。感動のあまり言葉も出ないかい?」

「いや……どう見ても巨大な【ドーナツ】なんだが?」


「「「「「ドーナツぅぅぅぁぁぁぁぁ!!???」」」」」


俺の突っ込みに、ブリッジ内全員の叫び(と無重力での回転)が激しく響き渡った。


「ちょっと待ってください!! 宇宙の果てに眠る最高の秘宝ですよね!? なんで『巨大なフレンチクルーラー』みたいな形してるんですか!?」


「ふむ……! モニターの魔導解析データを読み解いたよ!」

ルイスが宙でくるくると旋回しながら、解析結果を読み上げた。


「『太古の宇宙航行用大型ステーション兼、全自動調理&急速冷凍食品保管庫【創世のドーナツ工房】』……だってさ」


「ただの巨大お菓子工場じゃねぇか!!」


俺の叫びが虚しく宇宙空間に響き渡る。

エアコン、ヒーター、ノイズオルゴール、風呂の栓、鳥の巣換気扇、オイル切れゴーレム、アロマ王冠、USB安全取り外し忘れ……そして最後は『宇宙規模の巨大お菓子工場』。

古代人の生活感重視な技術力、ここに極まれりである。


「……ミミ、行く。巨大ドーナツ、食べる」

白ペンギンのミミが、素早く『宇宙用ペンギンヘルメット』を装着し、タラップへと一直線に突撃しようとした。


「待てミミ! 数千年前のドーナツだぞ!? お腹壊すだろ!」


「大丈夫よアルト! 全自動保管庫なら今でも出来立てのはずよ! ペンギン宇宙レスキュー隊(兼試食用)、出動ー!」


「「「おー!!」」」


「だから出動するなぁぁぁぁぁ!!」


俺の製止も虚しく、エレノア殿下を先頭に、カラフルなペンギン着ぐるみ集団が宇宙空間へと飛び出していった。


……数時間後。


宇宙船のテーブルの上には、巨大ステーションから回収された『古代の黄金ドーナツ(※魔法技術で完全に保温&保存されていた極上品)』が山のように積み上がっていた。


「サクサクで美味しい〜! 甘くてほっぺが落ちちゃいそう!」

エレノア殿下が口のまわりに砂糖をいっぱいつけて、幸せそうに頬張っている。


「……ん。チョコ味、最高。持って帰る」

ミミが両手にドーナツを抱えて満足そうに頷く。


「ふむ……古代の糖分補給技術もバカにできないね。魔法効率が二〇%上昇したよ」

ルイスが紅茶を片手にスカした顔で味わっている。


「うむ! この甘み、過酷な宇宙空間での疲労を一気に吹き飛ばしてくれるな!」

シルフもグリーンペンギンのくちばしフードを上げてモグモグと食べていた。


「がははは! 肉の後のデザートに最高だぜ!」

マルコが一口で三個のドーナツを飲み込む。


「……あ、甘いものを食べたら……少しだけ高所の恐怖が紛れてきたぞ……っ」

イエローペンギンのファリアも、涙目になりながらドーナツをかじっていた。


みんなが楽しそうに笑い合い、美味しそうに甘いお菓子を頬張る光景。

俺は静かに宙に浮きながら、自分の手元にあるプレーン味のドーナツをひとかじりしてみた。


——サクッ。


「……あ。悔しいけど、めちゃくちゃ美味いなコレ……」


口の中に広がる、やさしい甘さと芳醇なバターの香り。

旅の疲れと、日常の胃の痛みが、ほんの少しだけ和らいでいくような気がした。


「でしょう、アルト!」

エレノア殿下が宙をふわふわと泳いできて、俺の隣で並んで浮かんだ。


「世界中を旅して、空を飛んで、宇宙まで来ちゃったけれど……アルトと一緒に食べるお菓子が、一番の『秘宝』ね!」


とびきりの笑顔でそう語る王女様。


「……殿下。柄にもない臭いセリフを言うのはやめてください。胃が痒くなります」

「もう! せっかく感動的なことを言ったのに!」


プンプンと怒る殿下と、それを笑う仲間たち。

俺たちの乗った巨大ピンクペンギン型宇宙船は、美味しいドーナツの香りと賑やかな笑い声を乗せて、青く輝く故郷の星へと向かって、ゆっくりと帰路につくのであった。


……まあ、帰ったら帰ったで、また殿下が「次は地底の秘宝よ!」とか言い出すに決まっているのだが。


その時はまた、ポケットにたくさんの胃薬を詰め込んで、付き合ってやるとしよう。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


本編から外伝全5話まで、ポンコツペンギン隊と苦労人アルトのドタバタ秘宝探しの旅にお付き合いいただき、心から感謝申し上げます!


『退屈した王女と行く秘宝探しの旅。……って、私以外まともな奴がいないんですが!?』、これにて本当にすべての物語が完結となります!


少しでも皆様の日常にクスッと笑える時間をお届けできたなら幸いです。


作品を楽しんでいただけましたら、ぜひページ下部の【ブックマーク登録】や【評価】で応援していただけますと、次回作への大きな糧となります!

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