宇宙編・第2話:マッサージチェア要塞の癒やしと罠
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惑星「タコヤキ・プライム」での巨大たこ焼きパニックをどうにか乗り切ったアルト一行。
銀河マップを頼りに彼らが次に向かったのは、宇宙空間にぽつんと浮かぶ巨大な人工天体——『全自動マッサージチェア型要塞』!
極上の癒やしと、やっぱり身も蓋もない古代システムの罠が待ち受ける第2話、開幕です!
漆黒の宇宙空間にどっしりと鎮座していたのは、見上げるほどに巨大なレザー調の構造物であった。
無数の揉み玉アームが宇宙空間に向かってクネクネと伸び、背もたれ部分からは優雅なクラシック音楽が電波に乗って流れている。
「すごいわ! あれが噂の『マッサージチェア要塞』ね!」
ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、フライング・ペンギンV号のブリッジの窓にぺったりと張り付いて目を輝かせた。
「ふむ……外壁の装甲は極厚のポリウレタン製。物理的な攻撃を完全に吸収し、さらには全身のコリをピンポイントでほぐす迎撃システムを備えているようだね」
黒ペンギン姿のルイスが、キザに眼鏡のブリッジを押し上げながら分析結果を告げる。
「……なぁ、ルイス」
俺——アルトは、イエローペンギンのフードを深々とかぶり直し、嫌な予感しかしないという顔で尋ねた。
「なんで宇宙の要塞がマッサージチェアなんだよ。軍事機密とか防衛システムはどうなってんだよ!」
「古代人にとって『肩こりの解消』は国家の存亡に関わる重大な問題だったのさ。たぶんね」
「適当なこと言うな!」
「到着だね! さあ、ペンギン探検隊、極上の癒やしを求めて突入するわよー!」
「待て殿下! 敵の要塞かもしれないんだぞ! 突撃する前に偵察を——」
俺の制止も聞かず、エレノア殿下はすでに船のエアロックを開け、ぽんこつ特攻隊を引き連れて要塞の内部へと飛び込んでいった。
「仕方ない……殿下の護衛は我が務め!」
グリーンペンギンのシルフが、真空用魔導ランスを構えて後に続く。
「……ん。揉み玉の感触、確かめる」
ミミはすでにマッサージチェアの背もたれを枕にする気満々である。
俺は深く溜息をつき、ポケットから特製胃薬を取り出して放り込むと、重い足取りで彼らの背中を追った。
要塞の内部は、外観の厳めしさとは裏腹に、ふかふかのカーペットと温かみのある間接照明に包まれた、まるで超高級ホテルのロビーのような空間になっていた。
壁のあちこちから「コポコポ……」とリラクゼーション用の森林浴アロマが噴出している。
「わぁ……! なんだかすごくいい匂いだし、空気が美味しいわ!」
エレノア殿下がピンクペンギンの羽をパタパタさせながら、ロビーの中央に置かれた巨大な『王様サイズの特等席マッサージチェア』にちょこんと腰掛けた。
「殿下、あまり迂闊に座らないでください! 罠かもしれませんよ!」
俺が叫んだ、その瞬間だった。
ガガガガガッ! ピピッ!
『——ヨウコソ、極楽ノ世界へ。コレヨリ【全身揉みほぐし&骨盤矯正モード】ヲ起動シマス』
合成音声が響き渡ると同時に、マッサージチェアの背もたれから無数の機械式アームがガシャコンと飛び出し、エレノア殿下の体を文字通りガッチリとホールドした!
「「「「「殿下ぁぁぁぁぁ!?」」」」」
「ひゃうっ!? なんだか背中がグイグイ押されるわ!……って、そこ! そこはくすぐったいからぁぁぁ!」
ビュンビュンと音を立てながら、アームが殿下の肩甲骨と腰回りを限界突破のスピードで揉みほぐしていく。あまりの激しさに、殿下のピンクペンギンフードが激しく縦揺れしていた。
「き、貴様! 王女殿下に何をする!」
シルフが怒りのあまり大剣を振り上げるが、要塞の床から飛び出した別の揉み玉アームが、シルフの背中を「ガシッ」と捉えた。
「なっ……! 背中のツボをピンポイントで……! ぐっ、心地いいだと……!? いや違う、私は戦いに来ているのだぁぁぁ!」
シルフは抵抗しようとしたが、あまりの絶妙な指圧(機械式)の前に「うぅっ……そこはコリが溜まっていた部分……!」と早々に脱力してしまった。
「ふむ……! この駆動機構、人間の骨格構造を完全に無視した驚異的なハードプレッシャーだね!」
ルイスも足元から伸びてきたフットマッサージ機能に捕まり、キザなポーズのまま「ふぐぅっ!」と奇声を上げている。
「……ん。足の裏、最高」
ミミは完全にリラックスモードに入り、マッサージチェアの上でとろけていた。
「がははは! 背中をバキバキに叩いてくれるから筋肉がほぐれるぜ!」
マルコも満面の笑みで全身マッサージを受けている。
「おい、お前ら全員リラックスしてんじゃねぇよ!!」
俺は一人だけアームの届かない死角に陣取り、冷や汗を流しながら要塞のメイン制御パネルを探し求めた。
パネルの液晶画面には、赤文字でエラーメッセージが点滅している。
『——警告:ユーザーの疲労度が許容値を超えています。強制リフレッシュを完了するまで、この部屋から出ることはできません』
「要するに、『肩こりを治すまで帰さない』ってか!!」
俺は絶望的な気分になりながらも、制御パネルのキーボードを必死に叩きまくった。
古代のシステム言語を解読し、強制終了コマンドを入力する。
「頼む、動いてくれ……! 俺にはまだ胃薬の在庫があるんだからな!」
ターンッ! と強めにリターンキー(魔導ボタン)を叩いたその瞬間。
ピピッ♪
『——リフレッシュ完了。スッキリサマデシタ。オマケニ「エアーベッド機能」ヲ追加シマス』
ガコン! と音がして、要塞全体がポカポカとした温風に包まれ、拘束されていたアームたちが一斉にスルスルと収納されていった。
「ふぁぁ……すっきりしたぁ……」
エレノア殿下が、とろけるような笑顔でマッサージチェアからふわりと抜け出す。
「なんだか体の芯から軽くなった気がするわ! アルト、これ最高の秘宝よ!」
「秘宝じゃなくて、ただの過剰サービス付き高級マッサージチェアです!!」
俺はどっと疲労感を覚えながら、その場に崩れ落ちるように座り込み、いつもの胃薬を口に流し込んだ。
こうして、マッサージチェア要塞での命がけの癒やし(?)も無事に(?)終了し、ポンコツペンギン隊は次なる銀河の迷宮へと旅立っていくのだった。
宇宙編・第2話をお読みいただきありがとうございました!
銀河の果てで待ち受けていたのは、戦うどころか強制的に全身のコリをほぐしてくる「全自動マッサージチェア要塞」でした(笑)。
戦闘(?)のあとは全員すっきりと肩こりが解消し、身も心も軽くなったポンコツペンギン隊!
次回の銀河系大紀行も、予測不能なポンコツ家電と苦労人アルトの絶叫が響き渡ります!
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