外伝第3話:完成! 宇宙船フライング・ペンギンV号 〜安全基準とは何か〜
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王都の家電暴走事件(USB安全取り外し忘れ)を見事に(?)解決したアルト一行!
ついに障害のなくなった彼らの前に姿を現したのは、黒ペンギンのルイスが全力を注ぎ込んで完成させた超巨大宇宙船『フライング・ペンギンV号』!
しかし、そのデザインと機能はやっぱり突っ込みどころ満載で……!?
王都グランヴェールの郊外に広がる、広大な平原。
そこにそびえ立っていたのは、高さ五十メートルを超える巨大な『建造物』——いや、『巨像』であった。
「……なぁ、ルイス」
「なんだいアルト君」
「俺の目が狂っていなければ……目の前にあるのは、金属で作られた巨大な【ピンクのペンギン】なんだが?」
俺——アルトは、イエローペンギンのフードを深々とかぶり直しながら、目の前の巨大宇宙船を見上げて引きつった声を上げた。
そう、ルイスが国家予算(親バカ皇帝からの臨時予算)をフル活用して建造した宇宙船『フライング・ペンギンV号』は、どこからどう見ても【エレノア殿下を模した巨大なピンクペンギン】そのものの形をしていたのだ。
「ふっ……デザイン性と機能美の完璧な融合さ」
黒ペンギンのルイスが、スカした顔で眼鏡のブリッジを押し上げた。
「先端の『くちばし』は大気圏突入時の衝撃波を和らげる流線型。両脇の『翼』は浮力調整用の可変翼。そして尻尾のモコモコは超高出力の魔導推進ロケットノズルさ!」
「ただの趣味全開の巨像じゃねぇか!! なんで殿下の形にしてんだよ!」
「うわぁぁぁぁ! すごーい! 私がいっぱい大きくなったみたい!」
ピンクペンギン姿のエレノア殿下が、巨大宇宙船を見上げて大はしゃぎで跳ね回っている。
「ふむ……外装の装甲も申し分ない。これならば宇宙の過酷な環境にも耐えられるだろう」
グリーンペンギンのシルフが、頼もしそうに巨大ペンギンの足を撫でる。
「……中、美味しそうなおやつ……ある?」
白ペンギンのミミは、すでに搭乗口(※ペンギンの足の裏)から内部へと侵入を試みていた。
「……あ、あの……ルイス殿」
イエローペンギン姿のファリアが、膝をガクガクと震わせながら尋ねる。
「こ、この船は……どれくらいの高さまで登るのだ……?」
「ふ……雲海など通過点に過ぎないよファリア君。目指すは真空の宇宙空間……高度数百キロメートルだね」
「ヒィィィィィン……!(白目)」
ファリアがその場に崩れ落ち、芝生をむしり取り始めた。高所恐怖症の許容量を完全に突破している。
「おいルイス! 安全基準はどうなってるんだ!? 緊急脱出装置とかはあるんだろうな!?」
俺が詰め寄ると、ルイスはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「愚問だねアルト君。万が一の事態に備え、全乗組員用の『脱出用個人カプセル』を常備しているよ」
「ほう……珍しくまともな安全対策だな」
「そう! 船体が爆発した瞬間、乗組員は『小さなペンギン型のカプセル』に格納され、生身で大気圏へ放り出される仕組みさ!」
「生身で叩き落とされるんじゃねぇか!! どこが安全対策だ!!」
「大丈夫よアルト! 私たちにはこの高撥水・高浮力・高耐圧の『ペンギンアーマー』があるもの!」
エレノア殿下がフンスと胸を張る。
「……またその着ぐるみ万能説かよぉぉぉぉぉ!!」
俺が胃を押さえて叫んでいると、巨大船の胸部(※ペンギンのお腹)から、ゴーッという重低音とともに巨大なハッチが開き、タラップが下りてきた。
「さあ! 乗船準備が整ったよ。星の海へのカウントダウンを始めようじゃないか」
ルイスがスカした手つきで宇宙船へと招き入れる。
「よし! ペンギン宇宙特攻隊、フライング・ペンギンV号へ乗り込むわよー!」
「「「おー!」」」
「だから特攻隊って言うな! 誰か……誰か俺に強めの胃薬をくれぇぇぇぇぇ!!」
俺の絶叫を乗せて、一行はついに史上初(そして最高にシュール)な宇宙船へと足を踏み入れるのだった。
外伝第3話をお読みいただきありがとうございました!
ついに完成した宇宙船『フライング・ペンギンV号』!
しかしその実態は、やっぱり期待を裏切らない「殿下デザインの巨大ピンクペンギン」でした(笑)。
次回「外伝第4話:発進! 宇宙へ 〜無重力と狂乱の宴〜」をお楽しみに!
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