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退屈した王女と行く秘宝探しの旅……って、私以外まともな奴がいないんですが!?  作者: 凪塩 未来


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外伝第2話:暴走する王都の魔導家電! 〜電子レンジが喋り出した件〜

お読みいただきありがとうございます!


宇宙への旅立ちを目前に控え、優雅(?)にバーベキューを楽しんでいたアルト一行。

しかし、『創世の王冠』があった地下最深部の隠しスイッチが原因で、王都中の魔導家電が暴走を開始!

電子レンジが勝手に喋り出し、冷蔵庫が氷結魔法を撒き散らすカオスな王都を救うため、ペンギン隊が再び立ち上がります!


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「チーン! 『アナタノ解凍時間ハ、永久ニ終わりマセン!』」

「きゃぁぁぁぁ!? レンジが勝手に喋ってスープを煮煮詰めてくるわぁぁぁ!」


王宮の厨房は大惨事になっていた。


棚に置かれた最新型の『魔導加熱レンジ』が妖しい赤光を放ちながら謎の機械音を爆音で垂れ流し、隣の『魔導冷蔵庫』は扉をガタガタと激しく開閉させながら、厨房全体に吹雪のような冷気を撒き散らしている。


「な、なんですかこの地獄絵図はぁぁぁ!?」


俺——アルトは、イエローペンギン服のフードを深々とかぶり直し、飛んでくる冷凍カレイの直撃を間一髪で回避した。


「ふむ……地下の古代遺跡から発信されている【緊急同期信号】を受信し、街中の魔導具が自律暴走(※いわゆるスマート家電のアップデートエラー)を起こしているようだね」


黒ペンギン姿のルイスが、飛び交う冷凍肉を華麗な身のこなしで避けながら、魔導測定器を覗き込む。


「アップデートエラーだと!? 古代人、どんだけいい加減なシステム残してんだよ!」


「アルト! 危ないわ!」


ピンクペンギン姿のエレノア殿下が俺の腕を引っ張る。直後、俺が立っていた場所に『全自動ほうき』が猛スピードで突撃し、壁に刺さった。狂暴すぎる。


「よし……! ここは私の『グリーンペンギン・スラッシュ』で、あの暴走冷蔵庫を一刀両断——」

「やめろシルフ! 王宮の備品を破壊するな! 弁償するのは誰だと思ってるんだ!」

「うぐっ……弁償と言われると弱い……っ!」


寒がりなシルフは、冷気を撒き散らす冷蔵庫に対して圧倒的有利(※着ぐるみの防寒性能)を誇っているにもかかわらず、会計の壁に阻まれて動けないでいた。


「……ミミ、やる。主電源、落とす」


白ペンギンのミミが、素早い身軽さで厨房の天井の配管を伝い、暴走する冷蔵庫の裏側へと回り込んだ。そして、モコモコの手でコンセント(魔導コード)を力任せに引き抜く!


プス〜〜〜……。


静まり返る冷蔵庫。


「よし! ナイスだミミ!」

「……ん。簡単」


「待ちなさいミミ! 王都全体には何千台もの魔導家電があるのよ! 一台ずつ抜いていたら日が暮れちゃうわ!」

エレノア殿下がフンスと胸を張る。


「じゃあどうするんですか殿下!? 元を断たなきゃ意味がないでしょう!」

「そうよ! だから……また地下大迷宮に行って、あの【隠しスイッチ】を直接オフにするのよ!」


エレノア殿下は当然のように言いのけた。


「……またあの暗くて狭い地下に行くのか……?」

イエローペンギン姿のファリアが、怯えた目をしてシルフの羽にしがみつく。


「大丈夫だファリア! 今回はこの『ペンギン水陸両用・対家電暴走用メット』がある!」

茶色ペンギン姿のマルコが、なぜか頭に鍋を被って胸を叩いた。


「ただの厨房の鍋だろそれ!!」


俺のツッコミが響く中、俺たちは再び王宮のワインセラーの奥——あの地下大迷宮へと足を踏み入れることになった。


地下に降りると、先日の整然とした雰囲気とは一変し、壁のルーン文字が『ピポピポピポ!』と情けない警告音を出しながら赤と青に明滅していた。


「『警告:ネットワークアップデート未完了。至急【主機(創世の王冠)】ヲ接続シテクダサイ』」


迷宮のスピーカー(魔導管)から、機械的なアナウンスが響き渡る。


「要するに……『創世の王冠』を取り外したせいで、システムが『Wi-Fiが切れた!』ってパニックを起こしてる状態ですね!?」

俺は頭を抱えた。


「実に身も蓋もない理由だね。古代の魔導ネットワークも、根幹は現代の家電と変わらないということさ」

ルイスがスカした顔で納得している。


「さあ、着いたわよ! 最深部『王冠の間』!」


扉を押し開けると、先日の台座の裏側で、小さな赤いランプが『ピコピコ』と激しく点滅していた。

その横には小さな文字で——


『※本体を取り外す際は、必ず【安全な取り外しスイッチ】を押してから取り外してください。強引に引き抜くと周辺機器が暴走します』


と刻まれていた。


「「「「「注意書きをわかりやすい場所に書いておけぇぇぇぇぇ!!???」」」」」


俺たちの叫びが地下に激しくこだました。


「ちょっと待ってください!! 『USBの安全な取り外し』みたいな仕様を秘宝に適応させるな!!」


「まあ! だから王都の冷蔵庫さんが怒っちゃっていたのね! ごめんなさいね古代のシステムさん!」

エレノア殿下が呑気に納得しながら、赤い点滅ボタンをポチッと押した。


ポチッ。


ピローン♪ 『安全ニ取り外サレマシタ』


静まり返る大迷宮。

赤く点滅していたルーン文字は爽やかな青色に戻り、王都を揺るがしていた魔導家電の暴走もピタリと収まったのだった。


「……はぁ。またしても、くだらない理由で王都の危機が去った……」


俺はその場に座り込み、ポケットから胃薬を取り出して噛み砕いた。苦い。

ノイズオルゴール、エアコン、タイマーヒーター、輪ゴム竪琴、風呂の栓、鳥の巣換気扇、オイル切れゴーレム、アロマ王冠、そして『USB安全取り外し忘れ』。


古代人の爪の甘さに、俺の胃はもうボロボロである。


「さあ! これで王都のトラブルも解決したし、次こそ本当に……宇宙へ出発よー!」

エレノア殿下がドヤ顔で掲げたのは、ルイスが新しく描き上げた『宇宙船設計図(ペンギン型)』であった。


「待て! まだ宇宙船の安全確認が済んでな——」


俺の悲鳴をよそに、ポンコツペンギン隊の新たなる大冒険(宇宙編)のカウントダウンが、刻一刻と近づいているのだった。

外伝第2話をお読みいただきありがとうございました!


王都の家電暴走の原因は、まさかの「USBの安全な取り外し手順のスキップ」でした(笑)。

トラブルを無事に解決し、ついに障害のなくなったアルト一行!


次回「外伝第3話:完成! 宇宙船フライング・ペンギンV号 〜安全基準とは何か〜」をお楽しみに!


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